著者 : 今野いず美
真夜中の宝石店。華麗な泥棒さんのトオルとにらみ合っているのは、人気ロックボーカリスト哀川瞬。光り輝くダイヤ〈天使の涙〉を2人で争ったあげく、瞬クンは、「おまえのいちばん大切なものを奪ってやる」と言い残して去った。その日から、トオルは別人のように冷たくなってしまったの。悲しくてぽっかりあいた心の隙間に、瞬クンの優しい囁きが忍びこんでくる-。ね、トオル、“いちばん大切なもの”って、あたしじゃなかったの。
いくら食べてもすぐ腹ペコになってしまう。目の前のものを手あたりしだいに口に入れてるあたしを、憧れの彼がボー然と見てる…。そんなことになったら、たいへんよね。念じたことを転写できる超能力にめざめた沙也加だって、恋のためならダイエットもします。ところが、敵の新兵器「ハラヘッタガス」のおかげで大ピンチなの!これを吸ったら、食欲無限大よ!人類、ううん、女の子の敵め、沙也加の超能力のすごさ、見せたげる。
超能力をひとつだけ使えるなら、何がいい?フツーに16歳してた、あたし、沙也加は、突然めざめてしまったの。失恋のショックで。それは念じたものを写しだす“お転写”能力。めざめたその日、パパが誘拐された。カッコいい研究員・藤倉さんとバイオ研究所に忍びこんだら、なんとそこは、吸血バチの巣。刺されたら、みんなドラキュラにされちゃう。あたしの秘密パワーで一気にやっつけたいけど、彼の前じゃアセってうまく使えない。
トオルはおしゃれな宝石泥棒さん。私、アリサ、さっきからワクワクドキドキ。なぜって、スリルだーい好きの私の、今夜は泥棒初体験なの!でもドジな私、しっかりトオルの足を引っぱっちゃったみたい。ナマイキ女泥棒の薫子に先を越されて、証拠写真をとられちゃうし、こわい仕掛けがいっぱいのお屋敷に潜入しろだの、家宝を奪えだの、トオルをお婿さんにさせろだの、もう言われ放題。今年のイブはスリルでもう眠れそうもない!
パンチパーマのおにいさんたちの屋敷。捕われの身になっちゃった私、アリサ。「秘密を知られたからには、消えてもらいましょ」キザな2代目が冷たく言い放つ。助けにきて、トオル!そう、ダイヤと美人には手が早い、彼は素敵なドロボーさんなの。ところが彼ったら、女の子はまちがえるし、追われてラブホテルに逃げこんじゃうし、いったい何考えてるのよ!?-思いっきりおしゃれにキメたい、女の子のハードボイルド。始まりよ!
彼、トオルは、おしゃれなドロボーさん。深夜の宝石店の前で、私、アリサのファーストキッスを盗む。その手ぎわもにくらしいくらいあざやか!ところが、そのとき宝石店のなかでは、なんと殺人事件が行なわれていたの!目撃者の証言で、私たちはリッパなおたずね者に。刑事がニガテのトオルと、スリル大好きのアリサ。こうなったら、ふたりの推理で、真犯人を見つけなきゃ!なのに、ピンチの私たちの前に、犯人の巧妙なワナが…!