著者 : エドワード・セント・オービン
世界のベストセラー作家が、シェイクスピアの名作を語りなおすシリーズ第二弾。 あの「リア王」が、現代のメディア王に。 巨大な企業王国をめぐる三人の娘の忠誠と裏切り。 テレビ局や新聞社を傘下に収めるメディア王ダンバーは、会社の乗っとりを狙う娘たちによって療養所に入れられるも、脱走。末娘だけが父の身を案じて捜索にのりだすが…。父親から虐待を受け、クスリと酒におぼれた自らの体験を基にイギリス上流階級の腐敗を描き続ける作家が、強烈で横暴な父親「リア王」を語りなおす。解説・河合祥一郎。 【著者略歴】 エドワード・セント・オービン 1960年生まれ。イギリスの作家。男爵家の末裔として生まれ、イギリスとフランスで育ち、名門ウエストミンスター・スクールを経てオックスフォード大学で文学を学ぶ。幼い時に父親から性的虐待を受け、のちにアルコール依存症、ヘロイン中毒に苦しんだ半生をつづった「パトリック・メルローズ」シリーズ(全5作)が高く評価され、なかでも『マザーズ・ミルク』はフェミナ賞外国賞を受賞、ブッカー賞の最終候補作に。シリーズはベネディクト・カンバーバッチ主演・製作総指揮でテレビドラマ化された。 小川高義(おがわ・たかよし) 1956年生まれ。翻訳家。東京工業大学名誉教授。東京大学大学院修士課程修了、訳書『オリーヴ・キタリッジの生活』『オリーヴ・キタリッジ、ふたたび』(エリザベス・ストラウト 早川書房刊)、『停電の夜に』『低地』(ジュンパ・ラヒリ 新潮社刊)、『ねじの回転』(ヘンリー・ジェイムズ 新潮文庫)、『老人と海』(アーネスト・ヘミングウェイ 光文社古典新訳文庫)『アッシャー家の崩壊/黄金虫』(エドガー・アラン・ポー 光文社古典新訳文庫)他多数。 【原書タイトル】 Dunbar
母の葬儀に参列するパトリックは、問題を抱えていた父と母を共に失った後の人生について思いを馳せる。ずっと望んできた心の平安が遂に手に入るのだろうか? 彼の心に光がきざすーー。《タイム》《エスクァイア》誌の年間ベストブックに選出。シリーズ完結篇
結婚をして息子をえたパトリックだが、子どもへの強すぎる愛を持つ妻やニューエイジ団体にはまる母に翻弄されるばかり。メルローズ家は過去の呪縛から逃れられないのか? 家族の新しい世代だけが変化への希望だった。英国最高峰の文学賞ブッカー賞最終候補作
30歳になったパトリックは薬物中毒から抜け出そうともがいていた。父の遺産をほとんど使い果たした彼は、弁護士になる道を模索する。パトリックは鼻持ちならないイギリスの貴族社会に復帰して、なんとか活路を見いだそうとするが……。5カ月連続刊行の第3弾!
22歳になったパトリックは、父の死の知らせを受けてニューヨークへと飛んだ。だが、ヘロイン中毒の彼は売人を求めて街をさまよい、終わりなき白日夢に悩まされるばかりだった。ホテルの部屋でひとりになったパトリックは、自殺したいという願望に身を委ね……。
貴族の家の血に連なる5歳のパトリック・メルローズは、南仏の母の一族の屋敷で、残忍さで人を支配する父とアルコールに頼り続ける母と夏を過ごしていた。そんなメルローズ家にディナーのために訪れたある客人の存在が、パトリックの世界を引き裂くことに──