著者 : リン・グレアム
病身の父と妹と3人、イギリスの田舎で困窮生活を送るリジー。ある日、突然現れたイタリア富豪チェザーレに求婚される!実はリジーには奇妙な遺言のせいで売れずにいる島があるのだが、その島を取り戻したいチェザーレは、同じく奇妙な遺言に従い彼女と契約結婚をして、子どもをもうけなくてはならないという。提示された莫大な金額にリジーは驚く。だが悩んだすえ、一家を救いたい一心で承諾する。ただしー無垢なリジーは子どもは人工授精で作りたいと条件をつけた。身も心もすぐに彼の虜になってしまうとは、夢にも思わずに。
幼い息子と質素に暮らすケリーが交通事故を起こしてしまった日、病院に運ばれた彼女の前に、4年前に別れた夫アレックスが現れた。「医師に、僕に会いたくないと言ったそうだね」イタリア大富豪らしい優雅な身のこなしも、挑戦的な琥珀色の瞳も、すべてをかけて愛したあの日のままの彼がそこに立っていた。これまでずっと絶縁状態だったのに、なぜ今になって会いに来たの?離婚原因はケリーが浮気したこととされているが、彼女自身はまったく記憶がなく、実のところ異母姉が仕組んだ罠だった。そうとは知らないアレックスはなおも怒りをたたえ、言い放った!「罪の償いをしてもらう。僕たちは再婚するんだ」
キャットは父が遺した家を宿にして生計を立ててきたが、不景気で今は差し押さえ寸前まで追い込まれていた。ところがある日、弁護士に呼ばれ、驚くべき話を聞かされる。億万長者の石油王ミハイルが彼女の宿を買い取ったというのだ。ミハイル…つい先日泊まったばかりの、あの謎めいた宿泊客だわ。いったい彼はなんの目的でそんなことを?キャットは真相を問いただそうとミハイルを訪ねたが、逆に彼から買い取った見返りとして不可解な提案を受ける。「ひと月だけ僕のクルーザーに滞在してほしい。体の関係抜きで」男性を知らない彼女にとって願ってもない取り引き、のはずが…。
恋人から暴力を受けたスカイは、幼い弟たちを連れ、着の身着のままで逃げ出した。けれど、車が故障してどこにも行けなくなってしまうーどうすればいいの?車を修理するお金もなければ、連絡できる人もいない。困りきったところを助けてくれたのが、ハンサムなイタリア富豪エンツォだった。琥珀色の瞳をした黒髪で長身の彼は、スタッフに怪我を診させ、スカイにハウスキーパーの仕事を提案。エンツォの屋敷に住みこみで働くことになったスカイは、彼に「偽の恋人役を演じてくれないか?」と頼まれて…!?
赤ん坊を乳母車にのせて、深夜のロンドンの街をさまようホリー。子供の父親に捨てられ、行くあてもない。このままでは…。物思いにふけるあまり、交差点に近づいていると気づかなかった。次の瞬間、車道との段差に足をとられ、ホリーは転倒した。イタリア人の富豪リオ・ロンバルディはリムジンから飛びだし、頭を打って意識を失った、うら若い女性の姿を目にした。婚約を破棄したばかりの彼は、どうしても妻を必要としていた。この子連れの女性を屋敷に連れ帰り、妻にするのはどうだろうか?
『誰も知らない結婚』大富豪ロエルが交通事故に遭い、会いたがっていると聞いて、ヒラリーは戸惑った。ある事情から彼と入籍はしたものの、4年前から一度も会っていない。彼女は誰も知らない妻なのだ。ヒラリーが病室に駆けつけると、ロエルは記憶を失っていた。当然のことかもしれないけれど、彼が退院したら、夜には妻を求めてくるだろう…。ロエルは知る由もないが、ヒラリーはじつのところ彼を愛していた。だから、罪悪感にかられながらも彼女は自分の真実について言い出しかねていたー男性経験すらない、名ばかりの妻だということを。『忍び寄る過去』アンナはロンドンで事故に遭い、病院に運ばれた。身元不明のまま1週間が過ぎた頃、とある新聞記事とアンナが持っていた写真から身元が判明するー彼女はイタリア大富豪リカルドの妻だった。傷は順調に回復していたが、アンナはこの1年間の記憶を失っていた。夫の出自の恐ろしい秘密を知ってしまい、ショックのあまり階段から落ちて流産したことも、すれ違いの結婚生活に耐えかねて家出したことも忘れているのだった。イタリアの家に戻った彼女は、時折夫が鋭い視線でこちらを見ていることに戸惑うしかなかったが…。
『魅せられた富豪』受付係のスージーは、会社の新オーナーでギリシア富豪のレオスの到着に怯えていた。以前彼の下で働いたとき、二人は恋仲になったーつかのまで終わった恋だった。9ヵ月後、スージーは彼の子を密かに産んだ。妊娠を利用する女を忌み嫌うレオスには言えなかったから。だが今、リムジンを降りた彼の目がスージーをとらえ…。『愛は戯れでなく』末妹を心配する7人の兄に囲まれて育ったせいか、アントネットは29歳の今も生涯の伴侶と巡り合えずにいた。結婚しなくてもせめて子供を授かれれば…。そんなことを考えていたとき、ふいに雷が落ち、飛行機が墜落した。アントネットは知る由もなかったー彼女が救い出した男性レインに、抱いてほしいと頼む日が来ようとは。『大停電に祝福を』テキサス州ダラスのオフィスビル。半年前までつき合っていたクインランと、エレベーターに乗り合わせたエリザベスは気まずかった。男らしく強引で魅力がありすぎて、一緒にいると怖くなるような人。早く地上階に着かないかしら…。そのとき、がたんと音がして、エレベーターが止まった。7月21日、午後5時23分、大停電発生!
