著者 : 矢月秀作
恋人の紗由美が爆死するまで七十二時間!-トラブルシューター「もぐら」こと影野竜司に、環境ベンチャー「エコウインドウ」の元研究員である安里という男が血塗れの姿で相談を持ち込んできた。システム開発の権利関係のトラブルで命を狙われているという。翌日「もぐら」の存在を教えてくれたホームレスの男が惨殺されたことを知ると、安里は姿を消してしまう。竜司は「エコウインドウ」に探りを入れるが、その矢先、紗由美が何者かに拉致・監禁され、体に爆弾を縛り付けられてしまう。紗由美の解放条件は、安里を差し出すことだった…。急成長産業の闇に蠢く黒い企み!竜司は愛する女を救出できるのか。
二十五歳の女教師が、廃校となった校舎内で男たちに乱暴された後、改造銃で射殺されるという残虐な事件が起きた。トラブルシューター影野竜司は、ストーカー被害を訴えるOL小林真結子を暴行しようとした男を捕まえた。犯人は高校生で、動機はアングラネットのメッセージだという。“淫姦倶楽部”というHPに真結子の名を騙り、顔写真とともに「私は、レイプ好きのOL-」とあり、住所や勤務先が記されていたのだ。一週間後、真結子もまた何者かに暴行を受け、射殺されてしまう。個人情報を盗みインターネットで犯罪を煽る者、そして犯行に及ぶ者…。顔のない犯罪者たちの不気味な影が、竜司にも忍び寄る。社会の闇を鋭く抉る書下ろしサスペンス。
十年前のある事件を機に、影野竜司は警視庁特捜部を辞し、同時に一生癒されることのない心の傷を負った。そして今、新宿百人町に電話一本のちっぽけな事務所を構え、トラブルシューターとして日々を送っている。その手荒な解決手段は闇社会で有名になり、竜司は「もぐら」と怖れられていた。今回の依頼は、渋谷にたむろするギャング気取りの若者に凌辱ビデオを撮られ、売春を強要されている妹を救出してほしいというものだった。竜司にとって、これは単なる仕事の一つにすぎないはずだったが、張り巡らされた罠が、次第に竜司を追い込んでいく…。忌まわしい過去を持つゆえに人一倍優しく、時に凶暴化してしまう竜司。ニューヒーロー、ここに誕生。