著者 : ロス・キング
謎の蔵書票謎の蔵書票
1660年、王政復古直後のロンドン。そこで20年近く書店を営むインチボルドは、アレシアと名乗る貴婦人から行方不明の稀覯本探しを依頼された。清教徒革命中に屋敷を荒らされたときに紛失した『迷宮としての世界』を取り戻してほしいという。それは1620年代のプラハで帝国図書館のために書籍の買い付けにあたり、蔵書家としても名高かった彼女の父アンブローズ卿が遺した貴重なものだった。破格の報酬に不審の念を抱きながらも、インチボルドはアレシアの屋敷から密かに持ち出した謎の暗号文を手がかりに蔵書探しを開始する。彼が試行錯誤の末に暗号を解くと、『迷宮としての世界』を思わせる言葉が浮かびあがった。はたして、この言葉には何の意味が?謎が深まっていくなか、蔵書の行方を追うインチボルドは、自分でも知らぬうちにアンブローズ卿と三十年戦争の時代に遡る恐るべき陰謀へと呑み込まれていった!1660年のロンドンと1620年代のプラハ。40年の歳月を経て一冊の稀覯本から繙かれる壮大な謎。“博聞と好学の徒をもって任じる”書店主アイザック・インチボルドを道案内に、書籍に関する蘊蓄をちりばめて贈る話題の歴史ミステリ。
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