2006年11月発売
前の彼女に振られてから、30歳になるまでに結婚して見返してやるのだと誓っていた僕。指輪も買った。誕生日も近い。しかし、転んで頭を打ち、いったい誰にプロポーズしようとしていたのか肝心の記憶だけを失ってしまう。僕の本当の相手は誰?大人になりきれない29歳・オトコの結婚観をチクリと描きだす。
落ちこぼれ高校に通う理穂、美咲、如月。十七歳の誕生日を目前に理穂は失恋。身体が弱く入院を繰り返す美咲は同情されるのが大嫌い。如月は天才野球選手の兄・睦月と何かと比較される。でもお構いなしに、それぞれの夏は輝いていた。葛藤しながら自分自身を受け入れ愛する心が眩しい、切なくて透明な青春群像小説。
大坂夏の陣から七〇年、天下は徳川綱吉の下、泰平の世にあったが、御三家のひとつ紀伊徳川藩で覇権奪還をうかがう者がいた。大番組頭・加納平次右衛門である。彼こそ大坂夏の陣で死んだとされる真田大助の孫・幸真であった。豊臣秀頼とともに炎上する城を逃れた大助は紀州に潜み、虎視眈々とその時を待っていたのだ。ついに豊臣の血を引く若君が誕生。幸真の策略は動き出したのだが、その前に立ちはだかる敵が…。真田一族の悲願は成るのか!?豪剣、秘剣、忍術が入り乱れる興奮の時代小説。
新しい年の幕開けから、山神大地は同級生の淳子、大学生の先輩・小泉ゆかり、ゆかりのお母さんと躯を重ねつづける。彼女たちはみな、欲望のままに大地との交わりを愉しんでいた。心のつながりを大切にする大地だが、躯も欲望に素直でいようと誓うー。怒涛の展開と濃厚エロス。超人気官能シリーズ第15作。
ST山吹の真意とはーー 心の闇、心の扉 新興宗教の若者4人は集団自殺をしたのか 密室状態のマンションの一室で、若者4人の死体が発見される。彼らは皆新興宗教団体の信者たちだったーー。集団自殺と片付けられかけたが、STは他殺の可能性を追う。入り組んだ宗教団体内の人間関係と、揺れ動く人間心理。僧籍を持つST山吹が、事件だけでなく人の心の裏側を解く、「色シリーズ」第3弾。
貧しくも、明日への夢を持って健気に生きる女。深い心の闇を抱えて世間の片隅にうずくまる博徒。武家社会の終焉を予想する武士の慨嘆。立場、事情はさまざまでも、己の世界を懸命に生きる人々を、善人も、悪人も優しく見つめる著者の目が全編を貫き、巧みな構成と鮮やかな結末とあいまった魅惑の短編集。
天才科学者・真賀田四季。彼女は五歳になるまでに語学を、六歳には数学と物理をマスタ、一流のエンジニアになった。すべてを一瞬にして理解し、把握し、思考するその能力に人々は魅了される。あらゆる概念にとらわれぬ知性が遭遇した殺人事件は、彼女にどんな影響を与えたのか。圧倒的人気の四部作、第一弾。
十三歳。四季はプリンストン大学でマスタの称号を得、MITで博士号も取得し真の天才と讃えられた。青い瞳に知性を湛えた美しい少女に成長した彼女は、叔父・新藤清二と出掛けた遊園地で何者かに誘拐される。彼女が望んだもの、望んだこととは?孤島の研究所で起こった殺人事件の真相が明かされる第二弾。
中学生の謙吾は、母と妹を追って高知から上京した。昭和37年、新聞配達でまわるワシントンハイツは、渋谷区にありながらアメリカそのものだった。謙吾は高校を卒業し、旅行会社へ就職する。東京オリンピックや万博に沸く昭和。ひたむきに働き、ひたむきに恋をする。自身の青春を描いた、初めての現代小説。
七王国の鉄の玉座を賭けた王都キングズランディングの決戦の夜。湾を埋めつくした大船団は緑色の燐火に呑まれ、巨大な鎖に捕らわれて次々と沈没し壊滅した。一夜明けて、民衆は都の無事を喜び、少年王ジョフリーの統治を歓迎する。南部の大家ティレル家との婚姻による同盟も決まり、ラニスター家の勢力は隆盛を極めた。一方、敵対するスターク家には、かつてなく苛酷な運命が舞い下りていた。“北の王”として蜂起したロブは、戦で連勝するも若さゆえに政治的失敗を繰り返す。その母ケイトリンは、二人の幼い息子が鉄諸島人に処刑されたと知り、さらに消息のない娘たちを案じて、ラニスター家の捕虜ジェイムの独房に赴き、決意の剣をとる…。秘されていた愛憎や欲望が露わになり、さらなる意外な邂逅と運命の狂涛が描きだされる-世界21カ国で愛され、ローカス賞を連続受賞した、至高の異世界戦史シリーズ第三部、開幕。
菖蒲咲く頃、大河内家を訪問した老侍が、“昌道公潔白の儀”と称する文を大目付の政盛に手渡し、そのまま門前で腹を切った。二月ほど前に、沼田藩主真田昌道が阿片抜け荷の咎により、右京に介錯されていたのだ。またぞろ田沼意次の謀なのか…。
天は照々として誠を照らすー貧乏籤を引き、斬首に立ちあうこととなった勘兵衛は、盗みを働いた医者の丹唇を読んでしまう。近在の者に慕われていたという罪人の刑死に、まんじりともしない勘兵衛だったが。粋に裁いて、意地で斬る。
惚れた娘お春と一緒に歩き、笑顔までかわす小間物売りが気になってしょうがない文之介。目を凝らせば、丈右衛門が心を寄せるお知佳のもとにも姿を見せる駒蔵だった。なんとはなしに訝しさを覚えた文之介は、勇七にあとをつけさせるが…。