制作・出演 : イングリット・フジコ・ヘミング
ショパン生誕200年を記念したベスト盤。フジコ・ヘミングが過去に録音してきたショパンの音源からセレクトしている。有名曲が中心でショパン入門としても最適だ。フジコ・ヘミングのショパンへの手紙も掲載。
フジコ・ヘミングがついに自身のレーベルを立ち上げた。第1弾となる当盤はロンドンで収録。ほとんど強音を用いないうえに、スロー・テンポで、タッチもおっとりとしているので、優しく静かに語りかけるような雰囲気が醸成される。そこに癒しを見いだす人も多そうだ。
フジコ・ヘミングのメジャー・デビュー10周年記念のベスト盤。本作は、デッカ・レーベルにて録音されたアルバムから人気曲を選んだもの。1973年録音の「ラ・カンパネラ」にはじまる、彼女の軌跡が辿れる1枚だ。
あまりにメディア的な企画だが、それゆえの興趣もまた。5種類の同曲異演は、眼前で囁いている音とだけ対話するような、俳句的な音楽が基調を成している点で、驚くほど変わらない。聴き手を引き込む力の根源は、箱庭的な世界を描ききる筆致にあるのだろうか。
2007年7月のTV特番で話題を呼んだパリ・ライヴからのCD化。ショパン協奏曲のオケ・パートを弦楽四重奏にアレンジする大胆な発想は、このきわめてプライベートな音楽家の特質そのもの。演奏の荒さや音質の悪さを差し引いても、この語り芸的な説得力には脱帽。
フジ子・ヘミングが弾くグリーグの協奏曲。ゆったりとしたテンポのなかできめの細かいピアノがブリリアントに奏でられるさまはまるで魔法のようだ。聴く者の心を惹きつける独特の音色で彩られた旋律も美しく、個性的な演奏は何度聴いても興味が尽きない。
20世紀の終わりに突如その存在を我々の前に現し、数奇な半生に裏打ちされたような情念の音を聴かせてくれたフジコ・ヘミング。ロマン派、とくにリストに聴ける、きらびやかさと思い入れとが微妙なバランスで調和したデッカ録音の小品を集めたベスト集。