出版社 : ハーパーコリンズ・ジャパン
親戚のけちな老伯爵に家政婦のようにこき使われてきたメグは、老伯爵の死後、新しい後継者が到着する前に館を出るつもりだった。だが悪いインフルエンザにかかり、診察料を払えないため医者も呼べず瀕死の床についていたとき、夢のような救世主が現れた。マークと名乗る美青年が医者を呼び、つきっきりで看病してくれたのだ。朦朧とした意識のなか、メグはお金の心配をしつつも、マークの腕に抱かれて不思議と安心感を覚えた。献身的な看病の甲斐あってやがて体力を回復したメグは、看病してくれた人物が誰かを使用人から聞き、目の前が真っ白になった!「先日の夜に到着なさった、ラザフォード伯爵ですよ」
18歳の誕生日、アマンダは伯爵チェーザレから求婚された。それは親友同士である二人の母親が望んだことだったのだが、傲慢で情け容赦なく、誇り高い鷹のような伯爵が恐ろしくて、アマンダはプロポーズを断り、そのまま故郷を離れた。5年後、彼女は伯爵の弟ピエロと偶然の再会を果たす。優しく穏やかなピエロに伴われ、久しぶりに帰郷した彼女は、冷たい怒りをたたえたチェーザレの瞳に迎えられた。そして、アマンダは思い知らされることになる。チェーザレが、彼女の拒絶を許していなかったことを。そして、強引な求婚の第二幕が、今まさに切って落とされたことを。
ジョージーは、不本意なかたちでチャールズに純潔を奪われた。しかもそれを、彼の異母弟で裕福な銀行家コナンに知られてしまった。コナンは「責任を取って彼女と結婚しろ」とチャールズに迫ったが、あろうことか、チャールズはその後事故で急死する。いったいこれからどうなるのだろう。おなかの子は…?そう、彼女はあの一度きりで妊娠してしまっていたのだ。災難は続き、今度はジョージーが事故を起こして記憶を失う。病院に駆けつけたコナンが言った。「妻も子も無事でよかった…」私に、こんなにもハンサムで優しい夫がいたなんて。退院を迎えた夜、ジョージーは夫の熱い抱擁に迷わず身を任せた。
10年前、レイチェルは恋人スティーヴンの前から姿を消した。当時の二人は、バレリーナの卵と野心に燃える若き事業家で、スティーヴンは千載一遇のチャンスを掴もうとしているところだった。身ごもっていると気づいたのは、そのときだ。愛する人が夢に邁進できるよう、彼女はそっと身を引いたのだった。若気の至りと言うには大きすぎる過ちだったと知ったのは、10年後、レイチェル親子とスティーヴンの偶然の再会のあと…。あれからずっと彼女を捜し続けていたというスティーヴンは、裏切られた苦しみのあまり、冷徹な億万長者へと変わっていた。自分と同じ青い瞳の男の子を見て、彼の目に新たな怒りの炎が上がる。
その日、キャットは息を切らして上司のもとに駆けつけた。そこで信じられないほどハンサムな男性に目を奪われる。人々から神のごとく崇められている王ゼインは、キャットに仕事を依頼し、その日のうちに自分の国へ連れ去った。外国人が訪れない土地で、彼女は王のために働くことになった。そしてある日の深夜、黄金の宮殿の夢のように美しい部屋へ迷いこんだとき、王に誘惑されて純潔を捧げてしまう。キャットは知らなかった。この国では王と結ばれた無垢な女性は、宮殿から出ていけなくなるのだとー。ヒーローと一夜を過ごしたあと、結婚という自分の運命を知り、恐れおののくヒロイン。彼は王として、国の人々から大変な尊敬と憧れを集めていた。冴えない自分がそんな男性の妻になる?妊娠がわかると、ヒロインはますます追いつめられて…。
ポピーは両親に顧みられず、祖父母に引き取られて育った。今は祖父は亡く、祖母と幼い娘リリーと暮らしている。娘の父親は2年前、スペインでただ一度愛し合ったリコ。旅先でお金をだまし取られたポピーが、帰国費用を稼ぐためメイドに雇われた公爵家の御曹司だ。ひと目見た瞬間からリコに恋していたポピーは、彼に身も心も捧げた…。でも翌日、帰国する彼女をリコは追ってはこなかったばかりか、婚約解消したはずの女性と結婚してしまったのだ。だがある日、彼は再び現れる。まさか娘を奪うつもりではー?実らなかった身分違いの恋を忘れられぬまま、娘を心の支えに生きてきたポピー。一方、リコは妻を喪ったあと、ポピーが娘を産んだと知って花嫁に望むが…。王道シンデレラ・ロマンス!
