著者 : 古池ねじ
ドーナツ屋の夜のつれづれドーナツ屋の夜のつれづれ
十八歳の深沢信也は優秀な兄への劣等感をこじらせ、大学受験も失敗し鬱々としていた。そんなある日、京都にある大好きな祖母のドーナツ屋の手伝いを頼まれる。けれど京都で信也を待っていたのは思い出にある素朴なドーナツ屋ではなく、SNS映えするネオン輝く夜営業のドーナツショップ。さらに店長は軽薄そうな超美形の大男のレンに変わっていた。始めは意地を張っていた信也はレンに甘やかされ、ドーナツ屋の手伝いを通して少しずつ変わっていくー深夜のドーナツ屋が贈る、お腹と心が満たされる優しい物語。
京都烏丸のいつもの焼き菓子 母に贈る酒粕フィナンシェ京都烏丸のいつもの焼き菓子 母に贈る酒粕フィナンシェ
京都烏丸にある焼き菓子店「初」。バターと砂糖をたっぷり使った昔ながらの製法に和の食材を合わせた、一風変わったお菓子屋だ。感じ良くかわいらしい女性店員と、愛想のない青年の菓子職人が営んでいる。今日訪れたのは、京都で暮らすデザイナーの女性。仕事では成功しているけれど、実家の家族とはいまいちそりが合わない。けれど「初」のお菓子がきっかけで、ほんの少しだけ歩み寄れて…。平凡で、楽しいことも悲しいこともいつものように過ぎていく、豊かな日常の物語。日常の幸せを思い出す、お菓子をめぐる短編集。
木崎夫婦ものがたり 旦那さんのつくる毎日ご飯とお祝いのご馳走木崎夫婦ものがたり 旦那さんのつくる毎日ご飯とお祝いのご馳走
文筆家の島田ゆすらは、偶然出会った木崎修吾と電撃結婚した。著名な作家を父に持つゆすらは、本人の意思とは関係なく期待を掛けられている。修吾はいつものように「よくわからないけれど面白かったですよ」と小説の感想を述べ、ゆすらのために美味しいご飯をつくる。甘めの角煮、おやつのスコーン、朝には菜飯のおむすびをー。それを二人で美味しくいただくのだ。父の残した陽当たりのいい、この家で。寄り添い合う新米夫婦の、ゆったり成長ものがたり。
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