著者 : あかま日砂紀
傀儡奇談傀儡奇談
「あれ?もしかしてー琴平さん?」人気テーマパークに小一郎たちと遊びにきていた敏生は、人込みのなかで誰かに呼ばれ、振りかえって、目を丸くした。かつての事件で会った懐かしい顔ー当時は女子高生だった二人の女性の姿が、そこにあったからだ。その二人から持ちかけられた、ある相談事。「あるひとから預かってくれって頼まれたものがあるんです。でも、それが…」思わぬ事態が手繰り寄せられようとしていた。
雨衣奇談雨衣奇談
「母さ…やめ…」振りほどこうともがく、まだ少年だった天本を、母は信じられないような力で押さえつけていた。「…消えて」細い指が、ぎりぎりと天本の首に食いこむ。「消えてしまいなさい、おまえなど…!」過去の悪夢を見はじめた天本のもとに、ベトナムから届けられた父の手紙。いま、失われた記憶の扉が、ゆっくりと開きはじめるー。
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