1991年発売
「近親相姦」という愛の極限の姿。「傲慢であるすべを知らないだけに、いっそう澄んだ目で世界をみつめる」ほとんど無教養で単純なひとりの男の生と死。透徹した古典的文体で描き上げたユルスナールの佳品三作。
霧と潮風に閉ざされた絶海の孤島の物語と、疎外を強いる近代工場で敢行される王殺しの物語。いずれが現実で、いずれが幻覚かわからないままに、カフカ的な晴朗さのなかで犯行は何度も繰り返されるが、王は死なず、話者は孤島から脱出することができない…。幻想と反逆のロマン。執筆後30年たって発表された、ロブ・グリエの処女作。
札幌発9時47分の寝台特急「エルム」。B寝台から芸能プロダクション社長・市場の変死体が発見され、状況から他殺の疑いも出てきた。数日後、容疑者の一人が東京駅丸の内口のホテルで毒殺される。この事件に挑戦するのは、市場の姪の純子と、一度は容疑者としてマークされた作詞家の小池。二人は芸能界の迷路の中から、真犯人をあぶり出すが、その人物には完壁なアリバイがあった。-ひと味違う描写とトリックで人気上昇中の著者がおくる最新の書き下ろし長編ミステリー。
人間はおろか、地上の生きとし生ける物がすべて滅亡した惑星。そこに現れたのは、魔族と呼ばれる異形の生物達だった。彼らは人類が滅んだことを知り、地上の支配者となるべく、地下の世界からやってきたのだ。しかし、彼らを待っていたのは、変わり果てた姿の荒廃した大地と、天変地異だった。そこで彼らは、急激な環境の変化と、人類滅亡の原因を調べるため、調査団を派遣することになった。そんなある日、調査団が襲われ、謎の異星人が専戦布告してきたのだ。この星を植民地にするというのだ…。こうして、魔族と異性人の全面戦争が始まった…。
アタシ、野原菜摘。トラブル大好きの中学2年生です。日本有数のお金持ち学校「白蘭学園」貧民コース…もとい一般コースに転入してきてはや3ヵ月。転入早々巻きこまれた「宝石泥棒事件」も無事解決し、アタシの所属してる〈トラブル解消研究会〉は開店休業状態。トラ研の活動内容ってのは、学園に起こったもめごとを解決すること。だから、もめごとがないとヒマなのよねー。これじゃクラブ活動にならないじゃない、なーんて思っていたら、とんでもない事件が発生。なんと学園に〈キス泥棒〉が現れたの。おまけに「犯人は裕二君だ」っていう女の子まで現れて…。そんなこと絶対にあるわけない!野原菜摘、かならず真犯人を捕まえます。
エンマ大王を倒してから3年後。桃太郎の前に現れた新たな強敵は、地獄の底からよみがえったという地獄王。桃太郎の約1万倍の力を持つという鬼の王様だ。こんなヤツに、さすがの桃太郎も1人じゃたちうちできなし。そこで、桃太郎と同じ気持ちを持つ勇者たちが途中で仲間になって、鬼退治に協力してくれる。果たして桃太郎は、愛と勇気と友情とギャグで地獄王をこらしめることができるのか。頼んだぞ、桃太郎!平和を守れるのはキミだけだぁ!わははははははははは。
ボクの名前は、ヘルン。ボロ小屋に母さんとふたりっきりで暮していたんだ。でもある日の朝、ボクは、とんでもないことを知ってしまった。実は、ボクはリタルランド王国のプリンスだということなんだ。そして、ラドリーからの手紙…。それによると、ボクの本当の父さん、母さんを殺して、リタルランドを乗っ取ったのは、ズルーという悪大臣で、リタルランドを取りもどすために必要な『虹の鏡』を集めて、ジパングまで来てほしいというんだ。こうなったらもう行くしかないよね、ちょいスゴ過ぎるシルクロードの旅だけど…。だって、これはボクの使命なんだから。
ロサンゼルスの名家で何不自由なく暮らしていた少女ナンシー。ある日舞い込んだ一通の手紙に導かれ、生まれた時に離ればなれに育てられたという双子の姉妹、キャシーに会うため、N.Y.への旅立ちを決意する。だがそれは、自らの運命を左右する巨大な陰謀のただ中への、危険な旅立ちであった。ここはN.Y.。不二子にノセられて、イヤがる次元と五右衛門を連れてきたルパン。ハーレムに散歩に出かけたルパンは、たまたまそこでキャシーとナンシーが誘拐されようとしている現場に出くわした…。
巨額の遺産を相続した人妻がニューポートの豪邸で昏睡に陥り、そのまま2度と意識を回復しなかった。一審では薬物注射が昏睡の原因になった夫に有罪の判決が下されたが、あくまでも無罪を主張する被告側は再審にもちこみ、そこで次々に新たな事実が明らかになっていく…。遺産、ドラッグ、セックスとアメリカ社会を象徴する事件の真相を顧問弁護士が描く法廷ノンフィクション。
1943年5月、ドイツ本土爆撃の使命を帯びた米軍B17の編隊が、英国の基地から飛びたった。その中の1機「メンフィス・ベル」はすでに24回の爆撃を遂行、今回の任務を終えれば乗員は故国へ帰還できることになっていた。生真面目な機長デニス、詩の好きな通信士ダニー、自称女たらしの機銃手ラスカルら10名の若者は、一丸となって敵の猛攻に立ち向かうが…。実話に基づく感動の戦争巨篇。
弘法大師空海と菅原道真こそ、平安朝初期漢文学のピークに立つ存在である。本書は、わが国の美意識を深め、その振幅を広めたこの両詩人の真髄を唐代文学とのかかわりの視座から追求した。敦煌資料などを駆使し、白話詩、変文・変相・疑経など、従来扱われなかったジャンルとのかかわりも考察。著者の文芸に関する平易で知的なエッセイも興味尽きない魅力がある。
室町時代に真宗王国を築き、権勢を振るった本願寺の法主、蓮如は5人の妻に、27人の子を産ませた。本書は後に足利義政の側室となる娘、万寿の目を通して、産み疲れて死んだ母への憐憫、教線をひろげるためにわが子を利用する父への不信・憎悪を凄絶に描く。書き下ろし長編歴史小説。
中ソ間の熱核戦争によって、無人の荒野と化した北米大陸。その中央部にある小さな街、デザート・シティ。そこには、軌道上に電力を送るための巨大な螺旋形の塔が建設されつつあった。隅然、砂漠の中で酒場の女主人マギーを野盗の群れから助けることとなった〈バイロン〉は、タワー建設によって“デウス”に取り入ろうとする日系企業ラコム社と中国系マフィアのボス、ジョニー・ウォンとの争いに巻き込まれていく。おりしもバイロン抹殺の使命を帯びた美貌の女スーザンも、彼を追い軌道上からこの街へと向かいつつあった-。愛と欲望の渦巻く街を舞台に、一人の男と軌道上の超国家企業の死闘を描くシリーズ第二弾。
私立探偵・萩原の同業者・相川が殺られた。浮気調査の仕事を回してやった矢先のことだった。相川のヤサの荒らされように明らかにプロの仕事。だが、たかが女に裏切られて泣きついてきたチンピラの依頼に、何故プロが絡むんだ?唯一の遺留品から、事件の背後に“組織”の匂いを嗅ぎつけた萩原は、見えざる敵を追い始める…。地獄の戦闘へ自ら飛び込む、ベトナム帰りの私立探偵・萩原大吾の活躍を猫く迫力のシリーズPART2。