「あなたの身代わりで見知らぬ人と結婚しろというの?」双子の妹からの懇願に、アリッサは仰天した。大富豪セルゲイ・アントーノヴィッチ。彼が期限付きの花嫁を募集していると知った妹は、姉の経歴を詐称して応募したらしい。審査を通り、すでに受け取った多額の契約金は母のために使い、恋人の子を妊娠した妹は追いつめられ、泣きついてきたのだった。これは家族を守るためよ。アリッサは覚悟を決めたー契約には、子づくり必須の条項があるとも知らぬまま。夫セルゲイに魅了され、思いがけず身ごもった彼女は、出産後は用済みで契約終了だと聞き、ショックで家を出るが…。
人生でいちばん緊張した顔で、クレアは贅沢なソファに座っていた。数カ月前、彼女は偶然出会ったレイフに惹かれ、純潔を捧げた。でもまさか、彼が異国の王子だったなんて。彼女は勇気を振り絞って、レイフに妊娠したと告白した。誠実で高潔な彼の対応は早かった。赤ん坊を嫡出子にするためにクレアに結婚を申しこみ、身重の彼女をなにかと気づかってくれた。中絶を望まれるとばかり思っていたので、クレアはほっとした。王子の花嫁なんて恐れ多いけれど、赤ちゃんのためにがんばろう。しかしレイフの次の言葉で、彼女の前向きな気持ちは打ち砕かれた。「君と結婚はするが、僕には長年思いを寄せている人がいる」
父の経営する小さな会社で事務員として働くライラは、会社がギリシア大富豪に買収されたと聞いて驚いた。バスティエン・ジコス!まさかこんな形で再会するなんて。2年前、ライラは彼に誘惑され、きっぱり拒んだ。本当に愛する人としか深い関係になるべきでないと信じ、プレイボーイと噂の彼が相手だなんて考えられなかったのだ。ところが今、バスティエンは会社の再建と引き替えに、ただでさえ古風なライラに、なんと愛人になるよう迫ってきた!父や従業員を救うには、この身を差しだすしかないということ?なんて非情なの!でも、私さえ我慢すれば…。ライラは心を決めた。
10歳で母と死別し、伯父に引き取られたグレイスは、伯母と従姉に虐げられ、みじめな暮らしを送ってきた。あるとき、グレイスは従姉に無理やり連れだされてトルコへ赴き、ギリシア大富豪レオと運命的な出会いを果たす。そして、レオの完璧なエスコートで豪華なヨットに誘われ、身分の違いに臆しながらも、彼の魅力に抗えず一夜を過ごすことに。これがたった一度きりの逢瀬でも、彼に純潔を捧げたいと思ったのだ。富も名声もある彼が苦学生の私に会うことなんてもう二度とないはず。ところが帰国後、グレイスは妊娠に気づいて衝撃を受ける!しかもそこへ、すべてを察知したかのようにレオが現れて…。
父を知らず、幼くして亡くした母の記憶もないジョゼフィーン。母方の祖父母と大叔母たちの愛に育まれ成長したが、祖父の死後、財政は悪化し、今や屋敷を失う寸前だった。万策尽きて、隣家の富豪で初恋の男性ジャンニを頼ることにする。その逞しい肉体と美貌で女性たちを虜にしても、当の彼は女性を一時の快楽を満たす相手としか思っていない。そんなプレイボーイに頼み事をするのはそら恐ろしかったが、意外にも彼は援助を承諾した。交換条件は、5年間の契約結婚!?女性はみな自分のベッドに身を投げ出すと自信満々のジャンニに、彼女は言った。「あなたとはベッドをともにしないわ。絶対に」。
重大な秘密を抱えたまま、ビリーはアレクセイと結婚した。結婚初夜、花嫁が無垢ではないと気づいたアレクセイは、激怒してビリーを責め立て、追いつめられた彼女は、ようやくすべてを語り始めたー純潔を捧げた夜のこと、妊娠し、息子が生まれたこと。そして何より、アレクセイが記憶を失ったために真実を伝えることもできず、どれほど惨めでつらかったかを。だが何も思い出せない彼は嘘だと断じると、怒りにまかせて部屋から飛び出していった。これで終わり?もう二度と、あの愛の記憶は戻らないの?傷心のビリーは家を出て、息子のもとへ向かった。数週間後、アレクセイが突然、ビリー母子の前に現れて…。
