川沿いの町・向島を舞台に描く男と女の機微。『男の感情教育』『男の止り木』で、働き盛りの男たちの胸の内を描いてきた著者の、初の長編恋愛小説。
芸者の子として生まれ、父を知らずに育った未知子は、学生結婚に失敗し、1人息子を連れて、東京・向島の花街に戻ってきた。座敷に出て間もなく、初老の紳士と知り合うが、父親にも似たその男との出会いが、未知子を惑わす。好きになってはいけない同士の、大人の恋のゆくすえは…。男女の胸の内を描いて定評のある著者が、変わりつつある花柳界を舞台に展開する意欲恋愛長編。 1991/08/01 発売