君と、眠らないまま夢をみる(1)
高校生になった智成の日常は少し変わっている。死者が見えるのだ。吹奏楽をやめ、早朝バイトをする智成は、夜明けには消えてしまう彼らとの静かな時間が好きだった。だが、親友の妹・優子との突然の再会がすべてを変える。「文化祭で兄の遺作を演奏する手伝いをしてくれませんか」手渡されたそれは、36時間もある壮大な合奏曲でー。兄を失った優子。家族と別れられない死者。後悔を抱える智成。凍り付いていたそれぞれの時間が、一つの演奏に向かって、今動きはじめる。第27回電撃小説大賞“メディアワークス文庫賞”受賞。