著者 : Sime
自らを悪の手先とすることで教会を正そうとしたドンガハハの手記より、自分が思う以上に教会が他国の手によって腐敗させられていることに気づかされたルシエル。今回の内乱の黒幕も、公国ブランジュだとドンガハハは記していた。人間を魔族化させる研究を進める公国ブランジュ、そして同じ研究を行うイルマシア帝国。この世界で起きている悲劇の連鎖を止めるため、研究の実態を調査しなければならない。そう考えたルシエルは他国に乗り込むことを決意する。
急ぎ聖都に帰還したルシエルだったが、そこで待ち受けていたのは、ルシエルの失脚を狙う執行部の闇であった。どうやらルシエルが神罰を受けたという噂を流したのも彼らのようであった。味方であるはずのカトリーヌも自由に動けていない状況で、四面楚歌な状況に陥るルシエル。ひとまずは一時退却。メラトニに活動拠点を作り、師匠ブロド、ライオネルたちと共に状況の打開を思案するのだが。
雷龍から危機に瀕する巫女姉妹の救出を託されたルシエルは、二人がいるとされる迷宮都市国家グランドルにたどり着き、姉妹が犯罪奴隷に落とされていることを知る。事情を知るために訪れた奴隷商でルシエルは、姉妹の惨たらしい姿を目撃する。その場で回復することも可能であったが、それまでの経緯と不可思議な顛末に怪しい奴隷商人…彼女たちが奴隷に落とされた背景には何か裏があると感じたルシエルは、姉妹を救うため奴隷オークションへと向かうのであった。
聖都シュルールへと凱旋したルシエルは旧交を温める間もなく、トラブルへと巻き込まれていく。エスティアの不可解な動き、地下迷宮の再活性化、そしてカトリーヌと騎士団の間にながれるギクシャクとした空気。面倒事に巻き込まれたくはないルシエルだが、生来の気質からか放っておくことはできなかった。しかし、一つ一つの問題へと対処していくうちに緊張の糸ははじけ、模擬訓練を行っていたライオネルたちと騎士団の間で、大きな衝突が起きてしまうのだった…。
獣人の国イエニスでの改革を成功させたルシエルだったが、聖都ではその成果に便乗した者たちによって、人族至上主義が活発化してしまったていた。このまま聖都に戻れば、神輿として担ぎ上げられてしまうかもしれない。そう考えたルシエルは、時間をおくことで事態が沈静化することを願い、ひとまずはドワーフ王国へ向かうことに。だがその周辺でも邪神の影響か魔物が活性化しており、ルシエルは終わりの見えない戦いへと誘われていく…。
誰もが六つの魔法を使える世界。収納魔法しか使えないエイルは「魔欠落者」として蔑まれてきた。しかし、回復魔法しか使えないルークや伝説のモンスター・フェンリルのブルーなど“家族”と呼べる大切な仲間と出会い“幸せ”を知る。そして、魔欠落者差別のない国づくりを目指すのだがー。異世界ファンタジー待望の第二弾!
母校で司書を務める孝平は追い詰められていた。図書室だよりに載せたとある本の書評が大炎上。廃刊の危機が迫っていたのだ。そこへ当の作家・香耶が学校を訪れ、なんと図書室だよりへ物語の執筆を買って出るという。「初恋の女の子も小説を書いていたんです」孝平が学生時代の想い出を口にするたび、香耶との間に甘酸っぱい空気が漂う。どこか懐かしさを纏った彼女の孝平は徐々に惹かれ始めー。図書室に隠された切なさが、きっと温かな涙に変わる。奇跡の巡りあいが綴られた青春恋愛物語。
百名近い皇子達が覇権を賭けて争う時代に、突如現れた皇子ミロ。行方不明だったはずの彼は妹と婚約者を伴い、貴族と資産家の子息のために創設された帝国学園に入学する。そこは権力と貧富の格差渦巻く帝国の縮図と化していたが、その様々な問題を、剛胆な策略と得体の知れないスペシャリスト達と共に解決してゆくミロ。しかしカリスマも才気も備えたその皇子ミロは、実は偽者だったー!!友の意志を継ぎ皇子となった少年の入れ替わり英雄譚、開幕!
就職活動に全敗し、頼みの綱でもあった「LB管理者採用試験」も体調不良による棄権を余儀なくされた千鳥さん。ただ、自分にとっての天職を見つけたいだけなのに…。自分に自信がなく、といって好きなことも思い浮かばず、回復しない体調に苛立ちながら、なやみ、うなだれていた彼女に差し伸べられたのは、人々の羨望を集めた“神の手”を持ちながらも、紙の本が稀少化したこの世界に絶望した、ひとりの“図書修復家”の手だったー。“本の未来”が収められた、美しく、不思議な図書館を、紅玉いづきが紡ぐ待望のシリーズ第二弾。
本が手の届かないほど遠くにあると思っていたこと。本が母と娘を繋ぐ絆であったこと。本が祖父への畏れであり、忘れ得ぬ思い出であったこと。そして、強すぎる願いゆえに、たった一冊の本すら手放せないこと。そこにあるすべての本には数え切れない“想い”があり、そこに集うすべての読者にはその数だけの“物語”があった。さえずり町のサエズリ図書館。それは本の“未来”が収められた、美しく、不思議な図書館。紅玉いづきが詠う、すべての書物への未来譚ー。あなたにとって大切な一冊は、きっとここでみつかる。