両親と船旅に出た白血病の少女につき添う看護師のフィリダ。途中で少女の病状が悪化し、一緒に下船せざるをえなくなるが、言葉も通じない土地で重病患者を独り抱え、フィリダは途方に暮れた。そこへ、同じホテルに滞在するオランダ人医師、ピーテル・ファン・シッタートが現れ、少女を診察して病院へ送った。悲しいことに、少女がそのまま静かに息を引き取ってしまうと、その後のこともピーテルが何くれとなく手配してくれた。なんて頼れる人なの。もう会うこともないのだろうけれど…。だが、患者を亡くした無念さと見知らぬ土地にいる心細さで、彼女が涙しかけたとき、ピーテルが言った。「肩を貸してあげようか」
少女の頃、ドネッタは馬術大会でさる王国の皇太子エンリコと出会った。毎年、顔を合わせるうちに親しくなり、16歳のとき初めてキスをした。エンリコが大学進学のため大会に出られなくなると、卒業したら二人で旅に出ようと約束し、交通で心を通わせ合った。ところが彼は国事に忙殺されるようになり、やがて手紙もとだえると、彼の薄情さにドネッタは人知れず懊悩したのだった。5年後、ようやく気持ちに区切りをつけたドネッタのもとに、エンリコの国で開かれる馬術大会への招待状が届く。いったいどんな顔をして会えばいいの…?ドネッタは戸惑ったが、愛しの皇太子とまた会いたくて、彼の待つ、かの国へ飛んだー
ほんの軽い気持ちで遺伝子検査を受けたところ、家族の誰とも血がつながっていないとわかったジェイド。両親の話によれば、彼女はハリケーンに見舞われた日に生まれたため、病院でほかの赤ん坊と取り違えられたとしか考えられない。事態を把握した病院から調査を依頼された人物が家にやってきたとき、ジェイドは言葉を失った。高校時代の初恋の人、ハーレー・ダルトン!悲しい別れのあとハーレーは会社を立ち上げて大成功を収めたという。今や大富豪となった彼と、かたや出自さえわからなくなってしまった私。ジェイドは思いがけない再会に密かにときめいた自分を戒めた。人生に打ちのめされてしまった私が、彼と釣り合うはずもないのだから。赤ん坊のときに起きた取り違えをきっかけに展開するロマンス(「運命の歯車」)。本作は遺伝子検査で衝撃の事実を知ったジェイドの再会物語。
予定日まであとひと月と迫ったある日、急な陣痛に襲われたナオミ。そこに居合わせた元婚約者の大富豪ロイスに励まされながら、玉のような双子の女の子を無事出産し、彼女は感動に包まれた。数カ月前、ナオミは我が子欲しさに匿名ドナーの子を宿し、その後に出会ってすべてを受け入れてくれたロイスと婚約した。だが、彼にはかつて流産を機に去っていった別の婚約者がいたと聞き、その女性と失った子の代わりかと思うと辛くて、やむなく別れたのだった。いまだにロイスの感触、匂い、優しいまなざしを忘れてはいないけれど、今、しばらく双子の世話を手伝うと申し出てくれた彼を前に、ナオミは自分を戒めたー愛を期待したら、また傷つくことになる、と。
ローアンは、金融界の大物イサンドロと政略結婚で結ばれた。イサンドロにとっては便宜的な結婚でも、ローアンは彼を愛していた。やがてローアンは妊娠し、かわいい男の子を出産したが、わずか数時間後、彼女はメモだけ残し、ひとり病院をあとにした。実は、ローアンは病に冒されていた。もう長くないと悟った彼女は、大切な跡継ぎの体に害が及ばぬよう、いっさいの治療を拒否し、母親を失うつらさを息子に味わわせないよう、身を引いたのだった。なにより、夫への愛を、最期の瞬間まで隠し通せる自信がなかった。2年後、ローアンは奇跡的な回復を遂げた。息子に会いたいーだがその願いが叶う前に、怒りに燃えた夫との再会が待っていた。
小さな村で秘書をしていたエリンは、ひょんなことから、ロンドンに住む企業経営者ジョシュ・ソールズベリーと出会う。強く惹かれたものの、彼は雲の上の人だ。想いがかなうわけがない。ところがジョシュは電話をかけてきて、ディナーに誘ってくれた。いったい何を着ていこう!?パニックに襲われるエリンの前に、疎遠になっていた母親が訪ねてきて、驚きのニュースをもたらす。なんと母親は、ジョシュの父親の愛人だったというのだ。男性関係において、エリンの母親の評判はよくない。思わぬ因縁に自信をなくした彼女はディナーの約束を断ったが、その夜、運命はエリンとジョシュを不思議な形で引き寄せてー。
