出版社 : 幻冬舎
目に見えているこの体は誰だろう、誰のだろう、ぼくか、ぼくのか、しかし、ぼくとは誰だろう。船が難破し、一切の記憶を失った光。蘭の花が香る清艶な女性に導かれたのは、混沌と秩序がうねり合う“ナーダの国”であったー。神秘の島で解き明かされていく彼自身の正体とは。圧巻のファンタジー小説。身体全体が真っ白なペンギン、十年に一度咲く睡蓮、瓶詰めの「神のあくび」を売る店、土星の輪を千切りにした五目ラーメン…。この世のすべての文化と民族が集結する国で、真の自分を探し求める終わりなき旅が今、始まる。
好奇心旺盛で多趣味なご主人と明るい奥さん、すくすく育つ息子に囲まれた飼い犬・マックス。「寝て、散歩して、食べて、また眠る」それだけと侮るなかれ。家族の日常、そして奇妙な人間社会を犬の目から語るワンダフル・ストーリー。
百姓だった若者が、恋する女のために夢を追い、『新浄瑠璃』なる芸術を作り上げた。それはまるで、「芝居」のようにドラマチックな人生だった!人生のすべてを芸事に捧げ、“人形浄瑠璃”に革命を起こした太夫の、波乱万丈な一代記。
大手芸能事務所「鳳プロ」のマネージャーながらも雑用ばかりでくさっていた桐絵は、博多のライブハウスで歌う16歳の少女・ミチルに惚れこみ、上京させる。鳳プロでは専務の14歳の娘・真由のデビューが決まっており、ミチルに芽はないはずだった。しかし彼女のまっすぐな情熱と声は周囲を動かしてゆく。反りが合わずに喧嘩ばかりの二人。妨害、挫折、出生の秘密、スキャンダル…その果てに少女たちが見るものはー。必死にもがく少女たちと、大人たちの様々な思惑が織りなす、息もつかせぬ痛快長編!
「君は幸せだな。僕にはそのことを教えてくれる父はいなかったよ」麻薬に溺れた男、麻薬を取り締まる男、二人の岐路はどこにあったのか。少年が幼い頃に愛おしんだ母犬、そして、麻薬探知犬となったその子犬が結びつける人々の絆と命の救済ー。一匹の犬が成し遂げた奇跡のドラマ。
自立できない夫との関係に悩む麻美は、心に聞こえる「声」の教えに導かれ、自分が生きるたった一つしかない星い星の存在や、人間に課せられた使命に気づき、思考が変化していく。視野が開けていくに従い、周囲の人々との関係性も変化してー。あるがままの自分と向き合うことで、生きることの本質を見出す女性の再生の物語。
北条政子、日野富子、淀君ー彼女たちはなぜ、悪女と呼ばれるのか。三人の生き様を生々しく描くことで素顔に迫る、艶やかな歴史官能小説。激動の中世・戦国を生き抜いた女性たちの、秘められし淫靡な世界。
パチンコ業界紙の記者・工藤武夫の元に届いた一本の電話。相手は自身を「N」と名乗り、業界を席巻する違法の台、通称「裏ロム」の告発をしたいという。しかし、待ち合わせの場に「N」は現れず、そこには、散乱したパチンコ玉の上で揺れる無惨な姿があるのみであった。
厳しく当たり縛り付ける母と同調する父、無関心な兄達。味方をしてくれる人間は誰もいなかった。自分の人生に意味を見出せず死を望んだ時、誰かの声が聞こえてきた。懸命に生きる彼女の人生が少しずつ動き始めるー。絶望の中で藻掻く青少年に贈る、精神的自立と安寧のための物語。
見果てぬ夢、至高の頂へ。キズナ、ワンアンドオンリー、コントレイル…、人馬一体で悠久の未来へと疾走する、感動のノンフィクションノベル!
かつて「超高校級」ともてはやされたピッチャーだった大瀧鉄舟は野球の道をあきらめ、人生そのものが停滞したまま20代半ばを迎えてしまった。そのまま生きていくのはツラすぎるけど、現実と向き合って人生をやり直す勇気もなかなか出ない。そんな鉄舟が、ひょんなことから草野球チームを創設することに。だが、彼の元に集まったのは結構クセ強な男女8人。すったもんだの果てに迎えた初の対外試合。全員挫折経験ありのへっぽこナインが、河川敷のグラウンドで奇跡を起こす!(…かも)
人は皆、誰も傷つけず生きていけるだろうか。どんな困難があろうとも痛みを分かち合い、それでも生きることを愛する者たちー。切なくも温かい、ハートフルなヒューマンドラマ。
1998年7月。交差点に飛び出した、様子のおかしな女。彼女の過去に迫る時、戦禍の影に隠された悲痛な叫びが聞こえてくる。消えることのない憎しみの連鎖を鮮烈に描き出す衝撃の社会派ミステリー。
ミトコンドリア「サキ」が、その問いにヒントを与える。病弱な母を救いたいと、再生細胞の研究を続ける純平。石油化学工業会社勤務ながら、環境問題をきっかけに自らの仕事に疑問を持ち始めた朋彦。そして夫の死後、表舞台から約20年間、姿を消した歌手・旭かなえの人生が交錯ー「命」「寿命」「病」について問いかける一冊。
時空を超えて織りなされる、究極の愛の物語。見知らぬ人の夢を見た。しかし、胸に残ったこの気持ちはたしかに現実のものだったー。あらゆる人々の心の奥底を流れ続けてきた愛というもの、その姿を模索してゆくための6話の短編小説集。
北陵医科大学で血液免疫内科主任教授を務める梅澤良平は、「2度と膠原病の患者を死なせてはならない」という強い信念を持ち日々、治療と研究に明け暮れていた。ある日、医大を牛耳る理事長によるあまりに横暴な新任教授の選考に抗議した梅澤に対する執拗な攻撃が始まりー。医大の大きな闇に抗い続けた男の偉大な戦いの物語。
小児科医として多忙な日々を送る真希。健太と穏やかな同棲生活を送っていたが、クリスマス間近の澄んだ夜空の下、運命の女性との出会いを果たすー。人を愛することの喜びと尊さを描いた恋愛小説。