著者 : 中井紀夫
少年の壊れた心には、現実世界をも揺るがす力があった!世の破滅を志向する教祖・無熱のクローンとして生まれた少年リュウ。M震とは、彼の歪んだ内的世界が、具象化されたものだったのだ。DNAに強大な超能力を秘めたリュウは、野球帽とサングラスを楯にして、周囲に溶け込めないまま、孤独な幼年時代を過ごす。そして中学生になった頃、M震発動の引き金をひく、ある事件が起きたという。リュウの心の安定を取り戻すことで、東京の復興を実現することができるのか?好評シリーズ、ついに完結。
街をモザイク状に襲うM震-その源は、少年リュウの“血”にはらまれた危険な超能力によるものなのか。この世に“崇高なる破壊”をもたらすことを目的とした教団“星なき荒野”。その教祖・蓮沼無熱が、自らの体細胞DNAより生み出したクローン、それがリュウという存在の真実であったのだ。仲間の大輔や母・唯花らと離れ、廃墟の街をひとりさまようリュウ。失意の彼に、教団の魔の手が迫る。壊してしまった空間と、壊れてしまった心が交錯するとき、世界はどんな姿を見せるのか!?書き下ろし第二弾。
学校なんか、家族なんか、世界なんか、壊れてしまえばいいって思ったこと、あるだろう?ぼくは、壊してしまったんだ、実際に-。廃墟も同然に崩壊した地区。しかし国道をはさんだ反対側には、もとのままの街が無傷で残る。頻発する謎の地震-M震でモザイク状に崩壊した東京をさまよい歩く少年、リュウ。野球帽とサングラスで素顔を隠したリュウはやがて、M震で家族を亡くした少年たちのグループに合流する。生き残るための戦いと逃亡の日々の中、リュウの奇妙な告白に、グループのリーダー大輔は…。
なにかを理解すること、理解してもらうことなんて本当にできるんだろうか-。惑星グレイストームで暮らす高校生・遙は、街で出会った少女ヴィオレッタとともに、原住種族ウルボアイの村近くにある巨大な「門」を訪れた。その場所は、ウルボアイと奇妙な交流をもつ謎の種族クランガの領域であった。クランガの抜け殻が、人類と星間戦争を続ける異星種族キラーバグの姿に酷似していることに気がついた遙。〈門〉で得た宇宙創世のヴィジョンは、遙の心に新しい意志を芽吹かせた。驚きに満ちた本格SF長篇。