著者 : 雪美月志音
両親を亡くした天涯孤独のエリーは、故郷スコットランドから憧れのニューヨークへやってきた。早速ウエイトレスの職を得て、パーティ会場で働くが、運悪く泥酔客に絡まれ困惑していた。すると主催者の富豪アレックスが現れて彼女を救い、連れ帰った。なんて素敵な人!救世主の虜になったエリーは純潔を捧げるが、翌朝、彼女の瞳の特徴的な斑点に気づいた彼の様子が急変する。「その瞳は…そうか、きみは最初から金目当てだったのか!」訳がわからず傷ついたエリーは逃げ出すが、なぜか彼からDNA鑑定を求められ、結果が出るまで傍にいるよう迫られる。
最愛の父を亡くし、途方に暮れていた18歳のクロエ。頼れる人は富豪のラオしかおらず、居城のあるシチリアに飛ぶと、彼は書類上の結婚という形でクロエを守ると約束してくれた。ラオの庇護の下、彼女はロンドンで自立の道を探す猶予を得たが、5年後、突然ラオから呼び出され、再びシチリアへと赴いた。ついに名ばかりの結婚の解消を言い渡されるんだわ…。怯えるクロエはカリスマ的オーラを放つ富豪の言葉に耳を疑った。「僕たちの結婚を本物にする時が来た。毎晩僕のベッドに入れ!」彼女は承諾するしかなかったー跡継ぎ作りのためだけと知りつつ。
マデリンが息子とつましく暮らす小さな家に、ある日突然、イロニア王国の使者が訪れた。すぐに渡航せよとの通達だった。とうとう私の重大な秘密を知られてしまったの?6年前、短期留学生としてケンブリッジで学んでいた彼女は、イロニア王国の皇太子パリスと激しい恋に落ちた。妊娠がわかったのは帰国後で、密かに出産するしかなかったのだ。今や国王となったパリスと思わぬ再会を果たしたマデリンは、「きみは誰だ?」という彼の非情な反応に凍りついた。だが息子の存在を知るやパリスは態度を翻し、彼女に迫り…。
アリアナは知人の誕生日パーティで実業家ルカと出会い、ひと目で激しい恋に落ちて一夜を共にした。だが翌朝、「僕は結婚する。きみとは二度と会わない」と告げ、冷酷にも彼は立ち去った。傷心のアリアナに、程なく従妹からの助けを乞う連絡が届く。横暴な祖父の計略で見知らぬ男性と結婚させられるというのだ。しかも、結婚相手が…ルカ?婚約者のいる身で私の純潔を奪ったというの?酷すぎる。結婚式に参列したアリアナは、意を決して祭壇の彼に叫んだ。「この結婚は無効よ。私は…ルカの子を身ごもっているの!」
私は天国に行くのかしらー27歳の若さで?ハーパーは腹部の痛みに耐えかね、救急外来に駆け込んだ。そこで医師から告げられた診断に、驚愕する。激しい痛みは陣痛で、まもなく母親になるという。9カ月前、ハーパーは億万長者のジャックと熱い夜を過ごしたが、住む世界が違うと悟り、翌朝、彼の前から姿を消したのだった。ああ、気づかないうちに身ごもっていたなんて!頼れる人もおらず、仕方なくジャックに連絡すると、彼は出産に立ち会ったうえ、娘のための結婚を申し出て…。
メイドとして働くエフィは胸を躍らせ、銀行の面談に向かった。夢だった香水会社の立ち上げに必要な融資を受けられそうなのだ。ところが途中、富豪アキレスが起こしたトラブルに巻きこまれ、約束の時刻に間に合わず、融資の話は白紙となってしまう。もう夢をあきらめるしかないの?失意のエフィの前に、事情を知ったアキレスが再び現れると、いきなり切りだした。「僕と結婚してほしい。病床の父のため、すぐに妻が必要なんだ。もし妻になってくれるなら、きみの希望額の3倍を出そう」彼の熱いまなざしに魅入られ、気づけばエフィはうなずいていた。
ララはある吹雪の夜、木の下で昏倒している男性を見つけ、家に連れ帰って手厚く介抱した。彼は完全に記憶を失っており、自分の名前すら思いだせなかったが、それでも二人は惹かれ合い、甘く濃密な6週間を過ごしたあと、聖夜に結婚した。だがその直後、突然の見知らぬ訪問者が驚くべき事実を告げる。夫の名はガエターノ。行方不明のモスヴァキア新国王だというのだ。貧しい清掃人の私が王様の花嫁ですって?とんだ笑い物よ。ララは逃げるように姿を消したー妊娠しているとも知らずに。2年後。幼い息子と暮らすララの前に、ガエターノが現れて…。
オリヴィアの婚約者コンスタンティンの亡父の追悼会に、彼の兄で15年前に死んだはずのヴァレンティンが突然現れた。会場が大混乱に陥るなか、オリヴィアは連れ去られた。かつてヴァレンティンと幼い恋を育んだ島へ。彼が生きていた!だが喜びはなく、あるのは困惑だけだった。「僕は君を弟から取り返し、必ず君と結婚する」なぜ?あのとき、私の前から消えてしまったのに?かつて愛した人の宣言に、オリヴィアは“ノー”と答えた。ヴァレンティンの彫刻のような冷たい美貌を見上げるとー?!
なんてすてきな人なのかしら!PR会社で働くビーは来社した長身で逞しくハンサムな男性に妙な頼み事をされた。その夜開かれる慈善イベントに同行してくれないかというのだ。彼が最上客アレス・リカイオスと知って断れず承諾した行き先はなんとヴェネツィアの舞踏会。初めてのキスに酔わされた帰途、ビーは半ば誘拐される形で彼のプライベート機に連れこまれる。ギリシアのアレスの邸で“緊急事態”が発生したというのだ。彼の邸に入ると、生後間もない赤ん坊が泣きわめいていた。「1カ月だけ、ベビーシッターの代わりを務めてくれないか」