2025年6月9日発売
純文学作家・小林信彦の原点 初期傑作長篇三作を一挙集成 1960年初頭の東京を舞台にマスコミ・文壇で蠢く知的俗物たちの生態を強烈な毒を孕んだカリカチュアで描くデビュー長篇『虚栄の市』、少年期の壮絶な集団疎開体験を基にして書かれた〈戦闘シーンのない戦争文学〉の傑作『冬の神話』、そして著者自ら封印し〈幻の純文学作品〉として長らく入手困難になっていた異色の悪漢小説(ピカレスク・ロマン)『汚れた土地』--純文学作家・小林信彦の原点となる初期長篇三作を貴重な単行本版で集成。 *解題=高崎俊夫 装幀=大久保伸子 装画=小林泰彦 *特別収録 ・『虚栄の市』跋文=山川方夫 文庫版解説=小野二郎 ・『汚れた土地』書評=澁澤龍彦 ・『冬の神話』文庫版解説=山田智彦 ・ 小林信彦『虚栄の市』日記(単行本初収録)
飾り職人の夫・新吉が帰ってこないーー。不安に駆られたおいちだったが、新吉は朝になって、何事もなかったかのように家に戻ってきた。 しかし、新吉が言付けを頼んだ職人らしき人物が、菖蒲長屋近くで殺されていたことが判明する。しかもその懐には、きれいなビードロの風鈴がしのばせてあった。 おいちは、身重であることも忘れ、岡っ引の仙五朗とともに、事件の解明に乗り出す。 そんな折、おいちは石渡塾で共に学ぶ和江が、血飛沫を浴びたかのように紅く染まった幻を見てしまう。これは何かの予兆なのか。おいちは忍び寄る禍々しい気配に身をすくませる。 シリーズ累計46万部突破! 仕事も家庭も大事にしたい娘の奮闘と成長を描いた青春「時代」ミステリー第七弾!
【概要】 魑魅魍魎、夢幻泡影、奇々怪々! 幽霊譚から変身物語、異界訪問からファム・ファタルまで、六朝より中国に脈々と受け継がれてきた超現実的な怪奇・幻想小説の代表作26篇を収録。 【目次】 六朝 王女の贈り物 おんぶ幽霊 桃花源 地獄の沙汰も「腕輪」次第 常春の異界 白粉を売る女 籠のなかの小宇宙 唐代 枕中記 美女になった狐 離魂記 宋代 居酒屋の娘 徐信の妻 伊陽の古瓶 京娘の墓 明代 牡丹灯籠 死が二人を分かつとも 白娘子 永えに雷峰塔に鎮めらるること 清代 無双の牡丹 菊を育てる姉弟 義牛の復讐 胡求 鬼の球と為りしこと 鳳凰山 崩れしこと 不思議な恋人たち 人形の怪 欲望の悪夢 少女軽業師の恋 あとがき 初出一覧 六朝 王女の贈り物 おんぶ幽霊 桃花源 地獄の沙汰も「腕輪」次第 常春の異界 白粉を売る女 籠のなかの小宇宙 唐代 枕中記 美女になった狐 離魂記 宋代 居酒屋の娘 徐信の妻 伊陽の古瓶 京娘の墓 明代 牡丹灯籠 死が二人を分かつとも 白娘子 永えに雷峰塔に鎮めらるること 清代 無双の牡丹 菊を育てる姉弟 義牛の復讐 胡求 鬼の球と為りしこと 鳳凰山 崩れしこと 不思議な恋人たち 人形の怪 欲望の悪夢 少女軽業師の恋 あとがき 初出一覧
「あるときは片目の運転手、あるときはマドロス、またあるときはインドの魔術師・・・・・・」という片岡千恵蔵演ずる多羅尾伴内の名セリフのように、私はある時は【唯一者とその所有】をマックス・スティルナーの、ある時は【アッシャー家の崩壊】、【ウィリアム・ウィルソン】をエドガー・アラン・ポーの、またある時は【夜明け前】を島崎藤村の身になって考えてみた。 スティルナーとポーは横浜市立大学教養部の頃、出遭った。島崎藤村との出会いはずっと後のことである。三者は直接的な関連性は持っていないが、私の読書遍歴の中で強烈な印象を与えた、哲学者、怪奇小説作家、小説家であり、今以て彼らの作品は私の脳裡に巣くっている。私は精神病理学を基盤として三者を即興的に絡ませることで、何か新しい世界が拓けるのではないかと試みた訳である。