2016年6月発売
家庭を顧みずに仕事に没頭してきた叩き上げの刑事・本城が、警察官僚として出世争いの渦中にいる息子から懇願される。出向中に詐欺組織に盗まれた警察手帳を内密に奪還してほしいというのだ。親の務めを果たしてこなかった慙愧の念から、息子の隠匿に手を貸すことを決める本城。手帳に迫る過程で掴んだのは、殺人も厭わない詐欺組織の実態だった。
母の仇を討ったことにより、闇の勢力との激闘に巻きこまれたお夏。だが彼女は、居酒屋の女将としての穏やかな日常を守ろうとしていた。そんなある日、お夏は婀娜な女に呼び止められ、殺しを依頼される。馬鹿な願いと一蹴したお夏だが、その女が続けて口にした名前に胸騒ぎを覚え…。願えば願うほど安息の日々は遠ざかるのか?波乱の第五弾。
七世紀終わり。国は強大化する唐と新羅の脅威にさらされていた。危機に立ち向かうべく、女王・讃良は強力な中央集権国家づくりに邁進する。しかし権益に固執する王族・豪族たちは、それに反発。やがて恐ろしい謀略が動き始めるー壮大なスケールで「日本誕生」を描き歴史エンターテインメントの新たな扉を開けた傑作。
大身旗本への奉公替えで更なる出世を果たした川端藤吉。俸禄も上がり、前途洋々かと思われた。しかし奉公先である小出家では、百姓上がりの藤吉の事を良く思わない者ばかり。世話をする事になった馬への嫌がらせを受け、それが原因で若殿に怪我をさせてしまう。突として窮地に立たされる藤吉に、一筋の光明は差すのか?堅忍不抜のシリーズ第三弾。
お人好しの“御隠居”こと立花右近。酒と女好きの“大将”こと夏目平九郎。金好きの“万屋”こと霞源内。江戸で暮らす三人の浪人は、七化けのおりんに騙され、お尋ね者となる。濡れ衣を晴らす為おりんを追うが、彼らを待ち受けていたのは甲府への流浪の旅だった。時に助け合い時に騙し合う、因縁深き三匹が、道中蔓延る悪を斬る!!痛快時代小説。
エリザベスは亡き夫の莫大な借金を抱え、人知れず窮地に立たされていた。愛情深く責任感の強い彼女は、領民や使用人の生活を守るため、裕福な貴族との再婚をいったんは決心したが、求婚者に裏切られる。打ちひしがれた矢先に、目の前に現われたのは医師マイケル。上流階級の男性にはない思いやりと行動力に溢れる彼にエリザベスは心惹かれるが、今の窮状を脱するには彼と一緒の未来を夢見るわけにはいかないと、自分の想いから目をそらそうとする。一方でマイケルも、エリザベスの目を見張るような美しさ以上に、身分のわけ隔てなく見せる優しさや機知に富んだ会話に魅了されていた。実は、彼は公爵家の次男で、兄とのいざこざからロンドンを離れ、身分を隠して暮らしているのだがー募る想いとはうらはらに、抱えた秘密のせいで素直になれない二人は…。
ご近所の仲良しおばあちゃん5人組が60歳になった記念に作ったのは、年齢と同じ60個の「死ぬまでにやりたいことリスト」。それから12年かけ、ひとつひとつ達成してきたものの、残るは人には言えないような恥ずかしい願いごとばかり。7月のある夜、いよいよ「裸で泳ぐ」という無理難題を実行に移すため、フランシーンたち5人は真夜中のプールに集合した。気になる体型を誰にも見られないよう、できるだけ真っ暗にして…。ところが、ひょんなことからプール脇の小屋で男性の変死体を発見してしまい、世間を騒がす事件に発展!「裸で泳ぐおばあちゃんたち」と面白おかしく書き立てられ、5人は人生最大の赤っ恥をかいてしまう。それでも力を合わせ、リストのひとつ「殺人事件を解決すること」を叶えようと、勇気を出して捜査を開始するのだが…!?
