小説むすび | 一九四四年の大震災

一九四四年の大震災

一九四四年の大震災

出版社

小学館

発売日

2015年12月2日 発売

浜名湖岸にあるビルが炎上し、男の焼死体が発見された。男の名は、藤田武。妻の美里には、何のために武が死んだのか分かっていた。時代は一気に、太平洋戦争の末期に遡る。武の祖父徳之助は「フジタ浜名湖地震津波研究所」をつくり、息子の健太郎と研究に従事していた。米軍による空襲が勢いを増し敗色濃い戦時下に、政府、軍部が国民に強いたものは言論統制、報道管制だった。そんななか、藤田親子は大地震・津波の襲来を予知し、警鐘を鳴らそうとした。そして、一九四四年十二月七日に、昭和東南海地震が起こる。これが次の大地震を誘発すると警告する藤田親子を、当局は拘留し弾圧した。実際に、翌年一月十三日には三河地震が起こったのだが…。しかしながら、徳之助は鉱山に、健太郎は沖縄戦線に送り込まれ、徳之助は行方不明になった。戦後、戦争での悪行を暴くために、藤田健太郎と息子の武は、それぞれの時代に動きはじめたのだったー。

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