著者 : 西条陽
夏休み明け。夏目幸路は小学五年生の女の子に「犬として」飼われている。風町鈴というダウナー系ロリっ娘が、例のごとくトラウマサヴァンで、ランドセルで殴って気絶させた俺を“姿を偽装する”能力で犬に見えるようにしたのだ。それには理由があった。風町鈴は国家権力から命を狙われている。ひとり立ち向かう風町、送り込まれる殺し屋たち、そして幼女誘拐犯に仕立て上げられる俺!法律完全スルー、周囲すべて敵の極限状況を切り抜けろ。友情のため命を懸ける偽装能力少女と忠犬・夏目が駆ける、エスケープ×ラブ×サスペンス。ラノオンアワード3冠!(2023年11月刊「総合部門」「新作総合部門」「笑った部門」)
早坂さん、橘さん、宮前を“二番目の彼女”として付き合い始めた桐島。だけど、こんなの茶番だと誰もが分かってた。少しだけ大人ぶった俺たちには、それでも手放せない感情があるだけで、実のところ何にも変わっちゃいない。そんなある日、遠野は偶然、桐島の昔の恋人の正体に気付いてしまい…。誰もが静かな破綻を予感しながら。誰もが見て見ぬふりをして。無情に季節だけが進み、物語はクリスマスを迎える。
どこにでもいる男子高校生・夏目幸路は、この夏休み、小学五年生の女の子を「猫として」飼っているーなぜ?それは当の小学生女子(※ネコミミコスプレ中)である雪見文香が“未来のニュースを視る”能力を発現していて…その予知によれば、俺の家で「飼い猫」としてふるまわないと、夏休みの終わりに連続殺人犯に殺されてしまうからだ。猫の目のように変わりつづける状況の中で、俺たちが生き残れるルートはあるのか?夏の終わりに待つ死を回避するためペットになった予知能力少女と駆ける、サマー×ラブ×サスペンス。
三年ぶりに会う橘さん。彼女の感情はあの時から変わっていなかった。まるで子供が宝物を大切にするように、想い出を握りしめたままで…。けれども俺には遠野との未来があって、誰もが傷つかず、幸せになる落としどころを探さなくちゃいけない。早坂さんと感傷的な気分に浸るのも、宮前の依存も、すべては一過性のものであるはずだ。だからこの関係は、否応なく沸き立つ感情は、今度こそ隠し通さないとー。大学生編、再びの泥沼へ突入。
あれから二年。俺は逃げるように京都の大学へ進学し、鬱屈した生活を送っていた。だけど二人の女の子、遠野あきらと宮前しおり。そして、こんな俺すら受け入れる友人のおかげで、毎日は徐々に色づき始める。この心地よい男女グループがいつまでも続くように。今度は絶対に恋に堕ちないように…。だけど。「逃げないでください、桐島さん!私の気持ち、ずっと知ってたくせに!」過去への悔恨と、新しい恋。狭間で揺れ動く波乱の大学生編、開幕。
共有のルールにおけるペナルティ。それは破った方が俺と別れることだった。 だけど…。「今すぐ、桐島君と別れてよ」「…ごめん、できない」これ以上はいけないと分かっていても、過熱していく感情は誰にも止められなくて。傷つくと、傷つけると分かっていても、取れない選択こそが愛で。もう引き返せない、泥沼の三角関係の行方はー。100%危険で、甘美で、不健全な三角関係恋物語。高校生編・完結。
「ねえ、私たちで桐島くんを共有するの、ダメかな…?」俺は今、橘さんと付き合いながら、早坂さんとも付き合っている。共有のルール。それは互いに抜け駆けしないこと。「一番目」になれない方が傷つくなら、それは優しい関係とすら言えるだろう。たとえそれが、歪で、甘美な延命措置に過ぎないとしても。だけど…。二番目でよかったはずなのに。それでも一番目になりたくて。互いにエスカレートする好意と行為。その果てに、俺らの関係はやがて軋みを上げ始め…。もがいて、すがりついて、大事だった何かを摩耗させながら。どこまでも深みに堕ちていく。
「私、二番目の彼女でいいから」彼女のその言葉に甘えて、俺はみんなに隠れていまも、悪いことを重ねている。早坂さんと夜の教室で二人、いけないことをして。橘さんと真夜中、こっそり見知らぬ駅でキスを交わす。そんな早坂さんと俺と橘さんの甘い泥沼は、けれど。「今度、私の全部をあげるね。だから、ちゃんと受け止めてね。逃げないでね」大胆になっていく行為の果てで、もう、落としどころを見つけられない。一番目じゃなくて、いいはずなのに。二番目のままでも、いいはずなのに。互いに言い訳をしながら、競うように壊れていく俺たちの関係。100%危険で、甘美で、嫉妬にまみれた恋の挙句の果てに、彼女が口にする言葉はー。
「私も桐島くんのこと、二番目に好き」俺と早坂さんは互いに一番好きな人がいるのに、二番目同士で付き合っている。確かに俺と早坂さんは恋人だ。一緒に帰って、こっそり逢って、人には言えないことをする。それでも、二番目はやっぱり二番目だから、もし一番好きな人と両想いになれたときは、この関係は解消する。そんな約束をしていた。はずだったのにー「ごめんね。私、バカだから、どんどん好きになっちゃうんだ」お互いの一番好きな人と近づくことができたのに、俺たちはどんどん深みにはまって、歯止めがきかなくて、どうしても、お互いを手放せなくなって…。もう取り返しがつかない、100%危険で不純で不健全な、爛れた恋の結末は。
深く広い世界を調査するべく派遣された天空国家セントラルの調査官・ヨキとシュカ。彼らが今回調査するのは、シュマルカン大陵原と呼ばれる、剣の腕が最も重要視される地。そこには、世界を創世したと言われる剣が存在しー。ほか、千年前に書かれた聖典通りの奇跡が起こる湖畔の街の調査。さらには任侠に生きたある男の物語や、今まで詳細が明かされてこなかったシュカが調査官になるきっかけを描いた物語など、全四編を収録。
深く、広い世界。その全てを知ろうと、天空国家セントラルは各地に調査官を派遣していた。調査官であるヨキとシュカが今回向かった先は、水上都市グランナーレ。音楽に愛されたこの街で、今宵世にも奇妙な音楽会が開かれるという。曰く、音楽会に参加すると、己の求める死者と邂逅する事ができるというのだがー。ほか、春が来ない里、物理法則が乱れた学術都市など、五つの謎を巡る。
深く、広い世界。その全てを知ろうと、天空国家セントラルは各地に調査官を派遣していた。調査官であるヨキとシュカは、多大な個人的興味と、小指の先ほどの職務への忠誠心を胸に、様々な調査をする。これは二人が世界を巡り、人々と出会い、(時々)謎を解き明かす物語である。凸凹調査官コンビによる、かけがえのない時間をあなたに。第24回電撃小説大賞金賞。