著者 : 小山内園子
『82年生まれ、キム・ジヨン』著者チョ・ナムジュのデビュー作!抜群の聴力を持ちつつも、周囲からさげすまれる少年。衰退する市場の起死回生を図る店主。業界での生き残りを賭けるTVディレクター。三者三様の悲喜こもごもは、壮大なサバイバルゲームへとなだれ込み、三つのカップのように渦を描く。文学トンネ小説賞受賞の傑作!
1950年代後半、朝鮮戦争の傷痕が残る西洋式「大仏ホテル」に居場所を見つけた3人の若者、外国人客の通訳をしながらアメリカ行きを目論むコ・ヨンジュ、アメリカ軍の無差別爆撃で家族を亡くしたチ・ヨンヒョン、韓国人からヘイトの対象とされる華僑のルェ・イハン。悪霊に取り憑かれていると噂のホテルに、ある日、シャーリイ・ジャクスンがチェックイン。エミリー・ブロンテも姿を現し、運命の歯車が回りだすー。韓国社会の“恨”を描くゴシックスリラー。
『キム・ジヨン』の多大な反響と毀誉褒貶、著者自身の体験を一部素材にしたような衝撃の短編「誤記」ほか、10代の初恋、子育て世代の悩み、80歳前後の姉妹の老境まで、全世代を応援する短編集。
コロナ後の厳しい時代を「やさしさ」で武装して生き抜くために。サッカーチームの先輩から自然に受けていた励まし、偽善的な上司への演技、客室乗務員時代の女性たちの連帯…。マウントや偏見など無意識の暴力がはびこる日常生活を、相手の立ち場で考える想像力=「やさしさ」を持って見つめ直し、私を立ち上がらせた大切な感情の集積。韓国で大反響のエッセイ!
稼業ひとすじ四五年。かつて名を馳せた女殺し屋・爪角も老いからは逃れられず、ある日致命的なミスを犯してしまう。拾ってしまった捨て犬、しきりに突っかかってくる同業者、たまたま秘密を共有することになった医者ー。周囲の存在に揺り動かされ、みずからの変化を受け入れるとき、人生最後の死闘がはじまる。「生への讃歌」と絶賛された韓国発の新感覚ノワール、待望の邦訳。
子どもを欲しがらない人はますます増えていた。出産を奨励するために政府がさまざまな支援策を打ち出したが無駄だった。時間が経つにつれ状況はややこしくなった。政府は結局、新たな道へ踏み出した。「これからは国が責任を持って子どもを育てます」。チャンビ青少年文学賞受賞作。
都心にギリギリ通勤圏内。他のコミュニテイから隔絶された山あいに国家が建設したのは、少子化対策の切り札となる集合住宅だった。「入居10年以内に子供を3人もうける」というミッションをクリアすべく入居したのは、4組の夫婦。やがて、お仕着せの“共同体”は少しずつ軋みはじめるー。奇抜な設定で、「共同保育」「家事労働」「労働格差」など韓国社会のホットで深刻な現実を描き出していると話題を呼んだ作品。
植民地時代の朝鮮では、日本が西洋文化を学ぶための窓だった。日本語を習得し、日本流に変形された自然主義文学を受容した廉想渉の作品の変遷を縦糸に、自然主義が生まれたフランス、それを変形させて受容した日本、日本から自然主義を受けいれた韓国の比較を横糸に、韓国における近代の受容の軌跡をたどる。