小説むすび | 月光浴

月光浴

月光浴

“かわいそうなティモニーに疲れたら、陽気な歌に移っていく。そして、夜の続きのために私たちは乾杯する。壊れたグラスも壊れてないグラスも一緒に。過ぎ去ったつらい日々と行方のしれないこれからの日々のために”ハイチを逃れたどり着いたマンハッタン。苛烈な過去と未来への不安を抱えながらも、前を向いて生きていこうとする3人の女学生のいまを生き生きと描いたエドウィージ・ダンティカの「葬送歌手」。“彼女は彼を殺すだろう。それは彼女の名がアンナだというのと同じくらいに間違いのないことだ。彼を殺して、彼女自身の人生がようやく始まる”結婚以来、暴君として君臨してきた、いまや寝たきりの夫の殺害を決意したアンナ。やがて訪れる決行の朝にアンナを待ち受けているもの、果たしてそれはーケトリ・マルスの「アンナと海…」。古くからの因習がひきおこす惨劇を静謐な筆致で綴った表題作をはじめ、カリブ海に浮かぶ小国ハイチに生まれた代表的現役作家9人による、透明なイメージに満たされた粒揃いの短篇集。

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