出版社 : 幻冬舎
崩壊する家庭から逃げるように東京にやってきた少女・恵理。出逢いと別れ、社会の厳しさに翻弄されながらも、懸命に新たな日々と向き合っていくがー。運命の過酷さと家族の慈愛が胸を打つ長編小説。
“マスターズ和平会議”はテロ国家共同体ティグロ代表・ブルタウにより破壊された。会議に遅刻し、世界に恥を晒したピースランド首相・・富士見は、マスコミから糾弾され、デモ隊から生卵をぶつけられ、支持率は地に落ちた。しかし彼は会議を再開するべく、フロンティア合衆国の大統領代理・アンに想いを込めた手紙を送る。富士見は桜を始めとする個性のキツイ秘書達、そしてアンと彼女を支える国務長官・ダイアナとともに、武器ではなく「言葉の力」で、どんな国のどんな立場の人間も置き去りにせず、世界を一つにしようとする。しかし、両親をテロで亡くしたアンには、ある秘密があったー。
“絶対に口にしてはいけない禁忌”を抱えた村に、転校生・高遠瑠樺がやってくる。彼のあまりの美しさに、息を呑む相馬律。だが、他の誰も、彼に近づこうとしない。律だけに訪れる、死にたいほどの快楽。ある日、律の家の前が、狂い咲きした花で埋め尽くされる。花の意味を知る、神社の“忌子”の口から出た言葉は…。止まらぬ愛と欲望は、はてしない絶望と恐怖の始まりだった!
第二次世界大戦で負けた日本には平穏が訪れた。ぼくは妹を守れなかった後悔と敵国アメリカへの復讐心に苦しんでいた。そんなある日、アメリカ人一家に住居を提供するためにぼくの家族は突然立ち退きを命じられる。ぼくの家に住むアメリカ人の少女へと、復讐の矛先を向けるぼく。しかし、復讐を遂げたぼくを待ち受けていたのは、少女からの手紙と一つの画鋲だった。画鋲に込められた少女の想いとは?
闇を食い止めるべく、観音様から光の力を授かった英良は、悪意に付け狙われる日々を過ごす。闇導師・鏑木は、「昆沙門天」「広目天」を刺客として送ったが、英良は彼らを闇から解放し、二武人とともに戦いに身を投じていくのだった。そして転生を繰り返し、再び生を受けた彼は、一人の老人から宿命づけられた衝撃の事実を聞かされるー。
目標としていた賞を受賞し、脚本家として活躍中の美汐。だが、彼女の心は晴れない。小学校から呼び出され、7歳の息子・悠を「支援クラス」に通わせることを勧められたからだ。その日、手に負えない悠の首を絞め、美汐はそのまま気絶する。意識が戻ると、そこには1歳になったばかりの悠がいた。神様がやり直しをさせてくれる!美汐は、理想のママになろうと奮闘するがー。
小さな居酒屋「およし」を営むよし子、常連客の孝介。距離が縮まりつつも深い関係になることを避けてきた2人の運命は。一方、孝介の妻・美智子は子育てを終え、今後の生き方に思いを馳せていた。切なくもあたたかい、珠玉の群像劇。
社会の荒波に揉まれる主人公・中田は、人々に安らぎを与えたゴータマ・ブッダとはいかなる人物であったのか知るべく、インド仏蹟巡りの旅に出る。ゴータマの幻影を何度も捉える中で、“いかによく生きるか”という説法の根本思想に近づいていきー。過去と現在が絡み合う仏教小説。
織田信長が台頭した天正の世、キリスト教の布教のため黒人従者のマトペ(弥助)とともに日本に赴いたイタリア人巡察師のヴァリニャーノ。その心には常に、ローマ教会音楽を確立させた音楽家・パレストリーナの教えがあった。時を同じくして、千宗易(のちの千利休)は「御茶湯御政道」によって時の権力者たちの信頼を勝ち取りながらも、万人が分け隔てなく楽しめる真の茶道を追求していた。信じるものは異なっていても、安寧な世を求める心は等しい。波打つ時代の狭間で両者の心が邂逅するとき、海を越えて歴史が大きく動き出すー。
