さようならこんにちは(1)
あたし、村上明日香。漫画家志望の、明るくボーイッシュな高校1年生。うちは、美人でしっかり者の亜矢香姉ちゃん、おとなしくてやさしい沙也香、ドライで口が達者な絵里香、そして、二女のあたしという、なんと、今どき珍しい四姉妹なんだ。そして、仕事で忙しいパパ、入院中のママという、ほとんど両親不在の家庭だけど、みんなで力を合わせて、なんとかやっていたの。そう、あの事件が、起こるまでは…。
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あたし、村上明日香。漫画家志望の、明るくボーイッシュな、高校1年生。パパは、仕事が忙しくて家にいないことが多いし、ママは入院中。でも、姉妹4人で、仲よくやっていたの。あの日までは…。そう。あたしが、殺人犯の娘で、みんなと血がつながってないことがわるまでは…。あたしの出生の秘密がわかってからというもの、姉妹の仲はバラバラになるし、あたし、これから、どうしたらいいんだろう…。 1989/09/01 発売
あたし、村上明日香。高校1年生。あたしが、みんなとは血がつながってない殺人犯の娘だったとわかり、一時はバラバラになった姉妹の仲も、あたしの自殺未遂騒動を契機として、少しは落ち着きを取り戻したの。しかし、四女の絵里香の、あたしに対する憎しみはますます激しくなり、家にいることも少なくなってしまった。絵里香の、幼く、必死の抵抗は、あたしの胸を痛ませるんだ…。 1989/10/01 発売
あたし、村上明日香。高校1年生。あたしの出生の秘密があばかれた、あの夜から、すべてが、思わぬ方向へと動いていく。中でも、末っ子の絵里香のことは、あたしばかりでなく、家族みんなの悩みの種なんだ。この夏休みも、絵里香は、一度家を出ると、何日も帰ってこないし…。あたしたち4人姉妹は、今、それぞれの思いを胸に抱いて、この長い夏休みを過ごしている。 1989/11/01 発売
改めて、初めまして、デス。えーっと…、末っ子の絵里香です。明日香姉に、ずいぶんいじわるしたことは、本当に反省しています。ごめんなさい!!最近、あたしが、心密かに気にかけてる人がいるの。それは、アキラのこと…。えっ!?アキラって誰のことかって!?それは、ちょっと待ってね。少し、話がさかのぼってしまうけど、これから、じっくり話していくから…。 1989/12/01 発売
しばらくデス。明日香でーす。あたしは無事、都立城南高校の2年生に進級しました。我が家は今、サイコー浮かれたっているの。何故なら、ママが退院してくることになったから。もう、姉妹たちは、大はしゃぎなの。でも……、あたしは、正直いってどうしても素直には喜べない。もしかしたら、病院側の最後の配慮かもしれないもの。ママの命のことを知っているのは、パパとあたしだけ。二人だけの秘密なんだ…。 1990/01/01 発売
あたし、村上明日香。あたしが、安田センセのところでバイト中に、亜矢香姉ちゃんから、電話が入ったの。「ママが…、ママが…、大変なの!!」病院に着くと、亜矢香姉ちゃんと沙也香と絵里香が、そわそわしながら病室の前に立ち尽くしている。しばらくして、パパも到着した。ママは、「それじゃあ、ちょっといってくるわね」と、買い物にでも出かけるような気軽さでいって、集中治療室へと入っていったの…。 1990/02/01 発売
あたし、村上明日香。高校2年生。ママが、ちょっとそこまでといった明るさで、天国へと旅立ってから、いろいろなことがあった。パパは松江に転勤することになり、三女の沙也香と四女の絵里香が、いっしょに行くことになったの。今日が、その出発の日…。パパたちを見送ってから、あたしは、克巳くんの好意にあまえて、いっはょに、誰もいない家に帰ってきたんだ。家に着いた時、あたしはいったの。「帰っちゃ…、いやだ…」って。 1990/04/01 発売
あたし、村上明日香。高校2年生。パパの転勤で、沙也香と絵里香が松江に行って、あたしと亜矢香姉だけになってしまった我が家に、由紀さんがやってきてから、少しは活気がもどってきたみたいなんだ。学校では、このごろ、進路についての話が、もっぱらみんなの口をついて出るの。2学期も半分以上すぎて、そろそろ本格的に、進路について考えなければいけない時期だし…。あたしも、正直いって複雑な気分なの。 1990/05/01 発売
はじめまして…。あたしは、村上沙也香といいます。どうか、よろしくお願いします。あたし、何事もいつもスルリと通り抜けて、涼しい顔でいい子ぶってる自分がキライ。世界じゅうでいちばんキライ。あたしは、生まれ変わりたいの。だから、これから書こうとしていることは、そんなあたしの飛翔への物語なのです。どうか、応援してくださいね。 1990/06/01 発売