レイチェルの母とガブリエルの父は長年愛人関係にあり、二人は義兄妹のようにひとつ屋根の下に暮らしてきた。親たちの関係が複雑でも、ガブリエルは優しく接してくれ、レイチェルが19歳になった夜、ついに互いの想いを確かめ合った。彼女にとって、ガブリエルは一生をかけて愛する人になった。ところが数日後、彼は人が変わったように別の女性を連れ込み、2週間後には、父親の会社の支社設立のため、国外に去ってしまった。ガブリエルを恨んでも愛することは止められず、数年が過ぎたとき、彼が婚約者を連れてきた。そしてレイチェルは初めて真相を聞かされる。どれだけ愛し合っていても、二人は決して結ばれない運命にあった…。
ヴェネツィアのホテルの客室清掃係として働くローザは、カーニバルに沸く街で、ヴィットリオと名乗る男性と出会った。彼に誘われるまま訪れた宮殿と見紛う屋敷では、華やかな宴が。瞬く間に夢の世界へといざなわれ、彼女は身も心も捧げた。翌日、祖母の形見のイヤリングを忘れてきたと気づいて、昨夜の屋敷を訪ねたが、ヴィットリオには会えずじまいだった。数週間後、ローザは妊娠に気づき呆然とする。どうしよう?もうきっと彼には二度と会えないわ…。だが、イヤリングを手に現れた彼は驚くべき身分を明かすー。
トーリは異国で山賊にさらわれ、小屋に閉じこめられた。明日をも知れぬ身を嘆き、絶望しかけるが、同じくさらわれてきたアッシュと名乗る男性に励まされ、その輝く黒い瞳と野性的なたくましさに魅了されて、気づけば命の残り火を燃やし尽くすように体を重ねていた。翌朝、銃声で彼の死を悟ったトーリは命からがら逃げだし、故郷へ帰りついたー身ごもっているとも知らずに。15カ月後、トーリは訪ねてきた異国の貴人を見て仰天する。アッシュ!?彼女の愛息と同じ黒い瞳がみつめていた。
結婚後まもない夫を事故で失ったフランチェスカに、3年後、富豪実業家ドミニクとの電撃的な出会いが訪れる。立ち寄った銀行で、彼と目が合った瞬間、強烈な磁力を感じた。麝香の香りと、ギリシア神を思わせる罪深いほどセクシーな美貌。画廊での再会を皮切りに、ドミニクは彼女の行く先々に姿を現す。これは偶然?それとも…。けれど淡い恋の予感を、辛い過去の記憶がたちどころに消してしまうのだ。誰かをまた愛して失うのはいや。そんな彼女の胸の内も知らず、ドミニクは猛烈なアプローチを始めるー。
自分が住む田舎町に医師のベンが現れて、看護師のエミリーは驚いた。3年前の夏、わたしはベンに熱烈な恋をして、赤ちゃんを授かった。なのに、パリに住む彼に伝えに行くと、嘘をつくなと追い返され、ただの都合のいい遊び相手だったのだと思い知らされた。ところが、再会したベンはエミリーの子を見るなり、顔色を変えた。なんという運命のいたずらか、息子はベンにそっくりだったから。エミリーは、わが子ともども拒絶されたことを忘れてはいなかった。だが、ベンが過去に癌を患い、子どもは持てないと宣告されたと聞き、もう一度彼に愛されたいと願うようになる。たとえベンが、エミリーのいない人生を望んでいても。
リゾート地での挙式前日、嫌な予兆から結婚は間違いだと確信してリハーサルを抜け出したゾーイは、参列客のアシュにでくわした。アシュは数年前に事故で他界した大親友の夫で、悲しみのなか、支え合い、助け合い、理解し合ってきた相手だ。ゾーイが助けを求めると、アシュは彼女をクルーザーに乗せ、大富豪である彼の一族が所有する別荘に向かった。途中、嵐に見舞われながらもたどり着いた別荘で二人きり、今回の婚約のことや、喪った大切な人、つらかった日々…語り合ううちに感情は高ぶり、気づけば一線を越えてしまう。まさか、その一夜で命を授かるとは思いもよらずに。
高級紳士服店の裁縫師ハナは里子育ちで天涯孤独の身。副業もしながらぎりぎりの生活をしていたある日、見知らぬ弁護士が現れ、じつはハナは大富豪の孫娘で、唯一の遺産相続人だと聞かされる。3歳で一人親の母と死に別れ、出自不明だった彼女は驚いた。しかも、子どものいないハナが遺産を受け取るには、妊娠しなければならないという。今から半年のうちに。無理な話だとは思うが、かつて里親家庭をたらい回しにされ、いつか本物の家族がーわが子が欲しいと願っていた。ふと脳裏に、店の客である魅力的な実業家イェーガーがよぎり、ハナはありったけの勇気をかき集めて、彼に協力を仰いだ。すると、イェーガーは思いがけない“3つの条件”を提示してきて…。