クマのプーさん、赤毛のアン、小公女、点子ちゃんとアントン…etc.あのころ愛した本には、幼い日の記憶のかけらが詰まっていました。
教皇の座を手にし、アレクサンドル六世となるロドリーゴ、その息子にして大司教/枢機卿、武芸百般に秀でたチェーザレ、フェラーラ公妃となった奔放な娘ルクレツィア。一族の野望のためにイタリア全土を戦火の巷にたたき込んだ、ボルジア家の権謀と栄華と凋落の歳月を、文豪大デュマが描き出す!
殺人事件の裁判を逆転無罪に導き、一躍その名を高めた弁護士・本多。だが、彼の下にやってくる依頼は、散々な内容ばかり。そんな時、思わぬ人物からの依頼で弁護することになったのは、警察に罪を自白し、犯行現場をとらえた防犯カメラの映像まで突き付けられた容疑者。絶望的な状況を逆転するために、本多は一度は袂を分かつた「悪魔の弁護人」の手を借りることになりー絶賛の声多数の陰謀と策謀が織りなす究極の法廷劇、第2弾!
新物質“磁性流体”の発見と、それを繰る新技術“磁律”の確立により歪な発展を遂げた大日本皇国。帝都では内政不安からテロリストによる破壊行為が横行し、治安維持という名の過剰な取り締まり、そして悪政の中で帝都臣民は苦しい生活を強いられていた。この窮地を救うべく、無法者を蹂躙するため、特殊部隊“特別検閲群(通称・特検群)”は立ち上がる。
時は昭和20年。場所は東京亀戸で。相も変わらず奇怪な事件に巻き込まれる、浮世を離れた不死の呪いと機械仕掛けの二人の話でございます。さて、今宵のお相手は、東京湾に潜む闇、月の光に紛れる者、今日も二人の往く路には、怪奇怪異の百貨店。
爆風に曝された大空襲から高度成長を経て現代へー個の記憶が、見も知らぬ他者たちをおのずと招き寄せ、白き“暗淵”より重層的な物語空間が立ちあがる。現代文学を最先端で牽引しつづける著者が、直面した作家的危機を越えて到達した、傑作。
死、貧窮、病苦、差別ー明治期、日清戦争後の社会不安を背景に、人生の暗黒面を見据え描き出した「悲惨小説」「深刻小説」と称された一連の作品群があった。虐げられた者、弱き者への共感と社会批判に満ちたそれらの小説は、当時二十代だった文学者たちの若き志の発露であった。「自然主義への過渡期文学」という既成概念では計れない、熱気あふれる作品群を集成。
自分を文学の世界に導いてくれた、兄のように慕う先輩作家が、原稿を郵便で出した帰途、トラックに轢かれ死んだ。理不尽な死を前に混乱、自失する家族や友人たち。青年は深い喪失感を抱えながら、社会との折り合いに惑い、生と死の意味を問い続ける。三四歳で早世した山川方夫の人生を、最も近くで生きた著者が小説に刻んだ鎮魂の書。
自己中心的な生き方に固執する青年の下宿に土曜日ごとに現われる、かつて恋人だった人妻との異様な情事を通して、孤独な青年の荒寥とした精神風土を描いた「愛のごとく」。ほか「演技の果て」「その一年」「海岸公園」「クリスマスの贈物」「最初の秋」を収録。戦後の変転の中で青春を生き、交通事故で早世した山川方夫の傑作選。
医学生ゲバラは友人ピョートルとオンボロバイクにまたがり、南米大陸を駆け巡る。放埒な人妻、偉大な詩人、抑圧された人々、病に苦しむ患者と接し、次第に目覚めていく…。没後50年(2017年)、生誕90年(2018年)にゲバラを、キューバ革命を、そしてラテンアメリカを書き尽くす4部作の第1弾!