愛した人は、邪魔な人。大好きだった。けれど今は、別れたいだけ。自分がどれだけ心を傾けられる相手を必要としているか、その淋しさは痛いほど分かっているけれど…。優しさと凄味をあわせ持つ、驚愕の長編小説。
美衣子は、理髪店を一人で切り盛りしてきたしっかり者の母親と、はずみで家に入れてしまった内縁の夫、青野と三人で暮らしている。ある日、青野の甲斐性のなさに愛想をつかして別れ話を切り出すが、男はなかなか出て行こうとしない…。男運にめぐまれない女たちの、ひそやかな心の動きを、乾いた筆致で描く長篇小説。 2008/04/10 発売