懶惰と無気力が骨の髄までしみこんでいるロシアの青年貴族オブローモフ。オネーギン、ペチョーリン、ルージンなどの系譜につらなる「無用者」「余計者」の典型を見事なまでに描き切ったゴンチャロフの代表作。
いつまでもベッドを離れないオブローモフだったが、知的な少女オリガとの出会いによって、胸をはずませ、明るい未来の展望さえ思い描くに至った。しかし、それも束の間、結局は、この愛もオブローモフを現実生活に正面から立ち向かわせることはできないのだった。 1976/06/16 発売