著者 : raemz
オリジナルがやりたくないことを押しつける身代わり、“レプリカ”だった私だけど、その役割を失って。「素直が何を考えてるか分からなくて、怖い」そんな思いを抱えながら、季節は冬に向かっていく。素直が修学旅行に行っている間、私はアキくんと一緒に、リョウ先輩の故郷・富士宮へ行くことになった。それぞれ別々の場所で、はじめての旅を楽しみつつ、レプリカの仕組みの謎を紐解くピースを拾いー。そして私は、素直が秘めた思いと、知らなかった真実と、向き合うことになる。-ナオと素直。それぞれの視点から描かれる、転機の第3巻。
体育館の二階で出会って、美人だなーとは思っていた。同時にやつは、わたしの三倍ぐらい不良だなとも。本人の柔らかい印象のせいだった気がする。最初に名前を聞いて、浮かんだ名前はひらがなだった。卓球場から、マンションまで。女子高生からOLまで。サボり仲間から、恋人まで。長いようで短い二人の時間。そのこぼれ話を拾った書き下ろし多数の短編集。同棲直前、安達母への挨拶の日を綴った中編『そして…』も収録。
「おかえり。仕事疲れたでしょ」「うん。あ、でもしまむらの顔見たら疲れが吹っ飛んだ…みたいな…」「ほーう。じゃ、元気なとこ見せて」「え…。げ、げんきー」こんな調子で、私たちはずっと続いていくんだろうなあ。たぶんおばあちゃんになっても。ひょっとすると三千七百年くらい経っても。TVアニメ『安達としまむら』BD・DVD特典小説、イラスト付きで待望の文庫化!
「打上花火、してみたいんですよね」花火にはまだ早い四月、東京の夜。内気な大学生・空野かけるはひとりの女性に出会う。名前は冬月小春。周りから浮くほど美人で、よく笑い、自分と真逆で明るい人。話すと、そんな印象を持った。最初は。ただ、彼女は目が見えなかった。それでも毎日、大学へ通い、サークルにも興味を持ち、友達も作った。自分とは違い何も諦めていなかった。-打上花火をする夢も。目が見えないのに?そんな思い込みはもういらない。気付けば、いつも隣にいた君のため、走り出すーこれは、GA文庫大賞史上、最も不自由で、最も自由な恋の物語。
「ねぇ。しばらく私の代わりに学校行ってくれない?」不気味なくらいに優しい素直の言葉が、私を惑わせる。オリジナルがやりたくないことを押しつける身代わり、“レプリカ”には、手に入るはずもなかったもの。“ふつう”の学校生活を送る日々が訪れた。文芸部の廃部の危機を救うため、奔走して。アキくんとの距離も、縮まって。そしてー。「ナオちゃん。わたしを見つけてくれて、ありがとう」秋。私の好きな人と同じ名前をした季節に、忘れられない出会いをした。第29回電撃小説大賞“大賞”受賞作、切なく胸を打つ第2巻。
「昔むかし、あるところに、暗雲姫と呼ばれる美しいお姫さまがいましたー」穏やかな9月が終わり、10月。藤志高祭の準備は佳境を迎えている。俺たちのクラスの出し物は、オリジナル演劇『白雪姫と暗雲姫と優柔不断な王子さま』。白雪姫は夕湖で…あとはわかるな?なずなの意図を感じつつ、俺たちは映し鏡のような物語を演じていく。はふう、と。真夜中みたいな吐息を漏らして、暗雲姫が口を開いた。「鏡よ鏡。-この世でいちばん美しいのは、誰?」朱々しい毒りんごを胸に潜ませて。七瀬悠月の舞台が、幕を開けるー。
「昔むかし、あるところに、暗雲姫と呼ばれる美しいお姫さまがいましたー」穏やかな9月が終わり、10月。藤志高祭の準備は佳境を迎えている。俺たちのクラスの出し物は、オリジナル演劇『白雪姫と暗雲姫と優柔不断な王子さま』。白雪姫は夕湖で…あとはわかるな?なずなの意図を感じつつ、俺たちは映し鏡のような物語を演じていく。はふう、と。真夜中にみたいな吐息を漏らして、暗雲姫が口を開いた。「鏡よ鏡。-この世でいちばん美しいのは、誰?」朱々しい毒りんごを胸に潜ませて。七瀬悠月の舞台が、幕を開けるー。
具合が悪い日、面倒な日直の仕事がある日、定期テストの日…。学校に行くのが億劫な日に呼び出される分身体、それが私。自由に出歩くこともできない、オリジナルの身代わりとして働くのが使命の人生。だったはずなのに、恋をしてしまったんだ。好きになった彼に私のことを見分けてもらうために、髪型をハーフアップにした。学校をサボって、内緒で二人きりの遠足をした。そして、明日も、明後日も、その先も会う約束をした。名前も、身体も、ぜんぶ借り物で、空っぽだったはずの私だけど、この恋心は、私だけのもの。第29回電撃小説大賞の頂点に輝いた、とっても純粋で、ちょっぴり不思議な青春ラブストーリー。
安達としまむら、二十二歳。私は今、真っ赤になった安達の右足を掴んで眺めていた。次はどこにキスするのがいいかな。なんでこんなことになってるんだっけ。夏の暑さで常識が脱水症状を起こしてるのかもしれない。…あ、旅行の計画を立てるはずだったんだ。「ところで、安達は旅行楽しみ?」「ほほふぇ?りょほー?」小学生、中学生、高校生。夏は毎年違う顔を見せる。こうして同じ人と、同じ時間を、二人で過ごしていたとしても。そんな、夏を巡る二人のお話。
