宿縁の矢
「きみはクリスのもとで研修を受けるのだから、最後に彼に会ったときよりも落ち着いた状況で顔なじみになっておきたいだろうと思ったのだよ」「落ち着いた状況ですって?これが落ち着いた状況だっていうんですか?」「相対的にはな」正式な“使者”となり、“学院”での日々に別れを告げたタリア。研修の指導官はクリス、任地は北の“国境地帯”。辺境出身のタリアにとって比較的簡単な任務になるかと思われた。研修はクリスと協力して難題に向かうことが不可欠である。しかし、二人の信頼を揺るがすべく、密やかに不和の種は蒔かれていたのだった。執拗に迫る“女王補佐”排斥の魔手。タリアはこの陰謀を打ち砕けるのか。