2005年5月発売
最充実期のクーベリックが手兵バイエルン放送響と残したシューマン。ゆったりとしたテンポで進められるが、音楽が剛毅で折り目正しく、まったく弛緩しない。まさにドイツ音楽というべき演奏。オーケストラの渋めの音色も作品によく合っている。
クーベリックにとってのベスト・コンビネーションは、晩年に再会したチェコ・フィルでもなく、ミュンヘンのこのオケ以外にないと今さらのように確信される。古風で少々さびれた典雅さが古いドイツの空気感を表出させる、説得力あふれるシューマンは逸品。
明治はじめの六代目桂文治が得意だったという「小烏丸」は、今ではめったに聴けない噺だ。川柳や芝居がかりのセリフがアクセントになっている。同様に「辻八卦」でも芝居「忠臣蔵」の「四段目」と「五段目山崎街道」のセリフが……庶民の教養がポイント。
ドラマ『タイガー&ドラゴン』にもレギュラー出演した昇太の古典落語二題。若手きっての名人も、もう40代半ば。モダンなセンスと古典の世界を無理なく結ぶ話芸は、すっかり名人の領域だ。本人による音声解説“トーク・ライナーノーツ”は重宝する。★
リストに続く第2弾。「24の前奏曲」では前半部分はやや抑制した、冷静な弾き方に徹しているが、ライヴのように徐々に熱を帯び、曲によってはスケールの大きさもしっかりと披露してくれる。最後の夜想曲も若々しい抒情と繊細さにあふれた演奏。
“天才少年ピアノ”の歴史にページを付け加えたキルギスの鬼才、エルダー。目くるめくテクニックと、熟達のジャズ・ファンを魅惑する老成した“手練手管”はニュー・トリオをあざ笑う凄さ! マンハッタンから全米に旋風を巻き起こした恐るべき才能が現れた。★
衝撃の問題作2作から早2年3ヵ月、待望のスタジオ・レコーディング・オリジナル・アルバム。世界に誇る最強ロック・トリオに相応しい、期待に十分こたえるさらに進化したサウンドが炸裂する。
神戸発のインスト・アコースティック・ギター・デュオ、DEPAPEPEのメジャー・デビューにして初のフル・アルバム。心象風景や喜怒哀楽を巧みに表現した、心を満たす軽快なサウンドやせつないメロディが魅力だ。
日本を代表するビッグバンドを率いる女性ピアニストのオーケストラ作品第2弾。ソロイストの力量を生かしつつ、緻密なアンサンブルをバランスよく構成。リーダーのピアノが秀逸。メロディの美しさを際立たせたアレンジで、初心者にも楽しめる作品に。
韓国シンガーの日本での2作目となるシングル。真骨頂のバラードの同曲を(1)では日本語、(3)では韓国語で歌うが、どちらも5分内のバランス配分を体得したドラマティックな歌唱が見事。(2)の英語曲も含め、卓越した表現力が、国境を越えて人気なのも頷ける。
CHEMISTRYとの共演でも知られる韓国の歌姫リナ・パークのセカンド・アルバム。キュートな歌声による抜群の歌唱力を武器に感情たっぷりに歌った、しっとりとするようなR&B系のナンバーはどれも素晴らしく、心打たれる大人の作品に仕上がっている。