「1年5組の望紅葉です。よろしくお願いします」夏休みが明けて、九月。藤志高祭に向けた準備が始まった。校外祭、体育祭、文化祭が連なる、高校生活でもとびきり華やかなイベントだ。俺たちは青組の応援団に立候補し、グループパフォーマンスを披露する。縦割りチームで3年代表として明日姉が、そして1年からは陸上部の紅葉が参加することになった。夏でも秋でもない、あわいの季節。俺たちは時間と追いかけっこしながら、おだやかな青に染まっていくー。
「ばいばいみんな、また二学期にな」それぞれの思いが花火のように夜空を染めた夏。少女たちは、再び手を伸ばす。心の奥に沈む、大切な月を掬えるようにと。熱く駆けぬけた季節を終わらせ、もう一度歩き出せるようにと。終わりはきっと、なにかの始まりだから。短夜を彩る珠玉の「長篇」集。-だから、ばいばい、人生で一度きりの夏。
私は明日、この家を出ていく。しまむらと一緒に暮らすために。私もしまむらも、大人になっていた。「あーだち」跳ね起きる。「おぉでっ」派手に後退した私を見て、しまむらが目を丸くした。両手をおどけるように上げる。下りて目にかかる髪を払いながら、左右を見回して、ああそうだと理解していく。マンションに移り住んだのだった。二人きりなのか、これからずっと。「よ、よろしくお願いします」「こっちもいっぱいお願いしちゃうので、覚悟しといてね」私の世界はしまむらですべてが出来上がっていて、これからの未来になにも不安などないのだ。
すべては変わってしまった。唐突に、劇的に。どうしようもないほど残酷に。けれど、ひとりで塞ぎ込む時間を、彼女は与えてくれなかった。「あの日のあなたがそうしてくれたように。今度は私が誰よりも朔くんの隣にいるの」-1年前。まだ優空が内田さんで、俺が千歳くんで。お互いの“心”に触れ合ったあの日。俺たちの関係がはじまったあの夜を思い出す。優空は言う。「大丈夫、だいじょうぶ」月の見えない夜に無くした何かを、また手繰りよせられるというように。…俺たちの夏は。まだ、終わらない。
夏休み。藤志高では恒例の、2・3年合同の勉強合宿。と言っても、2年生の俺たちにとっては、仲間たちと夏のイベントを楽しむいい機会だ。どこまでも青い空と海。色とりどりの女子の水着。夜、ふたりきりのナイショ話。男だけの温泉回(?)…。眩しい光景を見つめながら、あるいは目をそらしながら。俺たちは、こぼれ落ちそうな思い出を、ポケットいっぱいに詰め込んでいく。-なにかが変わる夏が、賑やかに密やかに、幕を開けた。
夏休み。藤志高では恒例の、2・3年合同の勉強合宿。と言っても、2年生の俺たちにとっては、仲間たちと夏のイベントを楽しむいい機会だ。どこまでも青い空と海。色とりどりの女子の水着。夜、ふたりきりのナイショ話。男だけの温泉回(?)…。眩しい光景を見つめながら、あるいは目をそらしながら。俺たちは、こぼれ落ちそうな思い出を、ポケットいっぱいに詰め込んでいく。-なにかが変わる夏が、賑やかに密やかに、幕を開けた。“チラムネ”初、130pショートストーリー冊子付き。
自他共に認めるコミュ障な永遠。誰からも愛される向日葵みたいなリリ。正反対だけどいつも一緒な、大親友の二人にはある秘密が。それは「カブ厨」なこと。「メルベイユ!」「尊すぎます!」今日も放課後の空き教室で、様々なカップリングへの愛と妄想を語り合う日々。そしてリリには、永遠にも言えないもう一つの秘密がー本当は、永遠が好き。永遠との語らい、見つめ合い、笑い合う放課後。大好きな人を独り占めできる最高に幸せな時間。のはずが…近頃、続々と乱入者が現れて!?華ざかり。最強に可愛い女子高生の秘密がつまった放課後ガールズラブ。
インハイ予選を終えた7月。陽はチームの新キャプテンになった。仲間とぶつかり合いながら切磋琢磨し、ともに高みを目指す日々。その姿はやけに眩しく、俺の心を揺さぶった。そんなとき、野球部のエース、江崎が現れる。「朔…頼む、野球部に戻ってくれ。どうしても、お前の力が必要なんだ」-あの暑い夏の日。自分で止めた時計が、もう一度音を立てて動き出した。これは、挫折と葛藤、そしていまだ胸にうずく“熱”の物語。あの夏を終わらせて、もう一度、夏を始めるための物語。
「千歳しかいないの。どうかお願いします。私と付き合ってください」面と向かって女の子にこんなことを言われたら、大概悪い気はしないだろう。それが、七瀬悠月のようなとびっきりの美少女ならなおさらだ。でも、うまい話には大概裏がある。美しい月の光が、ときに人を狂わせるように。-これは、そうして始まった、俺と七瀬悠月の偽りの恋の物語だ。人気沸騰の“リア充側”青春ラブコメ、待望の第2弾登場!
「五組の千歳朔はヤリチン糞野郎」-学校裏サイトで叩かれながらも、藤志高校のトップカーストに君臨するリア充・千歳朔。彼のまわりには、外見も中身も優れた友人たちがいつも集まっている。圧倒的姫オーラの正妻ポジション・柊夕湖、努力型の後天的リア充・内田優空、バスケ部エースの元気娘・青海陽…。仲間たちと楽しく新クラスをスタートさせたのも束の間、朔はとある引きこもり生徒の更生を頼まれる。これは、彼のリア充ハーレム物語か、それともー?新時代を告げる“リア充側”青春ラブコメ、ここに堂々開幕!!第13回小学館ライトノベル大賞優秀賞受賞。