著者 : 黒なまこ
霧宮澄御架ーこの高校を襲った怪奇現象に立ち向かった英雄とも言うべき美少女。一年前、突如として生徒たちの日常を崩壊させた“青春虚構具現症”-級友が引き起こす非現実的な現象を前に、俺・神波社は彼女の相棒として奔走した…進級直前、白い桜の舞い込む教室で、澄御架が命を落とすまで。二年生となった俺は、彼女を喪った空虚感を拭えぬまま、無難に日々をやり過ごしていた。だが、そんなある日、クラスで『消える女子生徒』がいるとの噂を耳にする。それは一年前と同じ、平穏な毎日が失われるはじまりだったーなぁ、霧宮。教えてくれ。お前のいない教室で、誰がその跡を継げばいい?
「年末にアンタの言う太陽系一可愛い彼女連れてきなさいよ」冬休み初日、母親からの呼び出しに応じ結城の実家へと向かうことになった二人。緊張した面持ちの小鳥と初対面を果たす快活な母、そして兄とは対照的に家に引きこもりがちな弟。更には結城祐介のことが好きだと宣言する幼馴染みも現れて!?愛情、コンプレックス、恋心。結城祐介に向けられた様々な感情に触れつつ清水小鳥は遠地で変わらぬ思いを吐露するー「私は結城さんを愛するって、そう決めたんです」結城祐介を形成してきた過去、そしてこれまで歩んできた軌跡が明かされる。二人の愛と絆が深まる第4幕。
互いに強く惹かれ合い順調に愛を育んでいく結城と小鳥。一方、2人を一番近くで励まし見守ってきた大谷翔子は深く静かなる葛藤を抱えていた。日増しに高まっていく結城への恋心を自覚した大谷はある日、大きな決断を迫られるのだが!?『女はね、恋が一番大事なのよ。アタシの子だもの翔子もいずれ分かるわ』愛する父と自分を捨て、別の男の元へと走った母が言い残した言葉が悪魔の囁きのように鳴り響くー。(自分の恋の為に奪いに行くなんてことをしたらアタシは…)これは飛び降りようとしている女子高生を助けた少年を巡り、初恋と純愛に翻弄されていく大谷翔子の恋物語。
「おかえりなさい、結城さん。今日も一日お疲れさまです」勉強にアルバイトと忙しい日々を過ごす結城に彼女ができた。毎日とびきりの笑顔で出迎えてくれる彼女に満たされ、小鳥もまた結城との時間で心の傷を癒やしていくのであった。そんな日々を過ごしていたある日、結城と小鳥は1人寂しそうにポツンと佇む隣人の少女と出会う。孤独な少女が2人の生活に加わる事で、まるで新婚のような暮らしがはじまって?「…私、結城さんの彼女になれて本当によかったです」家族のような繋がりの中、磨り減った2人の心は更に満ちていく。生きる事を諦めた女子高生との幸せな新生活、第2幕。
特待生の学費免除を維持するため勉強とアルバイトだけをして高校生活を過ごしてきた結城祐介はある日、猛烈に彼女が欲しくなってしまった。そんな思いつきから寂しさがこみ上げた帰宅途中、ふと空を見上げると廃ビルの屋上から身投げしようとしている少女を見つける。「なんでこんな事してんだよ!」「私は…生きてる意味…無いですから…」「待て。美少女が死ぬのはもったいない」「…?」「死ぬくらいならさ、俺の彼女になってくれ」「えぇっ?」こうして奇妙な出会いからはじまった謎の少女・初白小鳥との新たな日常と恋物語。失意の底に落ちた女子高生との、温かな同居生活が始まる。