2024年8月28日発売
後宮の梨壺に引き籠もり、『源氏物語』と『紫式部日記』の執筆に悩む紫式部のもとに、『枕草子』執筆以後、行方が定かでなかった清少納言が現れる。皇后定子は崩御し、時の権勢は藤原道長が握っていたが、帝の寵愛を巡る政争は未だ絶えてはいなかった。火定入滅の焼身体入れ替え、罠の張られた明法勘文、御匣殿の怪死事件…。後世に遺されなかった二人の密会と謎解きは、男たちの政の陰に隠された真実を解き明かしてゆくー!
私立北神薙高校に通うミステリ好きの少年・本仮屋詠太は、校内で謎の本ー『牢獄学舎の殺人』を見つける。ある高校の音楽室/美術室/プールで発生する三連続密室殺人を描くその本格ミステリは、“読者への挑戦状”で締めくくられ解答編が存在していなかった…。読み終えた彼の前に、謎の少女が現れて告げる。「私は杠来流伽。溝呂木案件調査機構ー『未完図書委員会』の司書よ」彼が手にした本は、“読者への挑戦状”を解いた者が完全犯罪の手引書として使用できる「未完図書」の一冊だった!詠太と来流伽は『牢獄学舎の殺人』が現実に再現されることを未然に防ごうとするが、やがて校内で本物の密室殺人が発生。二人は虚実絡まる事件の謎を、解くことができるのか!?
『今年、一二〇〇個の密室で、一二〇〇人が殺される。誰にも止めることはできない』-一九九四年が始まった。まさにその瞬間前代未聞の犯罪予告状が、「密室卿」を名のる正体不明の人物によって送りつけられる。一年間ー三六五日で一二〇〇人を殺そうと思えば、一日に最低三人は殺さねばならない。だが、一二〇〇年もの間、誰にも解かれることのなかった密室の秘密を知ると豪語する「密室卿」は、それをいともたやすく敢行し、全国で不可解な密室殺人が続発する。現場はきまって密室。被害者はそこで首を斬られて殺され、その背中には、被害者自身の血で『密室』の文字が記されている…。狙っているのは誰か?そして、狙われている者は?日本国民一億二千万人余の全員が、被害者にも容疑者にもなりうるという未曾有のスケールを備えた密室連続殺人には、警察、そして名探偵集団・JDC(日本探偵倶楽部)の必死の捜査も通用しない。日本全土は、恐怖のどん底に叩き落とされた。…同じ頃。海を隔てたイギリスでは、前世紀の悪夢が蘇っていた。かの切り裂きジャックの後継者を自称する者によって引き起こされた連続切り裂き殺人ーそれは、その猟奇性と不可解性において、日本の密室連続殺人に勝るとも劣らぬものだった。JDCきっての天才・九十九十九は、日英両国の怪事件を詳細に検討した結果、一二〇〇年間解かれることのなかった密室の秘密と、一〇六年間謎のままだった切り裂き殺人の秘密は、同一の根を有すると看破する。同一の根ーそれは、世界の秘密。自らの人生観をも根底から覆しかねない大いなる神秘に、名探偵をも超越したメタ探偵・九十九十九が挑む!