2019年11月8日発売
ジェンマは幼い息子が入院する病院で、テイトに再会した。 2年前、パーティで出会った、男らしい魅力あふれる億万長者のテイト。 お互い一目惚れだったけれど、夢のような日々は長くは続かなかった。 わずか数週間後、ジェンマは身に覚えのない浮気を責められて、 ペントハウスを追い出され、熱烈な恋は無残に砕け散ったのだった。 その後妊娠に気づいたジェンマは、ひとりで赤ん坊を産んだ。 自分の子だと知ったら、親権を奪われてしまうかも……。 慌てて立ち去ろうとする彼女の動揺を、テイトは見逃さなかった。 「この子の父親は、ぼくだな?」赤ん坊をひと目見るなりそう言うと、 彼は、親権を奪うよりひどい提案をした。 なんとテイトはジェンマに「きみへの不信感は消えないが、息子のために結婚する」と言い放ったのでした。彼は自分の両親にもそう伝えたため、ジェンマのつらい新婚生活が始まります。誤解が解け、二人が再び愛を確かめられるまでの軌跡を丁寧に綴ります。
看護師のラーラは、ある風変わりな患者の“予言”を笑い飛ばした。自称占い師のその老女は、ラーラがクリスマスに求婚されると言うのだ。しかも相手は、とびきりハンサムでものすごくセクシーな人らしい。ろくに男性とつきあったこともないこの私が?たちの悪い冗談だわ。雑念を振り払いつつ救命室へ赴いた彼女を、ドクターが待ち構えていた。とびきり有能でハンサムでセクシーなクリスチャン。雲の上の人。ラーラはこれまで、彼に関してだけは欠点を見つけたことがなかった。ともに患者の治療にあたったあと、ラーラはひょんなことから、クリスチャンが離婚して子どもたちの世話に難儀していると知る。期限つきで住み込みの子守り役を買って出たラーラだったが…。
22歳のモリーは、仕事でイングランド郊外へやってきた。華やかな世界を夢見ていたのに、モリーの初仕事は、地元の老婦人に料理の取材をすることだった。がっかりしながらも約束の場所へ急いで車を走らせていると、対向車線の高級車に衝突しそうになってしまう。車から降りてきたのは、びっくりするほどハンサムで裕福そうな男性だった。「僕はアレクサンダー・ヴィリヤーズ・セント・オテル伯爵だ」モリーは上司から“地域一帯から敬われる崇高な伯爵”の話を聞いていた。彼のことだったのね。それにしては、すごく態度が横柄だけれど…?おまけに、出会ったばかりのわたしにキスをするなんて!
スペインで修道女見習いをしている身寄りのないトニは、 いわれのない差別を受け、つらい毎日を送っていた。 ついに園丁の服を拝借した彼女は修道院からの脱走を企てるが、 途中、紛れこんだ祭りの喧噪のなかで盗人に間違われてしまい、 美貌の貴族ルークの手によりなんとか救われる。 トニは彼の船でスペインからイギリスへ向かうことになり、 身の安全のため、少年のふりのままルークや周囲の人々を欺いた。 だが一方で、ルークへの思いは日々膨らんでいくばかりだった。 そんなある日、彼らを乗せた船が嵐に巻きこまれてしまい……。
OLのあずさは、ひょんなことから社長の笠野美弦に弱みを握られてしまい、黙っている代わりに…と同棲&婚約者のふりをするよう命じられる。美弦は望まない縁談を避けたいらしい。希望部署への異動もちらつかされて渋々引き受けるあずさだが、イケメンで有能な美弦に四六時中、甘く強引に迫られドキドキの毎日!婚約はあくまで契約のはずなのに!?