サラは実業家アレックス・ロッシーニの秘書を務めて丸1年で、プレイボーイであるボスの交際相手の調整が仕事のようなもの。しなやかな長身に、日焼けした顔に輝く黄金色の瞳。女性たちが彼を夢中で追いかけるのも無理はない。ある日、サラは婚約者を性悪ないとこに奪われ、衝撃のあまり、優しい言葉で慰めてくれたアレックスの胸に飛び込んだ。さらに一夜限りと知りながら、守り通してきた純潔も捧げた。その後、予期せずボスからプロポーズされ、サラは承諾してしまう。まさかアレックスが用意周到に仕組んだ罠だとも知らず。
ビリーは8歳のとき、ギリシアに母と移り住んだ。よそ者扱いされていた彼女をいつも救ってくれた年上の少年、アレクセイは100年続く名門ドラコス家の跡継ぎで、時が経ち、今やビリーは実業家として成功した彼の個人秘書を務めている。でもまさか、ボスの恋の後始末まですることになるなんて…。胸の奥に封印したはずの憧れが、ビリーを苦しめた。そんなとき、アレクセイの両親が事故で急死する。悲嘆に暮れる彼を慰めたい一心のビリーだったが、想いがあふれ、衝動的に純潔を捧げてしまうー妊娠するとも思わずに。事実を告げようとした矢先、アレクセイが倒れて記憶を失い、追いつめられた彼女は“この子は一人で守る”と心に誓うが…。
貧しい祖父母の家で育ち、身分違いの地主の息子ジェイクの子を宿したキティ。だが初めての一夜のあと、彼に言われたのだ。妊娠しても子供は諦めてほしいと。妊娠を告げる前に、彼は別の女性と結婚。キティは打ちのめされ家を出た。8年後、祖母が亡くなり帰郷すると、長身の男性が現れた。彫りの深い顔立ちージェイク?-『飽くなき情熱』エミリーは結婚して3年経った今も大富豪の夫フィンに夢中。だが彼は前妻といまだに親しく、毎晩帰宅も遅いので不安でならない。今日は3度目の結婚記念日なのに、腕によりをかけて作った食事はすっかり冷めてしまった。思い余って夫の会社に行ってみると…そこには、一緒にシャンパンを飲む夫と前妻の睦まじい姿が!-『悲しい嫉妬』田舎町の診療所で看護師として働くララ。今年のクリスマスにはドクターの息子ニックが帰ってくるという。7年前のイブの日にダンスパーティでニックに恋したララは、次の日からダイエットに励んだ。今はもう太って未熟な少女ではないわたしを、彼はどう思うかしら?ララは期待に胸を高鳴らせるが、現実は残酷でー。-『始まりはラストダンス』
ララはある吹雪の夜、木の下で昏倒している男性を見つけ、家に連れ帰って手厚く介抱した。彼は完全に記憶を失っており、自分の名前すら思いだせなかったが、それでも二人は惹かれ合い、甘く濃密な6週間を過ごしたあと、聖夜に結婚した。だがその直後、突然の見知らぬ訪問者が驚くべき事実を告げる。夫の名はガエターノ。行方不明のモスヴァキア新国王だというのだ。貧しい清掃人の私が王様の花嫁ですって?とんだ笑い物よ。ララは逃げるように姿を消したー妊娠しているとも知らずに。2年後。幼い息子と暮らすララの前に、ガエターノが現れて…。
二十歳のタリーはパーティで出会った美しきギリシア人男性に惹かれた。海運王を父に持つ将来有望な投資家のプレイボーイ、サンダー。タリーはといえば、古風な乳母に育てられ、恋愛経験は皆無だった。このパーティには妹のつき添いとしてやってきたけれど、妹に使用人扱いされているような私を、サンダーはどう思うかしら?彼の目はしかし、タリーを明らかに女性として賞賛しているようだ。本当の相手が見つかるまでは独りでいいと考えていたけれど、胸が痛いほどのこの情熱を、今こそ解き放ってもいいのでは?タリーは誘惑されるまま、サンダーに純潔を捧げたーまさにその瞬間、彼がはたと気づき、吐き捨てた。「初めてなのか?何を企んでいる!」
フェイスは空港で見知らぬ男性から“ミリー”と呼びかけられ、困惑した。人違いだと言って逃げるようにその場は立ち去ったが、数日後、その男性、ジャンニが再び現れて写真を突きつけた。「きみは僕の恋人だった。3年間、ずっと捜していたんだ」そこに写るミリーは、まぎれもなくフェイス自身だった。いったいどういうこと?なぜこんなに胸がざわつくのだろう。3年前、フェイスは身重の体で交通事故に遭い、記憶を失つた。以来、両親を名乗る夫妻のもとで、生まれた息子だけを支えに生きてきたのだ。でも、私がミリーならここにはいられない。彼女は衝動的にジャンニの胸に飛びこむが、突然記憶が蘇り…。