1999年8月25日発売
あした砕けるあした砕ける
ある出来事を機に十年間続けた探偵を辞め、サラリーマンに転職した御倉学は、筋力トレーニングと酒でなんとか精神の均衡を保っていた。リストラされ失業中のある日、別れた妻奈美から、再婚した夫・大路の死の真相を調べてほしいと頼まれる。大路は一万人の会員を持つ無店舗販売組織“博愛クラブ”の理事で、死の前日電話で「ボリス計画」をめぐり言い争っていたという。御倉は乗り気ではなかったが、帰り道何者かに襲われ、探偵としての本性とレスリングで鍛えた筋肉が疼き始める。「ボリス」とは、ロシア大統領エリツィンの名前だが、国際的な陰謀が蠢いているのか?足を洗ったはずの探偵稼業に再び身を投じた御倉…。新鋭の書下ろしサスペンス。
もぐら狂い蟲もぐら狂い蟲
二十五歳の女教師が、廃校となった校舎内で男たちに乱暴された後、改造銃で射殺されるという残虐な事件が起きた。トラブルシューター影野竜司は、ストーカー被害を訴えるOL小林真結子を暴行しようとした男を捕まえた。犯人は高校生で、動機はアングラネットのメッセージだという。“淫姦倶楽部”というHPに真結子の名を騙り、顔写真とともに「私は、レイプ好きのOL-」とあり、住所や勤務先が記されていたのだ。一週間後、真結子もまた何者かに暴行を受け、射殺されてしまう。個人情報を盗みインターネットで犯罪を煽る者、そして犯行に及ぶ者…。顔のない犯罪者たちの不気味な影が、竜司にも忍び寄る。社会の闇を鋭く抉る書下ろしサスペンス。
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