著者 : 尼野ゆたか
「どうしたもんかなぁ」新米占い師・月麗は困っていた。占いが権力者の逆鱗に触れて生贄にされるはずだったが、人違いで神界の後宮の妃になってしまったのだ。早速皇帝・洪封から命じられ、恋愛運を占ってみるが、結果は「妻に見えず」。偽妃だから当然だ。それに生贄だとバレたら、月麗は喰われてしまうー。怯える姿を尻目に、皇帝は月麗を喰べるつもりもなく、たっぷり溺愛しようと後宮専属の占筮者へと任命した。だけれど後宮は一癖も二癖もある妃達ばかり。慌てる月麗の前に、モフモフの黒猫が現れて…?
宏美は東京でOL生活中。仕事帰りにスマホを見ると、母親から突然、今向かってるとメッセージが。正直、仕事で疲れているので、相手をするのは面倒だ。そう思い帰宅するとー「お邪魔しています」。部屋には何故か、こたつに入った喋る犬がいて!?犬は一宿一飯の恩義と言い、なんと宏美の声真似をして、やって来た母親の相手をしてくれた。すると傍目に二人の会話を聞く宏美にも、母親との思い出が蘇り…。そんなちょっとだけ疲れた普通の人たちの物語。こたつ犬があなたの“や”なこと、代わります。
恋愛に全く無縁のアラサー男子、陽輔。一念発起、縁結びで名高い九比等神社を訪れおみくじを引くも「恋愛無理」。打ちひしがれていると、そこへ矢が襲いかかる。難を逃れた陽輔の前に現われたのは、祭神・九比等命。神の矢が通じないのは、“恋愛粉砕体質”だと告げ、恋愛成就の仕事に協力すれば、体質改善しようと持ちかけられる。けれど、神社から一歩出れば力が及ばず猫の姿になる神様なんて、不安しかないような…。ツクヨミ、弁才天、アメノウズメー悩める女子(神様)の恋愛相談、一人と一匹が請け負います!
人生に迷った人が辿り着く、猫が営む小さな店『お直し処猫庵』。美味しいお茶請けも有りますー。手作り豆大福で彼のハートを掴みたい女子高生・美矢子。自分の不器用さに絶望しとぼとぼ歩いていると、渋いおじさんの声が響く。「うそやん」思わず呟いた彼女の前には、二本足の直立で、自分の身長より長い箒を持った…猫!?姿を消した愛猫を捜し深夜さ迷うOLや、猫庵のライバル店(?)『お手入れ処』の柴犬店主まで登場で、猫庵は今日もにゃんだか大忙し!?誰もが応援したくなるお話がたくさん詰まった一冊です。
時は乱世。昼寝を愛する公家の娘・鴻子へ、正室として嫁ぐように若殿・次郎左から声が掛かる。「面倒だけど、ゴロゴロしていれば離縁だろう」と考えていたところ、次郎左から「我が右腕になってくれ」と命じられ、ぶったまげる鴻子。しかし、ふかふかの寝台の誘惑に、つい頷いてしまう。武家屋敷の生活では、家臣には馬鹿にされ、馬に乗れば筋肉痛で、正室としてもギクシャク。無謀にみえる嫁と軍師の二つの顔だが、実は彼女には秘策があったー?気楽に昼寝ができる世を目指し、ぐうたら戦国時代を駆け抜けろ!
口下手なOL・由奈はへこんでいた。お気に入りでいつもぶらさげていた猫のストラップ。それを彼氏に幼稚だとダメ出しされた上、道ばたで盛大に転んだ拍子に壊してしまったのだ。すると目の前を二足歩行の猫がすたこら通り過ぎていく。顔を上げると、そこは「なんでもお直しします」と書かれた店『猫庵』。「猫の手を貸してやろう」猫は短い前足で腕を組み(?)由奈を覗き込む。その瞳はまるで彼女の胸の内を見透かしているようでー!?猫店長にその悩み明かしてみては?にゃあんが紡ぐ小さな奇跡。
母校で司書を務める孝平は追い詰められていた。図書室だよりに載せたとある本の書評が大炎上。廃刊の危機が迫っていたのだ。そこへ当の作家・香耶が学校を訪れ、なんと図書室だよりへ物語の執筆を買って出るという。「初恋の女の子も小説を書いていたんです」孝平が学生時代の想い出を口にするたび、香耶との間に甘酸っぱい空気が漂う。どこか懐かしさを纏った彼女の孝平は徐々に惹かれ始めー。図書室に隠された切なさが、きっと温かな涙に変わる。奇跡の巡りあいが綴られた青春恋愛物語。
「明日ね、わたしとーホテルでお泊まりしよ?」あれ?これってアニメショップでバイトするラノベじゃなかったの?と思ってるそこのアナタ!大丈夫!俺も驚いてます!どうも、庫川武詞です。とらのまき庵波店に強力なライバルが現れてケンカをふっかけられたので、ソイツを倒すために百倍の重力でトレーニングしたり、現実の一時間が二千時間に相当する空間で修行したり、師の命と引き換えに奥義を修得したりするのかと思ったのに、やることはまさかの「幼馴染みとホテルに行くこと」だった!?-。