著者 : デ-ヴィド・メ-ソン
白昼のロンドンを襲ったIRAの爆弾テロが、歴史さえ揺るがしかねない陰謀を浮かび上がらせた。爆破現場から偶然に発見された書類から、某国による要人暗殺計画が進行中であることが判明したのだ。書類によれば、暗殺の実行にあたるのは旧東ドイツの「シュタージ」。恐るべき計画力と実行力を持ちながら、いまや壊滅したと信じられていた秘密情報組織だ。しかも暗殺の実行者は人間ではなく、標的をコンピューター制御で認識する自動狙撃装置だという。となれば、詳細な情報がなければ、対策さえ立てられない。だが、この暗殺を計画しているのがどの国なのか、いったい誰が標的なのか、それさえもわからないのだ。唯一の手がかりは、シュタージの本拠地が北朝鮮にあるという情報のみ。かくして英国情報部MI5は、暗殺計画を阻止すべく、元特殊部隊兵からなる傭兵チームを北朝鮮に送り込むが。
1992年4月28日、イラクのティクリートでスナイバー・ライフルが三度火を吹いた。壇上の人影は、血煙をあげて倒れ伏した…。1991年の秋、イギリス海兵隊特殊舟艇部隊を退役し、いまは軍出身者を中心に警備会社を経営するハワードは、顧客からある建設会社社長ダーティングトンから驚くべき依頼を受けた。イラク大統領サダム・フセインの暗殺である。ハワードは実行チームの編成にかかった。アラブの専門家である部下ボーン、射撃の天才のスコットランド人マクドナルド、特殊空艇部隊出身のアッシャー、ローデシア空軍のパイロットだったデナードなど、各分野の最高の人材が集まってきた。周到な準備工作が進められ、やがてチームはさまざまな経路でサウジアラビアに集結、イラク潜入を開始する。ところが、アメリカの国家偵察局がスパイ衛星によって偶然にチームの動きを知し、追尾を開始した。はたしてフセイン暗殺計画の成否は?圧倒的なリアリティと面白さで話題をまいた、イギリスの大型新人登場。