1987年11月1日発売
「そんな娘とは、結婚させん!」大金持ちで名家の長男、同級生の道成寺英彦くんとわたしは、ひそかに婚約してたんだけど、カレの家中が猛反対。でも、なんとか条件つきで婚約をみとめてくれそう。その条件というのが、なんと!ブ・ラ・イ・ダ・ル・テ・ス・ト、なの!そう、明治生まれのおじいさんからはじまって、カレの家族5人の、柚実が花嫁になるためのこわ〜いテストが始まるんです。う…わたし、まけない!
冷泉学院女子部・料理クラブの、ハッピーなジンクス、それは、恋曜日。部活で、つくったお料理を、その日のうちに、恋する相手に受けとってもらえたら、ふたりの仲が、うまく行く、というのだ。だから、料理クラブの部員たちは、部活のある火曜日を“恋曜日”って、呼んでいる。思いきって告白することを“恋曜日する”って、言うんだよ。あたし、大沢瞳。冷泉女子部、中3B組。一級上の吉村寿人くんに恋曜日してみたの!
あたし、水原早苗。16歳。マジメな女子校の高1。あたしんちのトナリに住んでる、ひとつ年下の、戸浦翼クンに、初恋から片想い。これがヒミツ、その1だとすると、あたしには、大きなヒミツが、もひとつ、ある。あたし、ラジオの、パーソナリティ、してるんだ。DJ、とも言う。土田稲子なんて、芸名、使って。ついでにトシも、偽って。「うきゃぴぴぴーのぷっつん切れてるオイネどんたら、あたいのコトだよよよーん!」
龍宮城の中は、豪華だった。ペパミント・グリーンの濃淡が、微妙にまじりあっている壁。チラチラと虹色に輝く床。装飾品は、すべてピュア・シルバー。さんご色の光を発してる柱。あまりの美しさに、声も出ない。で、突然、現れた黒髪の女のコ。南の島の海みたいに、澄みきった、ブルーの瞳。コーラルピンクの唇。細くて、長い首、きゃしゃな手足。薄い肩。白い、白い肌。この美少女が、乙姫さま…だって!
両親の離婚問題に、頭を悩ませながら、T高原にやってきた夏美。夏休みを利用して、一人でシリアスに考えるはずだったのに、ヘンテコな少年に会ってから、ペースが狂いっぱなし。だって、出会ったその日に、「あなたは僕の理想です」なんて言うんだもの。いったい何を考えているの?東京に帰るまでに、2週間しかないんだから、こんなヘンな男のコの相手をしているひまなんて、ないのよ!でも…、でも…。
「平家物語」ゆかりの紅葉の光明寺を訪れた沢田由美は、ふとしたことで歌舞伎役者片岡秀三郎と知りあう。連れ立って帰る二人は石段わきで男の服毒死体に出あうが、なぜか男の手にはすすきが1本にぎられていた。さらに翌日、二人でまわった鷹ケ峰光悦寺の萩の花の下で医学部教授の死体が発見される。そして桔梗寺の盧山寺で…。秋の七草の寺で連続殺人か!?古都の寺院を舞台に展開する、推理の女王による本格抒情ミステリー。
「マユミ、君だけを残して行くわけにはいかないよ」唯一の心の慰めだったリスの死骸を隠し持って、アメリカから帰国する孤独な留学生-。「千春、君だけが汚れた僕を救えるんだよ」テレビの女性キャスターに異常な視線を注ぎ、愛するセントポーリアと共に彼女をガラスの部屋で育てたいと望む男-。ペスト菌に感染したリスがもたらす禍いと、病んだ男の精神が引き起こす誘拐。平穏な街に恐怖の二重奏がかなでられる。
札幌近郊の瀬田寒原野に建設された学園都市で、建設大臣犬塚が野獣に喰い殺された。共時通信記者・田外竜介は事件を追って北海道へ。その夜、水口組の殺し屋犬山が巨大な黒犬に咬み殺された。翌日学園の犬飼教授を尋ねた田外の目前に、突如虚空から漆黒の巨獣が出現…。次々と屠られる犠牲者。謎の精神病理学センター局長近江と美人助手乾伶子。立ち並ぶ奇怪な建物群に隠された意味とは。期待の新鋭が放つ長篇オカルト・アクション。