著者 : 原田梨花
僕の夏へおいで僕の夏へおいで
あたし佐野えみこ。この秋で15歳になる。山本夏樹と池山海。そしてあたし。3人は、今、幼稚園から大学まであるエスカレータ式の学校の中等部の3年。あたしの家の門の所から学校まで、毎朝、3人で肩を並べて歩く。夏樹、あたし、海。3人は、いつもこの順に並んで歩く。ずっと、3人で…。半年前までは、いつも3人いっしょだった。そう、夏樹があの真っ白い建物に閉じ込められてしまう前までは…。
薔薇色になりたい薔薇色になりたい
あたし、木内桃子。都立高校1年生。ある放課後、図書室へ行こうと中庭を歩いていると、屋上から真っ白い紙飛行機が、円を描きながら、あたしの足元へ舞いおりてきた。手にとってみると、内側に何か書いてある。『純粋になりたい』。なんてくさいセリフ!でもそれが、あたしと、2年生で生徒会の副会長、色城春彦との出会いの始まり。そして、あたしが石になった心から解き放たれる、第1歩だったんだ…。
いつかどこかで天使と…いつかどこかで天使と…
あたし、園田愛子。もうすぐ17歳になる、私立女子高の2年生。家族は、ママと、ママのほうの、おじいちゃんとおばあちゃんだけ。やさしかったパパは、もういない。汚れた手帳だけが、たったひとつのパパの形見。ある日、下校の途中、片倉英二さんと知りあったの。英二さんは、バレエ団のダンサーで、日本公演のために仲間とやってきたという。英二さん!あたしの素敵な“天使”に、なってくれませんか?
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