悪党が見た星
「娘をさらった。午後にまた電話する」関東一円の繁華街で、中華料理店を展開する片岡家の一人娘が誘拐された。要求額は六千万円。現金を用意したのは、片岡の取引先である北城興業。だがその実体は、千葉を本拠にする暴力団組織であり、一方の片岡本人もまた裏社会においては、軍の流れ品や臓器売買までを取り扱う筋金入りの闇商人である。警官が屯する片岡家に現金を運んできた、北城興業No.2清高文児は、彼らの行動に不自然さを覚えた。そう、気づいたのだ!これは、あまりに壮大な茶番劇のプロローグにすぎないと。