著者 : 堂場瞬一
大手総合商社テイゲンに、同社と旧ソ連の不適切な関係を指摘する文書が届いた。現会長の糸山が、30年前に旧ソ連のスパイ活動を行ったというものだった。警察に届けるわけにいかないテイゲンは、秘密裏に危機管理会社「TCR」に解決を依頼。元刑事の長須恭介が真相究明に動き出す。そして犯人から現金10億円を要求する第2の脅迫状が届けられた。長須は、正義とクライアントの利益に葛藤しながら、巨大企業の“闇”に挑む。
北多摩団地交番で警察官が射殺された。被害者は益田護。支援課にも出動要請が掛かる。遺族に面会する村野だが、その息子・智樹は捜査一課の刑事だった。さらに事件に使われた拳銃が五年前の交番襲撃事件で奪われたものだと判明する。自らの手で犯人逮捕をと息巻く智樹に、村野は二人だけの秘密捜査を提案する。
亡くなった父親の遺品を整理中、作家の本谷は意外なものを発見する。1963年、日本初のメジャーリーガーが誕生する以前、マイナーリーグのサクラメント・ゴールドハンターズで野球をする若き日の父が写った一枚の写真。厳格で仕事一筋、自分と相容れなかった父の過去を知るべく、本谷はアメリカへー。
捜査一課の一ノ瀬拓真は、異動してきたばかりの係長・大城に苦手意識を抱いている。隣の係が担当する事件の「尻拭い」を一ノ瀬らに命ずる大城。芸能事務所社員が殺害された事件で、聴取後に被疑者が逃亡したというのだが…。業界の闇、錯綜する思惑、捜査方針を巡る対立ー。果たして、悲運な者たちの鎮魂はなるか?書き下ろし警察小説。
息子のかつての同級生の母親から連絡を受けた大友鉄。娘が通う中学の保護者が何者かに襲われたと言う。やがて別の父兄も被害に遭い、捜査に加わるも容疑者は二転三転。はたして犯人の動機はー。最愛の妻を亡くし、捜査一課から刑事総務課に異動して息子の優斗を育てるイクメン刑事シリーズ、ついに完結!
本の街、アウトドアの街、楽器の街…。いくつもの顔を持つ東京・神保町を震撼させる惨殺事件が発生した。地元に生まれ育った法学部准教授の吾妻は被害者が高校の後輩であることを知る。楽器店のオーナーだった後輩の店からは一億二千万円の超高級ギターがなくなっていた。調べていくうちに吾妻はヴィンテージギター業界の内情、オークションの世界のからくりを知る。犯人を追跡する彼をことごとく妨害するのは旧知の地元署の刑事。そして浮かび上がってきたのは狂乱の地上げ時代の亡霊たちだった…。堂場瞬一渾身の社会派ミステリー。神保町の名店も多数登場。
1985年、渋谷。刑事の生沢宗太郎は代官山で起きた殺人事件の報を受ける。死体の額には“十字の傷”が付けられているのだという。20年前の連続殺人がなぜいま?生沢は犯人を追うがー。彼はなぜ殺すのか?半世紀という時の流れに潜む殺人者。「人が人を殺す」という問いに向き合い描く記念碑的巨編。
太陽の塔、USJなど、大阪の名所で連続爆破が発生。府警が混乱する現場に出動するなか、大阪駅で人質を盾にした立て籠もり事件が起こる。犯人は現金10億円と逃走用ヘリを要求。駅を封鎖した管轄署長の島村は、早急な解決を目指すが…。膠着した現場に、東京の神谷刑事から、驚愕の情報が入る。島村はある策を得て、巧妙に計画された犯罪に挑む!「検証捜査」の魂を継ぐ書き下ろし警察小説。
長原製薬の広報部員・槇田は、副社長から極秘任務を命じられた。相次いで発生した転落死亡事故に、自社製品が関わっている可能性があるという。外資企業と合併交渉中の長原製薬にとって、この時期の不祥事は致命的だ。被害者家族の口を封じるために動く槇田は、隠蔽された過去の公害事件にも直面しー。巻末に「玉山鉄二×堂場瞬一対談」を収録。
タイムリミットは24時間。最も過酷な「アドベンチャーレース」に参加した機動隊員が、家族を人質に脅迫された。妻子を救い、犯人を追い詰めて、そしてレースに勝利できるのか?警察小説の名手が描く、スポーツ・サスペンスの最先端。
富山空港旅客機墜落事故。死者20名、負傷者多数。村野秋生たち被害者支援課も総動員された。遺族のケアに奔走する村野は、一人だけ身元がわからない死亡者がいると聞かされる。男の身許を調べる村野だが、事態は思わぬ方向へ進んでいく。男の名は本井忠介、それは毒殺事件の指名手配犯だった。
旅客機事故で死亡した指名手配犯・本井忠介。その嫌疑に疑いをもった村野は、単独で事件を検証する。その捜査中、本井の関係者に新たな死者が出た。連鎖する殺人と15年前に起きた毒殺事件の記憶。錯迷する事件に失踪課・高城賢吾までが、村野に協力するが、闇の果てに浮かび上がる悪とは?
母子家庭の幼い姉妹が自宅で殺害される。死体発見時から母親が行方不明の為、母親犯人説が浮上。日本新報甲府支局の南は、本社への栄転を懸け、特ダネを狙って精力的に事件情報を収集。警察のネタ元から犯人の情報を掴み、紙面のトップを飾る記事を書いた。だが、それは大誤報となって…。巧妙な罠に翻弄されながらも、新聞記者としての矜持と野心の狭間で真実を追う男の闘い。長編ミステリー。
捜査一課への異動から一年。一之瀬は、新たに強行班へ加わった後輩の春山と共に福島へ出張していた。新橋で発生した強盗殺人事件の指名手配犯が県内で確保され、その身柄を引き取るためだ。楽な任務と思われたが、被疑者を乗せ福島駅に向かう途中、護送車が襲撃されー。若手刑事たちの奮闘を描く、書き下ろし警察小説シリーズ。
知能犯を扱う捜査二課の同期・茂山から、結婚詐欺グループの一員と思しき女・荒川美智留の内偵を依頼された大友鉄。美智留は元シンクロ選手でスポーツジムのインストラクター。真面目で魅力的な女性に見えるが、大友は得意の演技力で美智留に接近し、事件の裏に潜む複雑な事情に分け入っていく。大人気の警察小説シリーズ第8弾!
捜査一課から地元の武蔵野中央署へと転出した刑事・瀧靖春は、旧友の長崎から姪の恵が行方不明になっていると相談を受けた。市議会議員の選挙運動を手伝っていたという恵。その足取りを追う中、瀧は過去に類似の失踪事件が起きていたことに気づく。やがて瀧の捜査にも見えざる圧力がかかりはじめ…。
日本新報の新聞記者・南康祐は、会社にとって不利益な情報を握る危険人物であるとみなされ、編集局から社長室へと異動させられる。その頃、新聞社に未来はないと判断し、外資系IT企業・AMCへの「身売り」工作を始めていた社長の小寺が急死する。九州に左遷されていた新里が急遽社長に就任することとなり、売却交渉を引き継ぐが、労働組合から会社OBまで、多方面から徹底的な反発を受ける。危機に瀕した大手新聞社が行き着いた結末とはー。