著者 : 飯島宏
ロッキー山脈上空。130名の乗客と乗務員を乗せたエアブリッジ90便の機内放送は、ハイジャックの発生を告げた。要求はある少女殺害犯の逮捕と起訴。当局が迅速に要求を満たさなければ、機は爆破されるー。交渉役を命じられたFBI女性捜査官キャットは、実業家の自家用ジェットで追尾するが、ハイジャッカーの正体は想像を絶するものだった。激情と絶望が交錯する高空の対決。
キャットは人質となり、ジャックされた737に乗りこむ。説得交渉に努める彼女は、動機となった少女殺害事件の真相を察知し始めていた。殺害犯不起訴の元凶と名指しされた乗客の司法長官候補をめぐって機内は不穏な空気に包まれ、地上の対応の遅れがハイジャッカーを極限まで苛立たせる。キャットは携帯電話とノートパソコンを頼りに、限られた時間に挑む。そして戦慄の結末へ。
1983年、環境保護庁の要請で陸軍武器庫に入った調査チームに銃火が浴びせられ、化学兵器が山積する庫内は猛火と毒ガスに包まれた。チームのメンバーだったドノヴァン夫妻はその大量殺戮と環境破壊の首謀者という汚名を着せられ、14年間の潜伏生活を送ってきた。だが彼らは今、一人息子を学校から奪還して最後の賭けに出たー。数多の名手を瞠目させたノンストップ・サスペンス。
謀略の黒幕がFBI副長官であることが明白になり、ジェイク・ドノヴァンはかつての同僚ニックの協力を得て、あの忌まわしい現場へと向かう。だが、化学物質に冒されて重症となった息子トラヴィスのために自ら捕らわれた妻キャロリンと、入院中の息子は次々と刺客に狙われる。血まみれの格闘と息詰まる追跡戦。その果てに、ジェイクはいよいよ巨悪との対決に臨むときを迎えた…。
未曾有のハリケーンが接近するなかスコットエア社の727は離陸した。だが、誤って積みこまれたパレットには、ある原子物理学者の怨念がこめられていた。熱核爆弾の爆発とともに強大な電磁パルスが発生し、合衆国のあらゆる電子回路を破壊するメデューサ兵器ー残された時間は三時間半弱。運命を背負った五名の絶望的な飛行が幕を開けた。『着陸拒否』を凌ぐ迫真の航空パニック巨編
爆発の刻限まで一時間半を切った。国家と国民の運命を憂慮する大統領を尻目に、FBIはヴィヴィアンの拘束に血道を上げ、ペンタゴンと軍部は研究を目的としてメデューサ兵器回収の道を探る。地上の思惑が入り乱れるなか、機上の五名は離れ業にも近い解決策に思いいたった。時間の制約と想像を絶するハリケーンの猛威。苛酷な条件の下で、運命に翻弄された727は最後の賭けに出る。
フランクフルトを発ったクワンタム航空66便のホランド機長は絶句した。心臓発作の急患を乗せたジャンボの緊急着陸が拒否されたのだ。患者があるウィルスに感染しているというのが理由で、管制との交信がCNNにすっぱ抜かれると、欧州各国は次次と66便を拒絶。そしてCIAの副長官ロスは66便をある陰謀に利用する…。
少年拘置所で悪逆な監督官に命を狙われたネイサンは、身を守ろうとして彼を死なせ、脱走。忍びこんだ家のラジオで、自分が一方的に断罪されていることを知り、自らトーク番組に電話を入れる。トーク・ジョッキーの“ザ・ビッチ”はネイサンの擁護に回り、彼は一躍メディアの寵児となるが、捜査を開始した警察とともに、暗黒街の黒幕が送り出した第二の殺し屋が彼を追っていたー。
男に隷属する以外、女性に生きる道はなかった時代に、『女性の権利の擁護』などというとんでもない本を著し、一大スキャンダルになった女。「結婚は公認の売春」と言い放ち、いくつもの恋をした女。何度も落ち込み、何度も蘇り、常にまっすぐ前を見つづけた女。今の女性の自由は、この人なくしてはなかった-その女、メアリーの38年間の生涯を、当時の生々しい風俗と共に活写した長編。
闘争に疲れたIRAのデヴリンは、合同テロ組織による合衆国大統領暗殺計画を察知した。彼は身の安全とオーストラリアへの移住を条件に、この情報をイギリスのSISに持ち込む。だが、担当となったバランタインが情報の真偽を確認しようとした矢先、南仏に滞在中の大統領令嬢が誘拐されたー。テロリストと諜報員の奇妙な二人三脚、監禁された令嬢の凄絶な日々を描く謀略巨編。
オファレルは46歳のCIA暗殺工作員。妻には身分を偽り、他人の記憶に残ることを極力避ける。家族を愛し、酒はマティーニを一日一杯。週末には必ず車を洗う。そんな彼の原則が徐々に崩れ始めた。娘の離婚騒動、孫を襲った麻薬疑惑、そして殺人という行為への罪悪感…。だが、家族のためにもう一度だけやらねばならない。彼は最後の標的、駐英キューバ大使リベラの元へと向かった。
癌で夫を亡くし、暗い日々を送っていたジャネットは、あるパーティーで魅力的な男性シェリダンと出会う。二人はやがて、結婚の約束を交わすまでの仲に。が、幸福の絶頂で事件は起きた。シェリダンがレバノンでテロリストに誘拐されたのだ。しかも、彼の正体はCIAのスパイ。人質解放交渉は遅々として進まず、CIAの対応に業を煮やしたジャネットは、単身、中東へ飛んだが…。
キンギ牧師暗殺は、じつは本人の意志であり、その実行には、牧師の後継者で副大統領候補のバーネットが加担していた、という驚くべき情報がM16にもたらされる。休職中だった中年アナリスト、レイシーは、その真偽を確かめるべくスペインに飛ぶ。だが、情報提供者は殺され、レイシーは国際的な大陰謀に巻き込まれてゆく。老練な謎の暗殺者と中年スパイの死闘を描く長編サスペンス。
シャトルの事故で片目を失い引退した元宇宙飛行士ドーヴァーのもとに1通の呼び出し状が届く。アメリカの宇宙監視システムが、ソ連の打ち上げた奇妙な物体をキャッチ。その正体を探る極秘任務は、ロシア語堪能で宇宙工学の知識があり、しかも隻眼の人間にしか務まらない…。ソ連秘密基地への潜入工作に始まり、ついには宇宙空間にまで舞台を広げる、波瀾万丈の軍事サスペンス長編。
老練の船長が体験した、あまりにもおぞましい晩餐会での出来事を語る「胸像たちの晩餐」、12人の求婚者から1人選んで結婚する毎に相手が死ぬという悲劇を繰り返す美女の物語「ノトランプ」、かつての惨劇の舞台であり、現在は観光名所となった“血の宿”に泊まった男女を見舞う絶体絶命の危機「恐怖の館」など、『オペラ座の怪人』で知られる文豪の手腕が発揮された恐怖綺譚集。