出版社 : 幻冬舎
統合失調症を患う青年・涼のもとに届いたのは、疎遠だった妹からの「両親の過去について知りたい」という手紙。宗教二世として生きていた頃の辛い記憶が蘇った涼は、「こらーる岡山診療所」に助けを求める。そこで主治医の山本先生に勧められたのは、とあるキリスト教会で行われている勉強会だった。「神様なんているのだろうか」複雑な思いを抱えながらも、涼は聖書をめくり始めたーどんな状況でも、そばで支えてくれる人は必ずいる。著者自身の経験をもとに描いた、心揺さぶられるヒューマンドラマ。
キャスター出身の政治家・松嶋玲子。少子化対策担当大臣として奮闘するが、敏腕トレーダーの夫・圭とはすれちがいの生活でほとんど会話がない。そんなある日、総理が倒れ、予期せず総裁選に出馬する羽目にー。玲子は魑魅魍魎蠢く永田町を浄化し、未来への礎を築くことができるのか。間違いだらけの日本政界に一石を投じる、傑作政治小説!
親友・西の葬儀で弔辞を終えた松は、彼との過去に思いを馳せた。-中学のある時期から、事あるごとに口出ししてくるようになったクラスメイトの西。はじめは冷たくあしらっていたが、あまりのしつこさに不本意ながらも助言を受け入れた先では、いつも未来が開けていると気づき、彼との友情を深めていく。
城下では有名人であり特に釣好きの間では天賀太平よりは「天下太平」、あるいは顔がそっくりな「へのへのもへじ」を縮めて「へのじ」と呼ばれるこの物語の主人公は、天賀太平二十三歳。花房藩五万三千石で釣り役を務めている。やる事なす事すべて頓珍漢、だけどなぜかみんなに愛される釣り侍は、「天下太平日々是れ好日、世はなべて事も無し(今日は天気が良くて嬉しいな)」を口癖に、今日も竿をふるのである。
家族を襲った突然の惨劇ー。母はなぜ酸鼻な死を遂げたのか?母の死をきっかけに前世と現世を視る能力を得た主人公の光。事件の真相を探るうちにみえてきたものとは…。時空を超えてつながる愛の物語。
もがき苦しみ、それでも前を向いてたくましく生きる。めそめそするな、くよくよするな。多情多恨、魂の叫びを聞け。さまざまな心の闇をかかえる4人の若者たちが織りなす冒険譚に刮目せよ。
時は戦国、下級武士として伊達政宗に仕官した伊藤三右衛門家。陰ながら主君を支えた伊藤家はどのように知行地を拡大させ、繁栄の道を歩んでいったのか。八世代にわたる二百八十年の軌跡を、史実をもとに描いた歴史小説。
凶悪犯専門の戦闘警察「コンバットポリス」の翔太郎は、署長から訳アリな任務を言い渡される。それは、限られた人にしか見えない妖精地帯にいるという女性を捕まえること。管轄外に思えるターゲットに怪しさを感じつつ向かった彼を待つ、任務の真の目的とは…!(「妖精地帯のマリア」)。明治時代の北海道。はじめての道路建設に動員された人々は、劣悪な環境を強いられていた。それに耐えられず絶命した人々を弔った地蔵が、ある日突如として2体に増えたというー。この不思議な出来事のうらには、遠い惑星の兄妹たちの存在があった。(「紅の脈絡」)。それぞれが貫いた正義を描く、2つのファンタジー短編小説。
高校生の千夏には秘密がある。それは、家に父親はいないのに、母親の伊麻とその三人の恋人たちと暮らしていること。美容オタクでバイセクシャルの亜夫、イタリアンのシェフでいつも落ち着いている到、そして、最近新しく家にやって来た博識な大学院生・氷雨。千夏は三人のことが大好きだけど、複雑な家庭事情を友人にも明かせずにいた。そんな秘密があるから教室でも目立たないようにしていたのに、ある日クラスで一番の人気者から告白されてー。同じ頃、伊麻は高校時代の友人絹香と再会していた。子どもを産んでも恋愛を楽しむ伊麻の姿を見て、絹香はある決心を固める。
独立から13年が経過した1975年。フランスの影響から脱却し、自力での経済発展を図るアルジェリアにとって、領土の84%を占め、豊富な石油が埋蔵されるサハラ砂漠を通じた輸送ルートは生命線となる。しかし、ソフトサンド地帯での長距離走行に堪えうるフランス製タイヤ「サハラX」に頼らざるを得ないというジレンマを抱えていた。そこに日本製タイヤの商機を見出した七洋商事とニホンタイヤは、精鋭チームをアルジェリアに派遣する。国際入札に向けた駆け引きが続く中、旧市街カスバの一角にたたずむカフェバーで、七洋商事の井原はパリで知り合った幸と思いがけない再会を果たす。一方、確実と思われていたニホンタイヤの落札が“ゼロ”という衝撃的な知らせが舞い込みー。二転三転する展開に息もつかせぬ国際派ビジネス小説第3弾。
四十一歳、モデルとして華やかな生活を送る美智。四十二歳、「ええとこのお嬢さん」で実家の両親と暮らす晴子。四十三歳、大手の外資系で働くキャリアウーマンの喜美江。全く違う境遇の三人が出会ったのは、土砂降りの日に飛び込んだコーヒーショップだった。初めは「見栄」や「プライド」でぎくしゃくすることもあった彼女たちだが、それぞれが抱えている悩みや問題を共有する中で、不思議な絆が芽生えていく。しかし、実はお互いに明かしていない本当の姿があって…心を許し合える関係でも、どうしても言えない秘密がある。三人の女性の人生が交差する時間を描いた、“第二の青春”群像劇。
日本一の泉源数を誇るが故に、それぞれの旅館が独立していて助け合うことの少なかった温泉街。「このままではいけない」それに気づいた人々が、老舗旅館の焼失を機についに動きだした。一人は社長、一人は議員、一人は女将として…。明治時代から続く福井県の名湯での実話を基にした、悲運からの再生奮闘劇!