三大女流作家 アイリス・ジョハンセン 死者の骨が語りかける真実に、そっと耳をすまして……。 最強ヒロイン、待望の復活。 死者の頭蓋骨から生前の顔を蘇ら せる複顔彫刻家イヴ・ダンカン。 その腕を買われて数々の難事件を 解決してきたが、ある日何者かが イヴを拉致する。犯人の要求は殺 された息子の「顔」をイヴに取り 戻させること。その裏には歪んだ 愛と恐るべき計画が隠されていた。 公私にわたりイヴを支えてきた刑 事ジョーは決死の捜索を行うが、 封印された過去が暴かれ……。ロマ ンティック・サスペンスの最高峰!
三大女流作家 ノーラ・ロバーツ 乾ききった砂漠では、 愛の花は咲かないと思っていたーー 不朽のマスターピースが復刻! ゴールドラッシュに沸く19世紀の アリゾナ。東部でレディ教育を受 けたセーラは、西部で成功してい る父と暮らすため砂漠の町へやっ てきた。しかし待っていたのは、 貧苦の末に父が命を落としていた 事実と、一匹狼のガンマン、ジェ イクとの衝撃的な出会いだった。 遺されたわずかなお金と涸れた土 地を前に、セーラは父の夢を叶え るため、その地で生きると決意す る……。幻のベストセラー、復刊!
ベッドで目覚めたとき、フィリッパはすべての記憶を失っていた。 ふと顔を上げると、見知らぬ女性が心配そうにこちらを見ている。 女性は叔母だと名乗り、フィリッパが結婚式の直後に車で失踪し、 事故を起こして怪我をしたのだと説明してくれた。 混乱するフィリッパの心をさらにかき乱したのは、 叔母の横に立つ謎めいたセクシーな男性だった。この人が私の夫? 名前すら思い出せないのに、なぜ体が熱く反応するのだろう? ほどなくして、記憶の戻らぬ妻と夫との奇妙な新婚生活が始まった。 お互いに欲望の炎を心の内に秘めたままで。
三大学、一高校、一中学。学生生徒総数二万一千余名を擁する関西屈指のマンモス学校法人。その理事長を任された男は、浪費癖の直らない前任者に代わり、運営の安定と発展を期待されて就任した。しかし、その本性は、実はとんでもないワルだった。談合屋の元締めだったこの男は、理事長の権限を盾に、私利私欲に走り、学校を貪り尽くすようになったのだ。この正体にいち早く気づき、密かに調査を始めた善良な数名の理事たち。悪行の実態を暴き、理事長を学校法人から永久に追放すべく、壮絶な戦いの火ぶたが切られたー。教育現場の裏側に君臨する史上最悪の悪魔との戦い。
長野県栄村は新潟県境に接した山のなかにある。一九五六年九月に下高井郡堺村と下水内郡水内村が合併して発足した。 平坦地は少なく、森林が八割を占める。耕地も狭く、わずかの田では自家で一年に消費するだけのコメはとれなかった。コメはせいぜい半年分を確保できればいい方で、あとは雑穀を主食がわりに、ようよう命をつないできた。 村人はこの貧食から抜け出そうとしていろいろ試みたが、山から湧きだす自然の用水は限られ、水田を広げようにも広げられなかった。村の大部分を覆う山林を眺めつつ、村人は幾世代にもわたってその思いを抱きつづけてきたのであった。 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 五月下旬、山の中腹には冷たい雪解け水がちょろちょろと足元を濡らして流れている。それが地下足袋の指先にジンジンと凍み込んでくる。村人は「野々海」が貯水ダムとなり、やがて黄金色の稲穂の垂れるのを夢見て働いていた。一服し、濡れた地下足袋を陽にかざす。見上げる彼方に「野々海」が待っている。(「天空の甕」より) 村人は貧食から抜け出そうとしていろいろ試みた。標高1000メートルの山頂に、周囲4キロメートルのくぼ地がある。毎年、豪雪を溜めこむが、春から夏へ、太陽に暖められて雪解け水となり、谷に流れ込む。「野々海」と村人は呼んだが、いうならば自然の水ガメである。この水を田に引き込むことはできないか。 (「天空の甕」より抜粋) 他、2話(開墾地の春/婿養子)を収録 天空の甕 開墾地の春 婿養子