作家になる夢を捨てきれず、勤めの傍ら小説を書き続ける主人公の男の家に、小中学校の同級生・湯川秀樹が風呂敷包いっぱいの原稿を抱え、「作家になりたいんや」と押しかける。鼠のような目をした湯川は、うすのろぶりを皆に馬鹿にされ続けてきた奴だ。その可笑しな感性を生かし、常人には作り得ない作品世界を作り出せるとしたら…。無能だと思っていた男が、自分が心から欲している才能を隠し持っているかもしれないという期待と嫉妬。湯川のことが頭から離れなくなった男は、いつしか湯川を題材に小説を書き始めるー。表題作「となりの男」ほか3篇、人間の本質に迫る短篇を収録。
中学時代、対立候補さえいなければ誰でもなれる生徒会執行部だった5人。輝かしい(?)思い出は、文化祭でアイドルのように歌ったことだ。すっかりおやじと呼ばれる年齢になった彼らは、親の介護やリストラなど、厳しい現実にさらされていた。そんなとき、“歌って踊れる四十五歳以上の男性限定!イケてるミドルアイドルコンテスト”の募集を見かけ、皆で一発逆転のチャンスにかけるー。問題は山積み。それでも、夢を追うおやじたちの瞳はキラキラと輝いている。笑いと元気と勇気をくれる、清々しいエンターテインメント小説。
やさしい気持ちをあなたへ。友情・初恋・クラブ活動は青春時代を彩る。そんな純粋で大切な時間を描き、心を明るくする短篇集。人生に貴重な瞬間はあるけれど、それが貴重だと気づかないこともある。そんな瞬間の数々に改めて目を向ければ、心の中にエネルギーが満ちてくる。青春は奇跡ーそのことをやさしい言葉で表現した珠玉の3篇。
幼くして理不尽に父を失った曽我兄弟。仇討ちが禁じられた鎌倉殿の時代、どんなに世間から虐げられても、その志を砕くことはなかった。はたして彼らの運命は如何にー。一心同体の兄弟愛、揺るぎない信念の美しさ。歌舞伎や講談の題材として800年にわたり愛された若武者たちの実像。
10歳年下の彼に溺れるほど本気です!来年50歳を迎える美樹は独身のキャリアウーマン。ある日、10歳年下の男・涼真に交際を申し込まれ、自分の年齢を理由に断るが、押しに負けて付き合うことに…。年下彼氏×中年女性のキュン死必至な歳の差ラブストーリー。
敵軍に追い込まれ仲間たちが次々と逃げ出す中、勇敢なペロピダスだけは希望を失っていなかった。敵の猛攻を一身に受けるうちに遂に彼は死を覚悟するが、その時誰かが彼をかばうように覆いかぶさっていることに気づく。後世にまで引き継がれた戦法を考案した名将・エパミノンダスと、気鋭の戦士・ペロピダス。2人の友情はここから始まった。ペロポネソス戦争後の混迷する古代ギリシア世界で覇権を握ったテーバイの繁栄と衰退、そして彼らの刎頸の交わりを描いた物語。
「難しい事を考えるのは止めようよ。今日の牡丹、めっちゃ綺麗なんだしさ」安達牡丹は、小学校の頃に同級生からイジメに遭い学校に行けなくなった。彼女の人生に光を与えてくれたのは、中二の時の同級生、並木蛍。お互いを認め合える関係を見つけた彼女たちは、心も身体も大人になることを切望しながら歳月を重ねる。私はどうなりたいのか?私にとっての幸せとは?葛藤の中で、出会いと別れ、始まりと終わりを重ねる牡丹は、留学生として同じ大学に通っていた朴ソラの誘いをきっかけに韓国で働きはじめるがー。ある平凡な女の子の30年間の成長物語。