小説むすび | 七つの柱

七つの柱

七つの柱

孤児院を設立し脚光を浴びる男の愛人問題。工場をつくった男の金銭欲。戦闘で活躍した男の名誉欲。グルメ団体会員の美食ぶり。嫉妬のすえに決闘を申し込む男。彼らの行状を見た隠者が魔王に命じた。「魔王よ、人間から七つの罪を消滅させよ」こうして七罪は消えた。工場は閉鎖され、美貌の女はみすぼらしく、金持ちは貧乏に、世界は一変する。すると人々は叫び始めた。「魔王よ魔王、罪を返してくれ」人々はわかったのだ。傲慢でなければ国王はなく、強欲でなければ文化は発達せず、色欲がなければ女は男の気を引いて子を産むことも忘れ-人間にとって、社会にとってこの罪こそがかけがえのない大事な柱であることが。

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