著者 : ジョ-ン・オヘイガン
若きロ-マ人の死若きロ-マ人の死
ローマでもっと古い家柄を貴族の息子と、富裕な事業家の娘、若く美貌の2人の婚約は、文句のつけようのない良縁と思われた。だが花嫁の母ヘルウィアは、夫がとりまとめてきたこの縁談に、頑強に反対していた。花婿となるルキウスのよからぬ噂が耳に入ってきていたうえに、どうやらこの結婚は、花嫁の持参金目当ての色合いが濃かったのである。母親の心痛をよそに、婚礼の準備は着々とすすめられていった。そしてついに、両家の親族が初めて顔合わせをする祝宴の日が訪れた。ところがその席で毒殺事件が発生し、容疑はヘルウィアにかけられた。紀元前ローマの絢爛たる貴族社会で起きたスキャンダラスな殺人事件。弁護にのりだした不世出の雄弁家キケロが、虚偽と中傷からひとだしてみせた論理的帰結とは?
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