出版社 : 幻冬舎
医学生、看護学生、医師、看護師、技術者、研究者…。150年の歴史をもつ京都府立医科大学と附属病院における豊かな個性を活かした医療人としての多彩な選択肢。
猟奇的な妻との生活の果てに、マリファナ栽培で逮捕された男。4年間の結婚生活、心休まる時間は1日たった15分だった。転がり落ちた男は、留置場の中で何を見たのかー。リアルな情報描写で、虚無と再生の人間心理を描く問題作。
大学生のまゆ実は、あちこちで語られる身に覚えのない目撃情報に悩まされていた。そんな時、所属しているテニスサークルに、自分とそっくりな伊藤千春が現れる。姉と母の自死という衝撃的な出来事をきっかけに復讐を企てる千春と、復讐の対象となるまゆ実、二人の視点によって描かれる復讐劇。第三のオンナとは、果たして誰なのかー謎が解き明かされる度、さらなる衝撃の展開に息をのむ珠玉のミステリー小説。
わたしは愛を買った。金銭の振込という形で。28歳も年下の、会ったこともないあなた。騙されていたとしても、それでいいー。人生ではじめて愛した男への底なしの想いを描く衝撃のストーリー!
明治初期の古都から、日本の医学が花開くー。日本の医療の転換期を描く、圧巻の歴史小説。150年前、東京への遷都により活気を失った京都で、いかに生きるかを悩む公家出身の青年・万条房輔。府立療病院・初代御雇い医学教師ヨンケルに師事し、西洋医術を学ぶものの、彼と医学校との不穏な関係を感じ取りー。
“自由に趣味に生きてください”。その言葉に惹かれ、悠真と結婚した美代子。傍から見ると束縛のない理想の生活を送っているように見える彼女だが、何か物足りない。満たされない日々。ある晩、悠真の部屋から家政婦・美月の声が聞こえても、冷静な自分がいる。結婚さえすれば、男女は幸せな生活を送れるのか。愛情とは?自由とは?人生と恋愛、結婚生活に悩む読者に贈る一冊。
親友千景の誘いで奥会津を訪れた鍛冶内は、千景の結婚相手である美少女乙音と出会う。美しい上に性格のいい乙音にすっかり魅了された鍛冶内だったが、千景は彼女がいないところで意外な話をする。それは先日湯船で溺死したのが本当は乙音で、自分が結婚したのは乙音とは双子の間柄だった汐里ではないかというのだ。汐里は千景との過去のいきさつが原因で性格がねじまがってしまっていたが、唇下のホクロ以外見分ける術がない。そして溺死した全裸の娘を撮影した絶美な写真「奥会津の人魚姫」のフレームを鍛冶内の前で露わにする。ステージ4のガンに冒され、死期が近い千景の命を掛けた頼みを受けた、鍛冶内による愛憎を巡る謎解きが始まった。娘の死を写した一枚の写真に隠された謎に迫る衝撃のミステリー小説。
馴染みのカフェで、作家の中津川進太郎は原稿の締め切りに追われていた。取り乱した様子の中年女性が突如訪れ、動揺する中津川とマスターに「ニートの息子が騙されている」と話しはじめる。お人好しで次々と詐欺に会う彼女と、行方不明の息子の行く末は…。『騙された女』ほか、2作品を収録した短編集。
時空を超えて、因果はめぐる。“シャッター通り”となって久しい商店街に突然現れた記憶喪失の男。人々は男を「サブちゃん」と呼び、1ヶ月交代で預かることにするが、やがて彼を預かった家には大きな福が訪れることがわかりー。『三郎商店街のサブちゃん』ほか、世にも不思議な物語全5篇。
思春期の息子、碧人が笑わなくなって三か月。接し方に悩む「ほぼ専業主婦」の舞は、母としてできることを探し、もがいていく。かつて同室に入院していた、トーウンさんの言葉を思い出しながらー。子どもの心は、大人よりも実は複雑。笑顔を取り戻す手がかりは、いまだ世に知られない『ばら』の物語。繊細な感性で孤独に寄り添う小説。
五女・皐月との出会いは、同時に十一人の家族との出会いでもあった。昭和の時代、決して裕福ではない家庭で生まれた彼女たちは、それぞれが波乱に満ちた人生を送ることになるー。
初夏の風が吹き抜ける湘南の街で出会った圭と玲子。ふたりの距離は急速に縮まり、圭は結婚を考えるようになるが、玲子にはある大きな秘密があってー。光り輝く緑の江の島で青春を謳歌する恋人たち。そんな彼らに忍び寄る、不吉な影。ふたりが辿る結末とはー。
桜専門庭師の夫、悠輔が先祖代々受け継いできた「桜の園」。夕子は悠輔の死後も、女桜守として彼の想いを継承したいと願うが、病によって死を意識する。桜の儚い美と大樹の神秘に対する人々の想いを描いた短編小説集。
微かな予感の粒が、やがて美しい方程式となる。眉目秀麗な被害者と接点を持つ女たち、そして彼に酷似した男の正体とは。交錯する人間関係を暴き出す本格派ミステリー。幻冬舎グループ主催ミステリー小説大賞大賞受賞作。
真田幸村のむすめ阿梅は、父の敵将であった伊達家の重臣、片倉家に養われる身となった。12歳の少女は異郷の地でおのれ一人の力を頼りに、周囲の信頼を得て確乎たる地歩を固めていく。さらに4歳の弟大八が残党狩りの嵐の中を落ちのびてくる。露見すれば伊達家をも揺るがす重大事。彼の命はいかに護られたか。匿うことを決断した伊達政宗。周到な布石を置いた片倉小十郎景綱。勇猛果敢にして熱情の小十郎重綱。片倉領の産業に力を尽くす重綱の正室お方さま。激動の時代に生きた命の群像。日本一の兵と呼ばれる父の娘に生まれた少女・阿梅の力強い命の輝きと、戦中戦後を生きぬいた人びとを描いた感動の時代小説。
虎治と光は元同級生。夫婦になり子供を持ち家族になった。言葉と体と時間を重ね、時にはぶつかりながらも同じ方向を見て進んでいると、それが夫婦だと思っていた。けれどー。息子が自分のことを「弱い」と言った時の違和感。息子がスイミングをやめると決めた時に虎治が言った「逃げるのか」という言葉への嫌悪感。新しい仕事への挑戦を夫を理由に漫然と諦めたことへの後悔。かつての仕事仲間の成功を妬む自分への苛立ち…。
横浜の語学専門学校に進学した奈津は、叔母に頼まれた見合い写真を持って、横浜海軍航空隊の飛行艇の操縦手となった従兄の元を訪ねた。だが昭和17年、従兄の操縦する飛行艇は南洋を哨戒飛行中、敵爆撃機の編隊から友軍の輸送船団を守るために単機で奮戦し、郷里に新妻を残したままマーシャル諸島に散った。奈津にそれを知らせたのは、従兄の友人で元民間航空会社のパイロットの朽木だった。昭和20年になると、本土への空襲は激化し、横浜も絨毯爆撃にあう。奈津は焼け野原で、はじめて戦争の本当の姿を知る。8月15日の日本敗戦から数日後、朽木は終戦の連絡のため、ボロボロになった九七式飛行艇で宅間湾から飛び立った。奈津は、必ず帰ってくると約束した朽木の飛行艇を、赤いパラソルをさして岸壁から見送るー。
引きこもりの日々から突然、たった一人の家族である母を亡くした坂本曜。社会生活に無知な彼がとったその後の行動、そして流転の日々-人々のつながりと家族の再生を描いた連作短篇集。