小説むすび | 2019年11月8日発売

2019年11月8日発売

億万長者の秘密の天使億万長者の秘密の天使

ジェンマは幼い息子が入院する病院で、テイトに再会した。 2年前、パーティで出会った、男らしい魅力あふれる億万長者のテイト。 お互い一目惚れだったけれど、夢のような日々は長くは続かなかった。 わずか数週間後、ジェンマは身に覚えのない浮気を責められて、 ペントハウスを追い出され、熱烈な恋は無残に砕け散ったのだった。 その後妊娠に気づいたジェンマは、ひとりで赤ん坊を産んだ。 自分の子だと知ったら、親権を奪われてしまうかも……。 慌てて立ち去ろうとする彼女の動揺を、テイトは見逃さなかった。 「この子の父親は、ぼくだな?」赤ん坊をひと目見るなりそう言うと、 彼は、親権を奪うよりひどい提案をした。 なんとテイトはジェンマに「きみへの不信感は消えないが、息子のために結婚する」と言い放ったのでした。彼は自分の両親にもそう伝えたため、ジェンマのつらい新婚生活が始まります。誤解が解け、二人が再び愛を確かめられるまでの軌跡を丁寧に綴ります。

天空の甕天空の甕

出版社

本の泉社

発売日

2019年11月8日 発売

長野県栄村は新潟県境に接した山のなかにある。一九五六年九月に下高井郡堺村と下水内郡水内村が合併して発足した。  平坦地は少なく、森林が八割を占める。耕地も狭く、わずかの田では自家で一年に消費するだけのコメはとれなかった。コメはせいぜい半年分を確保できればいい方で、あとは雑穀を主食がわりに、ようよう命をつないできた。  村人はこの貧食から抜け出そうとしていろいろ試みたが、山から湧きだす自然の用水は限られ、水田を広げようにも広げられなかった。村の大部分を覆う山林を眺めつつ、村人は幾世代にもわたってその思いを抱きつづけてきたのであった。 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜  五月下旬、山の中腹には冷たい雪解け水がちょろちょろと足元を濡らして流れている。それが地下足袋の指先にジンジンと凍み込んでくる。村人は「野々海」が貯水ダムとなり、やがて黄金色の稲穂の垂れるのを夢見て働いていた。一服し、濡れた地下足袋を陽にかざす。見上げる彼方に「野々海」が待っている。(「天空の甕」より) 村人は貧食から抜け出そうとしていろいろ試みた。標高1000メートルの山頂に、周囲4キロメートルのくぼ地がある。毎年、豪雪を溜めこむが、春から夏へ、太陽に暖められて雪解け水となり、谷に流れ込む。「野々海」と村人は呼んだが、いうならば自然の水ガメである。この水を田に引き込むことはできないか。 (「天空の甕」より抜粋) 他、2話(開墾地の春/婿養子)を収録 天空の甕 開墾地の春 婿養子

このエントリーをはてなブックマークに追加
TOP