果てしなく求め、無限に連なる快楽のひだに身をまかせながら駆け抜ける、男と女のセクシュアルな関係を妖しく揺れうごく心理とともに描きだす。過激に、大胆に、繊細に、そして軽やかにとらえた様ざまな恋愛のすがた。九編を収録。
花屋で働く年下のボーイフレンド、あるおは、逢うたびに同じことを話す。彼はものを憶えられない「病気」だった。あたしは、あるおに抱かれながら、たとえ彼が意識の上で完全にあたしを忘れてしまう日が来ても、それでいいと思うー。性愛を通して人の存在のもろさと確かさを描いた「あたしのこと憶えてる?」、ゼリーにからだをもてあそばれる「ときどき軽い」など、大胆で繊細な九篇。 2000/10/01 発売