著者 : 七沢ゆきの
『廃屋令嬢』と蔑まれても誇りを失わず生きてきた雛は、冷酷な実業家の鷹と、契約でのみ結ばれた夫婦となった。けれど雛はその賢明な生き方で鷹を助け、鷹もまた雛に利用価値以上の、暖かな何かを見出しつつあった。巷で浅草十二階が賑わう時分。宝石事業の展開に腐心する鷹のもとに、かつて彼を裏切った元婚約者の寧々が、資金と家柄を持って現れる。彼女は復縁を条件に、援助の契約を交わすという。そう、この嫁入りは契約だから、花嫁は自分でなくて良い。気付かされた雛に、鷹が示した態度はー?
両親を失い、財産も奪われ、『廃屋令嬢』と笑われながらも、誇りだけは失わず生きてきた令嬢・雛。彼女のもとに、冷酷で美貌の実業家・鷹が現れる。自らの復讐のため、家柄を利用させろと契約婚を申し出る鷹に、雛はある願いの成就を条件として、名ばかりの花嫁となることを受け入れた。敵の多い鷹との生活でも、雛は両親から継いだ教養と感性で困難を切り抜ける。彼女の仕立てた服の噂が社交界に広まると、鷹の事業の助けにも繋がった。雛の賢明な生き方は、凍っていた鷹の心も少しずつ変えていってー。
芸事でも心意気でも評価を高めている山吹花魁こと杏奈。そんな彼女の心を揺り動かしているのは、土浦藩を治める土屋さまからの求婚だった。しかし、目指す花魁の頂点ー花魁道中ができる最高の階級となれば、藩の財政に苦心する土屋さまが身請けするのは難しい。求婚を受け入れたら、花魁として目指した夢は叶えられない。二つの道を前に山吹は決断を迫られていた。さらに彼女を混乱させるように、山吹と杏奈の入れ替わりの秘密を知る髪結いの青年・阿嘉也が現れて…?山吹の伝説、堂々完結!
なぜか江戸時代の花魁・山吹に成り代わってしまった杏奈。現代に戻れないと覚悟を決め、自分を頼りにする禿のためにも、花魁の頂点を目指すと決心してしばらく。人気を競った桔梗花魁とも、良き友として研鑽し合う仲に。だが、そんな桔梗をあの宿業が襲い…。さらに、杏奈が成し遂げた逸話の数々がきっかけとなって“将軍家の姫の縁談”を助けてくれと相談が舞い込む。現代で培った教養と、キャバ嬢として学んだ機転で、杏奈は彼女たちを救おうと奮闘しー。山吹花魁の伝説、待望の第二幕!
歴史好きなキャバ嬢として活躍していた杏奈は、ある日目覚めると花魁・山吹に成り代わっていた!現代に戻れないと覚悟した杏奈は、知恵と気っ風の良さで江戸の憧れである花魁の頂点になることを決心する。しかし直後に、人気を競う花魁に、客から贈られた大切な着物を汚される事件が起こる。その馴染み客は数刻後には来楼予定。汚された着物を着れば機嫌を損ね、言い訳すれば格を落とす。“山吹”の危機に、杏奈は古典から学んだ教養と接客の機転で応じ…?山吹花魁の伝説、ここに開幕!第5回カクヨムWeb小説コンテスト大賞受賞作。