著者 : 道草家守
珠を守るため自らを封じた銀市。彼を救うべく、珠は命を賭けて封印に入り込む。刻限は彼女を守る“髪飾り”の牡丹が散りきるまでー。しかし、封印の中で再会した銀市は記憶を失い、珠を「知らない」と言い放つ。珠はそこで、人を拒絶していた遠い過去の銀市を知ることに。それでも一心に彼のことを想い…。一方の銀市も、見知らぬはずの少女・珠に記憶を揺さぶられ、どうしようもなく彼女に心寄せてしまう己に戸惑っていた。刻々と時が迫るなか、封印の内側では、銀市の岐路となった江戸の大火事件が再現され…?
妖精にまつわる“花嫁の宝飾品”のため、ある館を訪れたローザとアルヴィン。そこにはローザそっくりの娘が描かれた絵画が!さらに館にはローザの瞳に金粉が舞う秘密を知る男ロビンが現れ…?不思議な運命のなかアルヴィンはローザに近づく男を無意識に警戒し、彼女の笑顔に胸がざわめく自分に驚く。一方のローザも、彼が己の身を顧みない様子に心を痛めつつ、健気に寄り添っていた。ふたりの心が変化し、交差するとき。パリュールに秘められた謎は、ローザを渦中に巻き込む事件へと発展していくー。
御堂からの依頼で、特異事案対策部隊の駐屯所に住み込みで派遣された珠。口入れ屋・銀古での経験を生かし、妖怪とも協力して部隊を支える。銀市と離れて暮らすことに寂しさを感じつつも、手紙を通して素直な気持ちを伝え合った珠は、彼の過去を垣間見る。一方の銀市は意図せず増大する自らの力と静かに戦っていた。久しぶりに会った銀市の様子を不安に思う珠。部隊の協力者・アダムからは、「妖怪も人も信じすぎてはいけない」と忠告される。そんな折、連続不審火の重要参考人として銀市が拘束されてしまいー。
絶望の淵にいたローザは、美貌の貴公子アルヴィンに救われた。今は聡明な少女として、骨董店で彼を支えている。しかし、アルヴィンがもつ教養や莫大な財産は、彼女にとって謎めいたまま。ある日、ローザは貴族の青年をとっさの機転で助ける。家族に対する想いを語り合い、打ち解ける二人だがー。なんと青年はアルヴィンの兄弟だった。彼こそ伯爵家でのアルヴィンの立場を奪った者だという。アルヴィンが貴族だったことに驚くローザだが、“妖精”にまつわる過去からすれ違い続ける兄弟のために心を砕き…?
勤め先の先輩である瑠璃子が出奔してしまったー。折しも、口入れ屋・銀古の繁忙期。珠は瑠璃子の代わりに、秋桜の咲き乱れる洋館での勤めを任される。珠なりに洋館の“人ならざる者”に真贄に向き合い、縁を結んだことで洋裁を習うことに。銀市のシャツを仕立てながら彼を想い、しだいに乙女らしい感情も育んでいく。銀市も彼女の花開く姿を慈しむ一方、珠がいずれ自分の手を離れる予感と、只人として生きるには強すぎる彼女の贄の力を憂いていた。さらに、瑠璃子失踪の原因となった存在も珠にそそられ…?
身寄りを亡くし、絶望の淵にいた少女ローザ。彼女はある事情で、居場所も母の遺品すらも奪われた。そこに手を差し伸べたのが、美貌の貴公子アルヴィンだったー。ローザは看板娘として、妖精と花のモチーフを蒐集した彼の店に勤めることに。地位と財をもち、一風変わった彼の優しさに触れて、次第にローザは生来の聡明さと凛と美しい佇まいを取り戻していく。一方、アルヴィンが伝承上の妖精に強い関心を寄せる背景にも、秘めた過去と哀しみがあり…?伝承に託された謎が、孤独な二人の魂を救う。西洋風幻想浪漫開幕!
七夕の頃。銀市と旧知の神使・灯佳を助けた珠は、礼としてなぜか五歳の姿にされてしまう。望んでいない“礼”に困惑するが…?時をあわせたように、神隠しの噂が店に持ち込まれる。珠は子ども姿でも役に立ちたいと努め、解決の糸口を見出す。しかし同時に、幼い体に引きずられ、独りではままならぬ感情と経験を噛みしめる。人に上手く頼れぬ彼女に、銀市たちの慈しみが注がれー自覚したのは、温かな気持ち。一方その背後では、隠し神の噂を皮切りに、銀市や珠を巻き込む哀しい昔物語が蘇りつつあった。
珠は窮地を救ってくれた男・銀市の店で健気に勤めている。ある偶然から、珠は以前の勤め先の華族令嬢と再会。友人と呼べる初めての関係に戸惑いながらも、珠は令嬢を通じて少女の“普通の幸せ”を知っていく。銀市はそんな少女を優しく見守り、ときに助言し、彼女の成長に寄り添っていた。しかし朗らかに見えた令嬢も、華族の娘ならではの哀しさと決意を抱えていた。友人として彼女を助けたいと願う珠に、銀市はー。同時に、華族子弟にまつわる“人ならざる者”の事件の裏で、銀市の過去に関わる闇がうごめき…。
寒空の帝都に放り出された珠。彼女の窮地を救ったのは、不思議な髪色をした男・銀市だった。口入れ屋の旦那である銀市の厚意で、珠は住み込みで働くことに。感謝する珠だが“人ならざる者”が見えて贄とされた過去により、上手く感情を表せない。一方の銀市も複雑な境遇のようで…だからこそ珠を思いやってくれる。恩に報いるため健気に勤める珠は、店でも信頼を得て平穏を知る。しかし、帝都で続く少女の失踪事件に否応なく巻き込まれー。秘密を抱える珠と銀市が、お互いの居場所を見つけるまでの浪漫綺譚。
三十歳の時に、異世界に勇者として召喚された祈里(女)。彼女は当初、そこの住人に男に間違われたため、魔王を倒した後も表向きは青年王として国を統治している。そんなある日、ひょんなことから外見が十歳くらいの美少女に変わってしまった!これを幸いに、お忍び旅に出る祈里。途中で出会った、妙に気の合う傭兵・ライゼンを相棒に旅を満喫していたのだけれど行く先々で、なぜか勇者や魔王が関係する事件に遭う羽目に。おまけに「勇者教」などと名乗る怪しげな団体まで現れて!?見た目は美少女、心はアラフォーの勇者王による、異世界満喫お忍び旅第2弾!