小説むすび | 著者 : ベティ・ニールズ

著者 : ベティ・ニールズ

男爵夫人の憂鬱男爵夫人の憂鬱

愛なき求婚をされて気づいたーー 彼を、ずっと好きだったことに。 看護師のカトリーナは、パーティでオランダの男爵ラフと知り合った。 落ち着き払った長身の彼は高慢な有閑人といった風情で、 カトリーナは何を話せばいいかわからず、天気の話をするほかなかった。 その夜は気まずく別れたが、後日、職場の病院で再会したとき、 外科医でもあるラフが急患の処置をてきぱきこなす姿に胸を高鳴らせた。 彼はとても優雅で、それでいて有能で頼りがいもあるわ……。 そんなカトリーナも周りから頼りにされる働き者だったが、ある日、 迷惑な同僚に言い寄られ、思わず、もうすぐ退職すると言ってしまう。 すると、次の仕事のあてもない彼女に、ラフが驚きの提案を投げかけた! 「僕は妻が欲しい。僕と結婚することを考えてくれないか?」 カトリーナより10歳以上も年上のラフは、自分は恋にのぼせあがるような年齢じゃないと言い、プロポーズをしました。彼が情熱的な愛を望んでいないのだと思うと、切なくなるカトリーナでしたが……。穏やかで優しい作風に癒やされる、不朽の名作です。

教授はそばかすがお好き教授はそばかすがお好き

「僕はそばかすが好きだよ」 落ちこむ彼女に、教授は言った。 私は子供たちを守ろうとしただけなのに、“猛女”ですって? 子守りのデボラは、突然現れた雇主の兄ギデオンに立腹した。 ハンサムで優雅な身なりの彼は教授らしいが、態度が尊大なのだ。 魅力的な笑顔にほだされちゃだめ。こんな失礼な人、もう会いたくない。 ところがある日、デボラが雇主一家の休暇先に同行すると、 なんとそこには、またしてもギデオンの姿が……。 驚き、とまどうデボラだったが、一緒に過ごすうち、 赤ん坊や子供に優しい彼の意外な一面を知り、急速に惹かれていった。 デボラの淡い恋心はしかし、ギデオンの不意の言葉に振り回される! 「僕と結婚してくれないか? ああ、ロマンスや愛は問題ではないが」 唯一無二の作家の名作集《ベティ・ニールズ・コレクション》をお贈りします。本心では何を考えているのかわからないヒーローですが、雇主にそばかすを指摘されて赤面する年頃のヒロインに対し、彼が後日、ドライブ中にさりげなくかけてあげる言葉が印象的です。

愛に気づかずに愛に気づかずに

家も仕事も失い、ぽつんと一人。 立ち尽くす娘を拾ったのはーー エマは、父が生前、投資に失敗して多額の借金を残したと聞き、 住んでいた家や家財を手放すことになって呆然とした。 母と二人で、別荘代わりに使ってきた避暑地の小さな家に移り住んで、 パートタイムの仕事を探し、ゆとりはないがなんとか生活の目処を立てる。 しかし、贅沢に慣れた母は質素な暮らしに適応できず、エマを困らせた。 そんな彼女にとって、診療所のいつも冷静沈着なオランダ人医師、 ドクター・ヴァンダイクだけが密かな心の支えだった。 でも、いつか国へ帰ってしまう人に、恋なんかしちゃだめだわ。 やがて季節が移り、エマは母の気まぐれで家を追い出されることになり、 それまでの仕事も失って、寄る辺のなさに涙をにじませた。 するとなんと、帰国するヴァンダイクがエマも連れていくと言いだし……。 唯一無二の作風で綴られる名作を厳選してお贈りする〈ベティ・ニールズ選集〉です。本作は、すべてを失ってしまった不運な娘と、年上の裕福なドクターの恋物語。幸せな結婚は、情熱に任せてするものではないーーそう告げるヒーローの真意は?

運命の鎖運命の鎖

切なさや悲しみはこらえてきた。 でも、こらえきれない涙もある……。 領主館に勤めるスザンナは、敷地内の小さな家におばと暮らしていた。 だが最愛のおばが亡くなったとたん、くびを宣告されたうえに、 半月のあいだに家も明け渡すように言われてしまう。 かつて孤児となったスザンナを、おばは快く引き取ってくれた。 以来、ここは唯一安心できる我が家だったのに……。 退去までにすべきことを、スザンナが紙に書き出していると、 目の前に、おばの最期を看取った外科医のガイが現れた。 初対面では冷たい印象だった彼も、今は気遣う表情を見せている。 その瞬間、懸命にこらえていたはずの悲しみが、 大粒の涙となって、スザンナの青白い頬を流れ落ちたーー 不遇ながらも一生懸命に生きる主人公を数々描いたB・ニールズですが、中でも本作のヒロインは屈指のいじらしさ。交通遺児となり、大学に行く夢が叶わなかった切なさを抱えていても、けっして顔には出さないスザンナが、なぜかガイに対しては感情を隠せず……。

虹に憧れて虹に憧れて

虹のむこうに幸せがある。 そう信じても、虹はこの手に届かない。 物心がつく前に孤児になったオリンピアは、伯母に引き取られ、 家事につけ仕事につけこき使われる日々を送っている。 ある日、使いの合間に、前から見たかった美術館へ寄ったが、 時間に追われるあまり階段で転び、膝をすりむいてしまう。 すると、品のよい銀髪まじりの紳士が手をさしのべてくれた。 私ったら、みっともない。それに比べ、なんてハンサムな方かしら。 だが、そのオランダから来た紳士はワルドーと名乗るなり、 断言するようにこう告げた。「君は結婚していないね」 伯母の言うとおり、私は男性が結婚したがる娘ではないということ? ワルドーの言葉に戸惑い、恥じ入るオリンピアだったが……。 穏やかな作風で多くのファンの心をとらえて離さないベティ・ニールズの傑作をお贈りします。おまえは結婚なんてできないと伯母に言われ、自分でもそう思っているオリンピア。けれど、そんな彼女が出会った裕福なオランダ紳士は、どうやら違う考えのようで……。

このエントリーをはてなブックマークに追加
TOP