スリー・アゲーツ(上)
偽造紙幣“スーパーK”の運び屋と目される北朝鮮工作員が日本に入国した。来日前、ソウルで激しい銃撃戦を起こした工作員・チョンは、現場にメモを残していた。米国国防総省直轄の情報機関に所属する葉山隆に与えられた任務は、その文書の解読と、日本での潜伏先を探ることだった。上司・エディからの命令にしぶしぶ調査を進めていた葉山は、やがてある日本人女性とその息子の存在に行きあたる。同時期、北朝鮮では対外情報調査部に勤める夫を持つ女性・李光朱と、その娘・春花が、平壌から北へ向かっていた。二人は白頭山を望む国境の町・茂山にたどり着いた。第三回大藪春彦賞受賞作。